第5話「 」
全壊した城跡でトラウマが発生した者、決闘を目論む者、散歩を終えた者が揃っていた。
「いや、言ってみただけさ」
「そうなのか?」
魔と石は戦わない。正直なところ見てみたかったと思う暇を持て余した火属性のソッドは、ざわつく心の感情を心の奥に抑えつつクオンに語り掛ける。
「では、これを」
ソッドはクオンに近づくと首から下げていたスターピースからスターピースが出現した。
「・・・ソッドだけは特別扱いだよな?」
「いや、お目付け役・・ここでは現場監督だろうな」
フフッと、軽く笑みを見せソッドは二つのスターピースが連なった物を分割してクオンに片方を差し出した。
「そうかい、じゃあ言いつけられない様にいい城作るよ!」
その発言のあとには土で出来た3頭身の動物達が2足歩行で作業を始めた。
「・・・まぁ大丈夫だろう」
ソッドは作業を再開したクオンを見ながら魔杖・デスアイに近寄った。
トラウマがループしているのか出口が見えない状態のアイは棺桶の中で唸りながら眠っていた。
「アイはスケウトに任せるとしても」
周りを見渡し現状を確認する。
城は再建中・姫は夢の中・戦闘不能二人・他の最大戦力はスケウトと共に別行動中
「防衛は私一人だけか、無理だな」
先程クオンと交換していた魔力が空のスターピースに魔力を流し込んだ。
「さて、誰にするか?」
十二属性の精霊・聖 魔 時 空 光 闇 氷 雷 風 石 水 火
「私が現在戦力で呼び出せるのは6属性 光 闇 氷 雷 風 水 のどれか」
消去法で考えればとソッドが思案を始めた。
夜襲を恐れるなら光
先手を打つなら闇
雷蛇が相手なら氷
力を求めるなら雷
数を圧倒するなら風
飲料の確保なら水
「やはり水属性以外のどれかだな」
「いや水は大事だよソッド!」
呼んでもいない空気も読まない水の精霊・ウォーガンが現れた。
「戦力にならない者は帰ってくれないか?」
「水は癒しでありとても極力な武器でもある問題はナッシング♪」
「雷蛇が出たのだが?」
取りあえず先日の脅威だった雷蛇の話を出し相手の出方を伺う事にした。
「ソードロッド貴方は水の力を侮り過ぎよ、超純水なら雷の力に対抗できるのよ!」
「クオンやリスズの氷結なら無力化できるぞ?」
「ソッドはクオンやリスズがいいんだ‥私じゃダメなんだ」
ん?ウォーガンの様子がオカシイそう言えば暇な時はクリスターの書庫で本を読んでいるらしいが何らかの影響を受けたか―
水色のロングウェーブヘヤーに水色の洋服を纏った少女・水鉄砲のウォーガン、火属性の私とは相性は最悪だが家族の様な絆もあり仲の良い関係を築けていると思われる。
(火と水の最弱2体、工夫して時間稼ぎが関の山か)
その頃、隣国のカーリアでは―
謁見の間にてカーリアの王と配下の者達が話をしていた、その中にゼロタキアと戦った雷王蛇の姿もある。
「ヤムトは滅ばずか雷王蛇どうなっている?」
帰還した雷王蛇に発言したのは王の配下の一人、隠遁でも使っているのかその姿を窺い知ることが出来ないが最奥にいる王だけは姿を見せている。
「申し訳御座いません。ヤムトには強き者が存在していました。」
「強き者か、ヤムトめ!召喚術を使いおったか!?」
神を召喚セリと、ヤムトに受け継がれ続けてきた召喚の術『-招来の儀-』フォートキャッスルの守り、神の力にて暴力を薙ぎ払う。小国でも攻め込まれず落とされず今まで負けることなく存在し続けている。
「心躍りましたぞ!白き閃光・黒き眼光・黒馬の騎士・・・・我を遥かに上回る力がまだ感じられました。もう一度・・もう一度出陣するぞよ!!」
「落ち着くのだ雷王蛇・・それにしても伝承の神は一体のはず、ヤムトは何者を召喚したのだ?」
「まさかあの姫巫女は邪神でも呼びおったか!!王も王女もいなければ容易く終わる事柄だったはず」
配下の者達が声を荒げ考えをぶつけ合っている。
「ふぉっふぉっふぉ、来おったか」
王がそう呟くと正面の大扉に彼は居た。
「ここがカーリア王国か・・・」
旅人助人スケウト・クロリグが辺りを見回しながらそう言った。
「なっ、何者!?」
「・・・・禍々しい」
「おぉっ!あの黒馬の騎士より遥か高見の者!!」
突如現れた存在に狼狽える者、嫌悪する者、期待する者
「待っておったぞ、旅人助人スケウト・クロリグ」
そして、歓迎する王がそこにいた。
「歓迎されるとは・・・何処からなんだ?」
「最初から、だと思いますよ。スケウト」
そう言葉が聞こえたあとスケウトの右隣にイエアが現れ扇子で口元を隠しながら鋭い眼で王を睨んでいる。
「この世界に召喚された時点でお前達の術中に嵌っていたと言う事か」
スケウト達の言葉を聞き困惑する者ばかりだが王だけは笑顔で歓迎している様だ。
カーリアの王は玉座から立ち上がりスケウトに向かって発言する。
「さぁ、旅人助人よ!この世界を救ってくれ!!」