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70.(エクストラ)信の叫び

前回までのあらすじ。

近未来ラビリンスの命からの増援で、信は追い詰められた。

----------------------------*----------------------------


・ダンジョンの女神パチモ視点


幸運の女神の言う通り、伊乃田命が、正確には彼の配下が信を追い詰めたんだな。

助かったんだな。


で、現在は魔道具の支配権を奪取中なんだな。

ボクはボックス状の魔道具の口に手を突っ込み、信の魔獣をいたぶってるんだな。

自爆しようとしたら、凍らせてやるんだな。



『信様のため……私は負けません!』



信の魔石型魔獣は抵抗を諦めないんだな。

やれやれ。



「もういい。時間稼ぎをしても、僕はこのざまだ。

僕の負けだ」



信が負けを認めたから、魔石型魔獣の抵抗が無くなったんだな。

僕は魔道具の支配権を取り返し、設定を元通りにするんだな。



「さて、と。君の処分だけど、本当なら除名処分したかったんだな。

でも幸運の女神に聞きいれてもらえなかったんだな」



僕は信の頭を踏みつけながら、信を見下ろすんだな。

ちょっと1位になったからって、調子に乗り過ぎなんだな。



「パチモ、それはまずいって。

我々の業界ではご褒美だよ」


「ですわ~」


「二人が何を言ってるのか、さっぱり分からないんだな」



我々の業界?

ボクらの仕事はダンジョン運営の補助。

褒美として踏みつけられるのなら、ボクはとっとと仕事を辞めてるんだな。



「まあパチモが真面目ッ子なのは置いといて。

どうするの? こいつの処罰」


「ダンジョン没収は確定として……」


「キェェエエエエエ!(ありったけのMA硬貨を没収や!)」


「グォォオオオオオオ!(DPをボススポナーチケットに費やさせて、マスターに引かせるぞい。

きっと強い奴が現れるぞい。戦闘訓練がはかどるぞい)」


「シュルルルルル!(オレ、飯ガタクサン、ホシイ!)」


「イーッ!(このダンジョン欲しいアル!)」


「イーッ!(このダンジョンでなくてもいいから、新しいダンジョン欲しいペコ!)」


「イーッ!(いや、新しくなくてもいいから、ダンジョン欲しいっス!)」


「ええい、うるさいんだなー!」



外野が騒がしい中、信の処罰が決まったんだな。

まずダンジョン没収。新規で始めるダンジョンマスターと同じ状態にするんだな。

このダンジョン没収は、ダンジョンの女神3人が同意した場合のみ、クリア状態のダンジョンに実行できるんだな。

今回は伊乃田命がクリアしてくれて本当に助かったんだな。

次にDP没収。これはダンジョンをクリアした伊乃田命に全部渡すんだな。

で、このダンジョンの管理は、ダンジョンマスター同士の他薦による多数決で決定するんだな。



◇ ◇ ◇ ◇



・信・セイクリア視点



気が付いたら僕は土の壁のある洞窟に居た。

いや、洞窟と呼ぶのもおこがましい。


なにせ、それは最初期のダンジョン。

小部屋が1つだけの穴なのだから。



「ははは。初期DPは500DPだ。

懐かしいな」


「ギャース(私も、宝石竜からただの竜になりました。

ダンジョンの女神がDPにより得た力を奪ったのでしょう。

これからどうします?)」


「どうもしない。

僕は自分の信じるマリア様の導きに従うだけだ」


「ギャギャス(左様ですか。

ところで信様、外が熱くないですか?)」


「?」



洞窟に、赤いネバネバの高温液体が流れ込む。

これは……?!



「ブエノスノーチェス!

よくもワタークシのダンジョンの友達アミーゴに酷い目遭わせてくれたネー!

カンカンに温まったテキーラを食らうネー!」



ヒスパニックな彼女は、溶岩ダンジョンのダンジョンマスター、モニ?!

あつつつつつつ!

何がテキーラだ! 溶岩じゃないか!

僕は炭になってしまう。


僕の配下も焼けてしまった。


だが僕は蘇る。

そして再び灼熱地獄に陥る。



「ひゃっはっは! みーつけたー」



海賊船のダンジョンマスターの五島亜理子?!

彼女の船が浮かんで、僕のダンジョンに主砲を向けている。



「野郎ども! 撃てー!」



ドドドン! ドドドン!

ズガーーーン!


僕は大砲の衝撃で吹っ飛ばされる。

しかし、また復活する。


モニは、自分のダンジョンアドバイザーであるスケルトンの進化系、ラヴァスケルトンの内部に隠れていた。

スケルトンといっても、大きさ8mほどあるし、体には溶岩をまとっている。

モニが熱に平気なのは、灼熱耐性の腕輪でも付けているのだろう。


僕は復活する。

ああ、遠くに見えるのはゴーレムダンジョンの巨大ゴーレムか。


どうやらダンジョンマスター達は、弱った僕にここぞとばかりに復讐しに来ているらしい。


今はとても反撃も、逃げる事すら出来ないけど、彼らもそのうち飽きるだろう。

その時に、再び上位ダンジョンマスターとして返り咲き、恵まれない者や困った者に施しを与えるのだ。



「そーいや、命の野郎が面白い物を用意してたぜ?」



亜理子が近付き、液晶のテレビを見せる。

画面には、どこかの町が映っている



「このスイッチを押すとぉ?」



映っていた町が爆破で吹き飛んだ。



「やめろぉぉおおおおお!」


「ひゃっはっは! その反応!

最高! 最高だぜ!」


「町の人は関係ないだろぉおおおお!」



僕は焼けた下半身を引きずりながら叫ぶ。

だが、それがますます亜理子の機嫌を良くする。



「オー、ワタークシでもドン引きの所業ネー」


「ひゃははは! 第二爆破いっきまーす。

カチッとな」



別の町が映り、爆破で吹き飛ぶ映像が流れる。



「うわぁぁぁああああ!」


「ひゃーっはっは! たーのしぃー!」



亜理子の笑い声と僕の叫び声が、いつまでも木霊するのだった。



◇ ◇ ◇ ◇


・伊乃田命視点


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マスターが先ほどメールで五島亜理子へ送ったDVDとスイッチは何ですか?

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ん? DVDは色んな町の爆破映像。

もちろん本物じゃないぞ?

村人Aに頼んで作ってもらった合成映像ってやつだ。


スイッチは、カチッとなるだけの意味のない小道具だ。


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それは分かるのですが、一体どんな意味が?

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爆発する映像に合わせてスイッチを押す。

そうすることで、あたかもスイッチで爆破したように見えるから、信に精神的苦痛を与えることが出来るんだ。


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なるほど……随分と趣味が悪いですね。

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俺のゲーム時間を邪魔したんだ。

少しくらい意地悪してもいいじゃんか。




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