それぞれの目覚め
短めなので二話投稿
レイユエがリーニャに用意した客室、埋もれるんじゃないかというほど柔らかいベットに肌触りのいい布団やシーツは気持ち良くて昨日リーニャの意識を一瞬で夢の世界へ誘った。
とはいえそれは早朝5時、終わりをむかえる。
≪朝ですよー!朝なんですよー!≫
レイユエの大きな声が城中に響き渡ったからである。
リーニャは飛び起き同じく叫ぶ。
「うわっ、なんです!ってまだ5時じゃないですか。」
そう言っている間もレイユエの声は永遠と朝ですよー!朝なんですよー!と言い続けている。
「とりあえず、準備して何事か聞かなきゃ……。」
洗顔し化粧水をつけたりとしたあとリップだけつけててきぱきと着替えていくが扉が開いたことによりそれは止められた。
「あぁ、リーニャ様なにやってるのです!」
「あの? 」
「客人が動くものではありませんわ、あぁ間に合わないなんて一生の不覚!」
「えっちょ!? 」
突然、現れた侍女であろう女性達にリーニャはつれられていった。
一方のシンは声などものともせず寝ていたそれはもうぐっすりと、だがそれもリーニャと同じく長くは続かない。
バッタァンッ、メキッと扉からしてはいけない音がした後、一瞬でシンをかっさらい「えっほえっほっ」とシンをつれていく。
─────
「ふぁあ。」
気持ち良さそうに伸びながらレイユエは起きた。
レイユエの部屋だけはあの朝ですよー!朝なんですよー!の声は聞こえていない防音してあるのだ。
そっと庭を見るといつも通り鍛練をする男と無造作に放置された綺麗なガラクタ、人にとっては価値のある物であるが竜であるレイユエにとってはただの物。
「そういえばシンさんはあれ欲しがってましたよねぇ、でもリーニャさんあげちゃダメっていってましたし。うーん、ん?」
そんな日常の光景にある違和感。
「何が違うんだろ?」
いつもの光景を思い出しつつ窓の外をじっと見つめる、そしてその違和感をみとめると瞠目し声をあげた。
「なんで、シンさんがバカどもの鍛錬に混ざってるのぉ!? 」
レイユエが見たのは男の竜人と一緒に走るシンだった。
バカとは酷いと思うかもしれないがレイユエは優しい方だ。
本来ならその場で攻撃して暑苦しいなり言うのが竜族女性だからである。
「うーん。止めるのも面倒ですね。適当な女の子が怒鳴り込むのを待ちますか。」
竜族の社会では男の立場は低く、竜族同士のカップルなら男は貢ぐのが当然、男女での喧嘩の場合は必ず男の方が悪いとされる基本女尊男卑の社会だ。
というのも、何故か強ければ強いほど誰かの下につくことを望むからだった。
争いが起こらないように本能的に強いものほど従うようにできていると言うのが竜族学者の見解で、男の方が戦闘能力が高いため女姓に従うのだろうと言われている。
「なんであんなバカばかりなんでしょう? 」
うーんと見ながら悩む、ストレッチや腕立て伏せといったものを終えたようで素振りを始めた。これも女姓を守るためにやっているらしい。
「避ける方の鍛錬に行く前に怒鳴り込みなさそうなら止めなきゃか……。」
心底面倒な様子で身支度をする。侍女の文句は男に押し付けるのは決定である。
「にしても本当にバカですね、うちの父はもうちょい落ち着いてたんですけど。」
ちなみに例外はあって常に女姓が大事にされるわけでもない。
女姓の方が強く男性の方が弱い場合、強い女姓の方が従ったり守ったりする。
レイユエの両親はこのタイプであったせいか竜族間でもレイユエは変わった竜族なのだ。
「うーん、シンさんって普通の人間より丈夫ですよねぇ。なんで、あんなことしてたんでしょうか。」
言いながらお気に入りの紅い宝石…ドラッヒェンリーべを大事に服の下に身につけ身支度は完了だ。
ぎゅっとドラッヒェンリーべを上から握りしめ魔力を流す。
そうするとほんのり光って温かくなり竜にしか分からないであろう甘いくて優しいまるで番の匂いのような落ち着く匂いを発する。
「ふふ、いい匂い。」
幸せそうに笑い頬擦りすると窓から飛び下りた。
「ありがとう、あなたのお陰で私は…………。」
レイユエの小さな呟きは風にかき消され次に響いたのは鍛練をしていた男どもの悲鳴とレイユエとリーニャの怒声だった。
「えっ? ちょあぁぁぁぁ!すいませーーーん!!!!」
「「問答無用!!」」
「……。」