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第十一話 ドミーが運んだ小さな手紙

 ケティの両親がドミーのことを知った翌日、ケティからドミーは驚くことを聞きます。ケティの両親がドミーとジャンに会いたいと言っているということでした。それはドミーが、一番望んでいたことです。ドミーはケティから渡されたものを口にくわえるとアパートに向って羽ばたきました。


「帰ったぞドミー、どうせまだお前は帰っていないだろうがな」と部屋に入ると「帰ったぞドミー帰ったぞ」と繰り返すドミーを見て「ドミー、今日はえらく早いじゃねえか」とまんざらでもないように笑いました。ドミーはそんなジャンと暮らせて幸せでした。ジャンはドミーの餌と水をかえると、自分はテーブルに座っていつものようにパンと牛乳を並べました。すると、ドミーがジャンの目の前に小さな紙を置きました。「こりゃ何だい」とジャンが紙を広げると…


【親愛なるドミーの飼い主ジャン様へ。私はケティと言います。ドミーが来てくれるようになってから元気になり、両親がお会いしたいと言っています。住所を書いておきましたので、ぜひお越し下さい。ご都合の良い日と時間をお知らせ下さい】と書かれてありました。


 ジャンは「こいつは驚いた。ドミーお前は毎日そこへ行っていたのか、隣町じゃないか。ところでケティって誰だい?」とドミーに言いました。

「俺には娘がいたんだよドミー。産まれてすぐに嫁さんと一緒に天国へ行ってしまった。生きてりゃ今頃は嫁さんに似て優しい娘になってるだろうよ。一緒にいりゃあ、どんなに楽しくて幸せだろうな」

 それを聞いたジャンは「なんて奴だドミーよ!そんなこと言ったことあったかい?俺は覚えていないが、多分言ったんだろうな」と娘のことを思い出したのか目から涙がこぼれました。

「ケティ優しい娘ドミー大好きドミーまた来てね病気よくなったドミーありがとうドミー」とドミーはケティのことをジャンに伝えたくて必死に話します。ドミーの気持ちがジャンに通じたのか「わかったよドミー、都合のよい日と時間を書いておくから、明日これをケティという女の子に届けてくれ」と小さな紙に都合の良い日と自分の住所と名前を書きました。

 次の日の朝、ドミーはジャンの手紙を大切にくわえてケティのいる隣町へと飛びました。

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