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第一話 最後の航海を終えて

 ここはフランス、ジャンは船乗りで世界中の海を航海する男です。父親も船乗りだったジャンは、子供の頃から船で暮らしていました。結婚も一度しましたが、体調が優れなかった妻は出産の時に、産まれた女の子と共に亡くなってしまいました。その後も世界中を航海する生活を送りました。ジャンは年を取り、この最後の航海で引退する事を決意しました。そして故郷マルセイユの港に降り立ちました。


 港町の店の前を通りかかった時です。吊るされた籠にいるオウムがいました。この店で売られているようです。ジャンは店の人に「このオウムいくらだい?」と聞きました。「ああ、そいつかい?10フランだ。持っていくかい?」と言いました。「持ってくかい?持ってくかい」とオウムが店の人の口真似をして言いました。店の人に10フランを払うと、オウムの餌を一袋おまけに付けてくれました。ジャンはオウムの籠を持って歩き出すと「最後の航海も今日で終わりだ、こいつと暮らすのもいいだろうと呟きました。駅でコルマールまでの乗車券を買うと、列車に乗りました。コルマールは、ジャンが産まれた街です。


 コルマールに着くと、ジャンは不動産屋の扉を開けました。窓口に出てきた人に「こいつと住めるアパートがあるかい?家賃は安ければ安いほど都合が良いのだが」と、オウムの籠をテーブルにドンと置きました。しばらく物件を調べていた店の人は「かなり古いですが、つい先日空いた物がありますよ。家具は住んでいた人が要らないと置いていきました。家賃もお安いですが、いかがですか?」と言いました。家賃を聞くと「ここに決めたよ、しかし今日からは無理だろうな」とジャンが言うと、不動産屋は「前払いで一ヶ月分の家賃を今お支払いいただけるなら、すぐに案内しますが」と言いました。一ヶ月分の家賃を払うと、不動産屋は鍵をジャンに渡しました。ジャンは地図と鍵を受け取り、地図を見ながら借りたアパートに着くと、部屋に入りました。


「おい、オウムこれからここがお前と俺の棲みかだ」と言うと籠の扉を開けました。「こんな籠は、さぞ窮屈だろうよ。出たいときに出てもいいぞ」と言うと籠の扉を開けました。「おいオウム、おいオウム」とジャンの口真似をしてオウムは繰り返しました。ジャンは笑いながら「おっと、そうだな、オウムじゃまずいよな。お前の名前は…なんてことだ!お前が男の子か女の子か聞いとくんだったな。仕方ないドミニクだ。名前はドミーだ」とオウムに言いました。オウムは「名前はドミー、ドミー」とまたジャンの口真似をして言いました。「よし、いいぞ。ドミー」オウムの名前はドミーに決まりました。


 ジャンとドミーの生活が始まりました。

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