第二話 仕事探しの日々
「少し働かなくてはならないだろうよ、ドミー少し出かけてくるからな」と言うと、ジャンはアパートの階段を降りました。アパートの周辺を一回りしましたが、住宅街で仕事はなさそうです。駅の近くの不動産屋でもらった地図を広げて、とりあえず駅まで行ってみることにしました。
駅の交番に入り「この辺りに仕事を紹介している所を探しているんだがね」と警察官に言いました。「探してみるから待っていて下さい」と言うと机に戻り、しばらくすると地図を広げて「職業紹介所のある場所は、この道をまっすぐ行って右に曲がるとレストランがある、そこを左に曲がり大きな通りに出ると左にまっすぐ進むと2つ目の信号を渡った所にありますよ」と説明しました。「覚えきれないな、この街に来たばかりでね」とジャンが言うと、地図をコピーして赤いマジックで職業紹介所までの道に線を引いてくれました。地図を頼りに職業紹介所に向かいました。
一方オウムのドミーは「働かなければならない」「ドミー出かけてくる」と言うジャンの言葉を繰り返し言いながら、アパートの窓から道を歩く人を見下ろしていました。
日も暮れかかったころ、道を歩いてくるジャンをドミーは見つけました。ドアが開き「ドミー帰ったぞ」とジャンが入って来ました。「ドミー帰ったぞ、帰ったぞ」とドミーが言いました。
「おっと!これじゃまずいな、俺がただいまと言う、そしたらお前はお帰りだ」ジャンは大きな声で笑いました。ジャンはこの日なかなか仕事が見つからず、ひどく疲れていました。帰りに買ってきたパンと牛乳を出しテーブルに置くと、ドミーの籠の中の水と餌を新しい物にかえました。ドミーは籠の中に戻り、食べ始めました。
翌日の朝も、またその次の朝もジャンは仕事を探すために職業紹介所に出かけます。そして日がくれる頃に帰ってきます。ドミーはいつも窓からジャンが帰ってくるのを見ていました。そしてジャンが扉を開けると「おっと!お前はお帰りだ、お帰りだ」と部屋中をうれしそうに飛び回ります。ジャンとドミーは日増しに仲良くなっていきました。ジャンは船乗りをしている頃を思い出し、ドミーに楽しかった出来事を話して聞かせるようになりました。ドミーはジャンの話しを覚えて繰り返し言えるようになりました。「ドミーお前は俺が思っていたより、ずっと頭がいいんだな。たいしたもんだ」ドミーはいつの間にか、かけがえのない相棒のような存在になっていました。
ジャンはようやく職業紹介所で仕事が見つかりました。「ビルの掃除だが、いいかね?」と紹介所の人が言いました。「何でもいいんだ」とジャンが言いました。紹介所の人は、掃除を募集している会社に電話をすると「では、一度行ってみて下さい、面接するそうです」ジャンは、紹介状を受け取りました。




