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第七話 ジャンの決心

 ジャンが閉め忘れた窓から羽ばたいたドミーは、歩いているジャンにすぐに追いつきました。街路樹の木に止まり、ジャンが一軒一軒チラシをポストに入れながら歩いて行く後を木から木へ移動しながら見守っています。ジャンは道路を渡ると、並んで建っている家のポストに次々にチラシを入れていきます。

 やがてアパートの向かいまで来ると、また道路を渡りアパートの階段を上がって扉を開け「ドミー帰ったぞ!餌と水を取り替えてやるからな」と言って部屋を見渡しました。ドミーの姿がありません。ジャンは窓に駆け寄ると「なんてこった、窓を閉めなかったのか?ああ、ドミーどこ行っちまったんだ」と言うと、頭を抱えてテーブルに寄りかかりました。すると、窓からドミーが入ってきてジャンの頭の上にとまりました。そしてテーブルの上に降りると「ドミーどこ行っちまったんだドミー」とジャンの言葉を繰り返しました。「ドミー!どこ行ってたんだ、驚くじゃないかねえか。戻ってきたのか?まったくお前は利口な奴だぜ」とジャンは泣き笑いしながら言いました。餌と水を取り替えながら「そりゃあ当たり前だよな、こんな部屋の中にいるよりも外を飛びたいよな」と窓を見ました。そしてパンと牛乳を出すと、いつものように船乗りの頃の話しをドミーに聞かせるのでした。


 翌朝ジャンは「ドミー、俺は今からチラシを取りに行ってくるからな」と言うと窓を少し開けて出かけました。「俺は昨日決めたんだ、ドミーを自由にしてやろうってな、きっと奴は帰って来ると信じてな」と呟きながら歩いて行きました。

 ドミーは、ジャンが歩いて行くのを確かめるように窓から見下ろしていました。そして今度はジャンが歩いて行った方向とは別の方へ飛び立ちました。実はドミーもある決心をしていました。それは、ジャンが仕事を探していた頃に風邪をひいて寝込んでいた時にドミーに話した事と関係がありました。ジャンはドミーに何を話したのでしょうか?

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