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異世でハグ

その後もいくつか質問された後

『おそらく、あなたは魔力切れだろう。

頭の怪我などは、出来る範囲で治療した。』


はい?

あ!そうか!あの風を起こしたやつだ!

あれくらいの暴風を作っちゃうと一回で魔力切れかぁ、、、


「あの、アルベールさん。全体から見て私の魔力はどれくらいのレベルでしょうか?」


自衛に役立つレベルだろうか?


『おそらく人のなかでは、10本の指に入るレベルですよ。

体の欠損した部分をもとに戻すなど凡人には無理だからな。

しかし、あくまでも人の中のはなしだ。そこにいる、それの種や、魔族などには到底およばないだろうが』


体の欠損?てことは、アルベールさんの横にいる彼はあのときの?それで、傷を治したのは私ということだろうか?

そして、そこにいるそれというのはきっと彼のことだろうけど。人じゃないということだろうか?何を聞けばいいのだろうか。あまりにも無知であるとばれれば、いいように使われる危険性もある。

そう考えると先程した質問も浅慮であったかもしれない、

あー、取り敢えず。後で考えよう。


「………」


『………最後にあなたの名前を確認しておきたいのだが。』



「くすのきといいます。」

この場合名前を教えるのは戸惑われたが、嘘をついて後々信用問題になっても嫌だと思い、名字のみを伝えることにした。嘘はついていない。日本のOL的には普通の事だ!


『では、後は治療だな

ギュッ


アルベールさんが何か言い終えるまえに、隣にいた彼が何故か私に抱きついてきた。


え?なにこの状況!この国では普通なの?まだ一言も彼とは会話をしていないんですけど!

細めだと思っていたけどやっぱり男の人だ!筋肉を感じる!体温は少し低め?

冷静に考えようとするけど考えがまとまらない!心地いいし、

取り敢えずハグを甘んじて受け止めよう。


『おい!エルフ!貴様何をしている?

今どき体を密着させることにより魔力の譲渡をするやつはいないぞ!

今から、回復薬を持ってくるから待っていろ!

いいか?離れてまっているんだぞ!』


何だろう急に恥ずかしくなってきた。

でも今ので、彼がエルフということと、心地よい感じの正体はわかった。治療のためだったのね!

だけど、薬があるなら必要なさそうだ。


「あの、、、離して頂けませんか?」

ぎゅっと、抱き締める力が一瞬強くなった気がしたが、ゆるゆると手を下ろしてくれたみたいだ。


ゆっくりと彼を見上げてみる

身長は180㎝より高そうだ。白髪に綺麗な薄紫の瞳、最初のぼこぼこにされていたときは全くわからなかったが、相当なイケメンだ!というか美人?中性的な美しさと言っておこう。それに髪もただの白髪ではなく、光の加減によって紫色に反射して見えるとても綺麗ないろだ。

「綺麗ね、、」

彼にとっては言われなれているだろう、とるに足らない言葉を言ってしまった。当たり前の事を言ってどうする!

「ごめんなさい、当たり前の事を!つい口をついて出てしまいました!」

は、恥ずかしい、。。大根を見て白いねって言うようなものだよね!

恐る恐る反応をたしかめると、


ポロリ、見開かれた目から宝石が落ちたのかとさえ感じる綺麗ななみだだった。


この人は泣きかたまできれいなのね。

ポロポロと、止めどなく流す彼は涙のとめかたを知らないのだろうか?


私も、ドライアイで涙が止まらないことがあった。私はゆっくりと瞬きをすると効果のあるタイプだったが、彼はドライアイじゃなさそうだから、その時精神的な涙のとめかたについても調べたのだから、試してみよう!


エフルさんの頬っぺたをこうやって、ぐいっと!

なんだか、いびつな笑顔と変顔の間になってしまったけれど、効果はあったみたい!

私が試したのは、無理やり笑顔を作ること。

涙は止まったけど、キョトンとした顔のエルフさんがこっちを見つめていた。

ふふっ、変顔をしててもこの様になる感じ少し腹が立ってきた!

ふと、彼の事を何も知らないなと思い


「名前を聞いてもいいですか?」

こくり、エルフは頷くと膝まずき私の片手にキスをした。


これ、あれだ!!海外の王子様とかがお姫様にやるやつだ!はたから見てたらすごくロマンチックに見えてたけど、相手が私じゃぁな、、、王子さま役はすごく様になっているけど。。ひじょうにざんねんだ。


あ!でも、後で脳内補正で自分と美人を入れ換えてみよう!すごく様になるに違いない!そのためにも、この光景を目にやきつけておこう!


『私は、エティエンヌ・バン・ノヴォトニール。貴女にこの名を捧げます』

難しい名前だ。聞くんじゃなかった、覚えられないよ!

エティエンヌ、エティエンヌ、エティえんぬ


何度も自分の中で名前を反芻していると、

ふわり、私と彼の体が光に包まれる。目を開けてられないほどの光ではなく淡い光だ。

少しずつ光は、彼にキスされた左手に吸収されていくみたいに消えた。

後に残ったのは、紫色のタトゥー?彼に握られている手を即座に引き抜く。ゴシゴシ、ゴシゴシ擦っても全く消える気配がない


倒れそうだ。手の甲にタトゥーなんて、、日本の社会で生きていけないかも、少なくとも今の会社は即クビだろう。今度は私が泣きそうだよ、、


しかもよくみてみると、彼のさっき言ってた名前が刻まれてやしないかい?

私は、貴方の所有物ですかい?ん?自分の持ち物に名前とかしっかり書くタイプだとしてもだよ?人にやっちゃだめでしょ?泣きそうだし、腹もたつ。でも何から突っ込めばいいのかわからない。名前カタカナだし!

これで、彼の名前を忘れる心配もなくなったけどね!

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