異世界で初お城
今日の仕事は、取引先との新商品開発の打ち合わせ。
それから、その商品のコスト面などの簡単な計算。
後は、現在扱っている商品のクレームなどで対応の必要なものの話し合いくらいかな?
『主任!新しい商品作って見ました!!』
今年私の部署に配属された新人の新山くんが、話しかけてきた。今時のおしゃれな男の子で愛想もいい。ただ、仕事の面では、本当に使えない
おい、こらてめぇふざけんなよ?と言いたくなる気持ちを押さえ冷静な声で
「新山くん?まず、私たちの部署はお菓子などがメインなのよ?ピザはね、扱っていないの。
あと、今日までにお願いしてた資料はできたのかな?
明日朝の話し合いで使いたいから今日中に確認したいんだけど。」
『あー!商品開発に夢中で忘れてました!
それより!これ食べてみてください!』
へらへらと笑ながら新山君は平然の言ってのけた。
こいつ!商品の開発をしたいという意気込みは別に悪くない。しかし、部署ごとに役割というものがあるのだ。
しかもピザだと!?ふざけんな。
あー、これで何度目何だろう。最初はまだ言ったらわかってくれるだろうと頑張ってたけど、もうその元気はない
新山くんのもつピザももったいないからたべちゃおうかなぁ。うぇ、たまにまずいな。
そう、彼は味覚も音痴だと思う。本人にはまだいってないけど。
はぁ、今日も書類作りで残業かぁ、、、
ーーーーーー
夢を見ていた。ずいぶんと昔の夢のような気がするけれど、実際はこちらに来た日に起こったことだ。まだ、2日くらいしかたっていない。
ここは、何処なんだろう?
『女神様!医術師を呼びに言って参ります。』
声のする方を見てみると、誰だろう?
始めてみる顔、始めて聞く声。でも、この瞳は見たことがある
あのくらい牢獄で酷い扱いをうけてもなお美しさを失わなかった目だ。あのときの本人だろうか?
というか、女神とは?
「あの、、」バタン!
話しかけようとしたときにはもう彼が凄いスピードで部屋を出たあとだった。
はぁ、私の話は聞いてくれないのね、
私のいる部屋をぐるりと見渡してみる。私が寝ているのはシンプルだがタブルくらいのサイズのふかふかのベッドなんだか肌触りもいいし、たぶんお高いやつだ。
壁には緑と白の落ち着いた綺麗な柄の壁紙、柱は金繊細な細工が施されている。あと部屋にあるものは、テーブルとその上に飾られている花くらいだ。とてもシンプルな部屋だが、品の良さが判るものばかりだ。
立ち上がろうとしてきづいた、、、
服が!!!変わってる!
もちろん自分で着替えた記憶はない!恐る恐る、服のなかを覗いてみる。
終わった。
ブラジャーもない。年齢と共に少しずつ怠惰になってきた体を見られた。ついでにブラジャーで盛っていたのもばれただろう、
気持ちはどん底だよ、せめて、着替えをさせてくれたのが女の人であることを願うよ。
気晴らしに外でもと思い窓に近づくと、素晴らしい庭が広がっていた。ベルサイユ宮殿にある庭に近い感じだ。
ん?ということはここは、お城?
確かに、贅のかぎりを尽くしたような豪華さはないが、すべての部屋がそうではないだろうしあり得るな。
自分がなぜ今ここにいて、なぜこのような扱いなのか。そして先程の男の正体。そして、牢獄で見た酷い扱いをうけていた名前も何も知らないあの人は生きているのだろうか。知りたいことだらけだ。
少し動いただけだが、頭痛と少し気分が悪くなってきたのでもう一度ベッドを使わせてもらおうと思い、横になることにした。
コンコン、
『入ります』
ノックの後入ってきたのは白いローブの様なものを着た40後半くらいの男性と、目覚めたときに部屋にいた身長が高く細めの私より少し若そうな彼だ。
白いローブの彼が話しかけてきた
『私、城で医術師の副長をしておりますアルベールと申します。
今の気分はどうでしょうか?痛いところなどはありますか?』
アルベールさんは、少し長めのグレーの髪ゆるりとまとめていて、グレーに近い目の色をした、少し厳つい見た目。声も低く威圧するよるな空気感を持っている人だ。
「少し、気分が悪いだけで寝たら治ると思います。」
『寝ていれば治るかどうかは私が判断します。質問に答えていただければ結構です。』
悪かったな私の意見も加えて!
少し腹はたつが、まぁ、素人の私が意見しない方がいいのもわかるので、素直に聞き入れる。
『気分が悪いだけですか?』
不機嫌そうな態度だなぁ、日本ならクビだよ?
「あと、頭に締め付けられるような痛みがあります。」
それから、いくつかの質問をされた。