第2話 入学式1
学園までは、父が運転をしました。車がたくさん停めるスペースが、学園にあるのです。先にいった姉さんたちは、普段は父の運転手である木更が学園まで先に送っていってくださいました。
受付を済ませて学園に入ると、高等部に進学する生徒とその保護者で溢れかえっていました。この学園は、セキュリティチェックが厳しく滅多に保護者といえど学園の校舎がある敷地には入れません。普段入ることができているのは、駐車場エリアのみです。また校舎は、有名な建築家設計した純和風の日本家屋で、材木がとても特殊です。だから、保護者が来ることができる行事ではほとんどの保護者が日程を調節し参加します。
「やっぱりこの学園の校舎は、何度みても素晴らしいわね。全て日本産の花の木のみを使って建てられていますわね。校舎ごとにモチーフが決まっていて、使われている花の木は1つの校舎につき一種類。ここでなければ、みられないわ。」
と感心したように母がよそいきの口調で言いました。すると、
「母様、それ過去に何度もおっしゃっています。」
と慧がつっこみました。
「まあ、いいじゃないか。マリアの職業柄、花が咲いているのを見て新しいアイディアがうかんだのだろう。それに、慧と違って毎日校舎を見れるものではない。なつかしのだろう。」
と父が言うと、
「父様、それも何度も聞いてます。」
と慧がまたつっこみました。
「慧、毎回毎回つっこまない。いつも、同じような答えが返ってくるでしょう?お母様、お父様、慧に毎回同じつっこみをさせないで。私、そろそろ時間のようです。なので、また入学式後で。」
と私が言うと、
「リルア、まだ時間があるのではないか?新入生の集合時間は、もう少し後だったはずだ。」
と父が疑問の声をあげました。
「お父様の言うとおりの時間であっているのですか、内部進学生の新入生代表挨拶に選ばれてしまったので他の生徒より少し早めに集合場所へいかないといけないのです。」
疑問に答えると
「リル姉様、内部進学生の新入生代表挨拶に選ばれたのですか⁉ってことは、むぐっ。」
私は、慌てて慧の口をふさぎました。こんな人混みの中で、内部生の新入生代表挨拶の選考基準を言われたくなかったのです。
「では、また後で。」
と言うと
「ええ。また後で、リルア。頑張ってらっしゃいな。」
その言葉を聞くと、私は家族のもとを離れ集合場所に向かいました。
集合場所へ行くと、もう一人の新入生代表挨拶をする外部生の方がいました。余裕をもって集合時間の前につくように来たはずですが、私が最後でした。
「先生、遅くなってしまい申し訳ありません。」
と謝罪すると
「大丈夫ですよ。リルアさんは、10分前についてます。」
と笑って言ってくださいました。私は、もう一人の新入生代表挨拶の方へ簡単な自己紹介をしました。すると、向こうも同じ様な自己紹介を返してくれました。
もう一人の新入生代表の方の名は、弓矢霧。高等部2年に在籍する雪白誠の従兄弟でした。体があまり丈夫ではなかったため、初等部から入学する予定でしたが高等部からの入学となったらしいです。雪白先輩から学校の授業内容や学校の特徴などについては聞いており、入試の対策もできたと言っていました。
そうおしゃべりしている間に、体育館に着きました。さらっと入学式の説明を受け、打ち合わせが終わりました。その後に、他の新入生のいる場所へと戻りました。
場所に行くと、友達が私以外そろっていました。
「ごきげんよう。お待たせしてごめんなさい。紗綾様、恋歌様、日和様。高等部からもよろしくお願いいたしますね。」
「「「ごきげんよう。リルア様。こちらこそ、高等部からよろしくお願いいたします(わ)。」」」
とお返事をいただきました。そうして、いつもの内緒話をするように4人で少し近寄りました。
「周りがお嬢様だらけで、お嬢様言葉を使うのはやっぱり疲れますわね。」
と私がいつもの口調に戻すと、
「ええ、今時お嬢様言葉を使うのは大勢がいる前くらい。めんどくさいです。」
と恋歌が言うと、
「今時、社長令息やお金持ちの私たちでも使わない。モテない。婚約者とかいる場合、ドン引きされるわ。」
日和が返しました。すると紗綾が、
「そうですね。幼なじみの奏には、私のお嬢様口調気持ち悪いって言われた。私もそう思うし。リルアは、どうなの?」
「私、お嬢様口調が素の口調に混じっているらしくて、よく何か変て言われるわ。私の家族は、家では丁寧な口調使ってませんし。」
「そう言われると、リルアって素の口調の時、お嬢様口調が混じってるね。って、みんな移動するみたい。私たちもいきましょう。」
日和が感心したようにいって、おしゃべりを止めて列に並びました。ここでは、高等部からの人と内部進学生の人に分けられていました。
体育館に入り、式が始まりました。この学園の理事長や学園長は、長い話がみんな苦痛であることを知っているので、重要なところだけ話し短いです。式の中間を過ぎた辺りに、
「新入生代表挨拶。」
と司会役の先生の言葉が聞こえました。打ち合わせで言われたように声を揃えるため2拍おいて、
「「はい。」」
と返事をしました。
「若い草の芽も伸び、桜の花も咲き始める、春爛漫の今日、僕達光闇学園高等部に入学することとなりました。本日はこのような立派な入学式を行っていただき大変感謝しています。生涯付き合っていけるような友を作ることができたらなとそう思っています。建学の精神に乗っ取り、文武両道を目指し心地よい学園生活を送ることここに宣言します。先生、並びに来賓の方々、僕たちのことを温かくそして時に厳しくご指導していただきますようお願いします。 外部新入学生代表 弓矢霧」
「暖かな春の訪れとともに、私たちは中等部から内部進学することができました。高校に入り仲間が増え、3年間ということできっとあっという間に過ぎていくことと思います。そのような中でも、文武両道をこれからも実践していきたいです。また1日1日悔いのないよう大切に過ごしていきたいです。最後になりますが、先生方、それから来賓の方々これからも厳しいご指導のほどよろしくお願いします。時には間違った道へ進もうとしてしまうこともあるでしょう。その時はまた優しく力を貸していただけると嬉しいです。 内部進学生代表 鎖里リルア」
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