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69.オレサマに汚い物を見せるんじゃない! 運営に文句言ってやる!

前回までのあらすじ。

命が自分のダンジョンに帰って来た。

そして命の配下(?)が信のダンジョンに侵入、攻略中。

----------------------------*----------------------------


しん・セイクリア視点



信へ宝石ゴーレムが報告する。



「ガチャガチャ(命の魔獣達が7512階層突破!

間もなくこの7513階層へ到達します!)」


「何故だ?!

宝石ゴーレム達の転移魔法がピンポイントで阻害されて、ダンジョンから脱出できない?!」



もはやダンジョンを攻略されるのは時間の問題だったため、信は逃げるつもりだった。

魔道具を持ち、ダンジョンからいったん逃げて形勢を整えるのだ。


しかし、命の魔獣達が丁度良いタイミングで宝石ゴーレムの転移魔法の邪魔をしてくる。

まるでいつ転移魔法を使うか知っているかのように。


転移阻害魔法は確かに射程距離がかなり長い。

だが、離れた階層の者に阻害魔法を撃つなど、監視カメラで正確に座標を確認でもしない限り、普通出来ない。

それに、離れ過ぎるとそもそもタイミングが間に合わない。


だが、命の魔獣は、宝石ゴーレムが転移魔法を使う“前に”転移阻害してくる。

まるでこちらが転移魔法を使うタイミングを知っているかのように。



「ギャッス(信様、あなたはテレポートの罠を使って他の階層へ逃げてください。

我々がここを何とかします)」



宝石竜が信にアドバイスする。



「わかった、テレポートの罠を設置……分解された?!」


「「「イーッ!」」」


「グォォオオオオオ!(ふん、逃げずに戦ってくるが良いぞい、臆病者)」



イチがテレポートの罠を分解する。

イチニーサンを閉じ込めていた、“信の”配下のうな丼はもう居ない。

“命の”配下のうな丼が始末したのだ。



「お前達は何者だ?!

なぜ僕の命令が効かない?

ダンジョン内で生まれた魔獣は、全員僕の配下になるはずなのに!」


「ふむ、そろそろ種明かしするかの?」



残っていた信の配下は、赤帽子のふんたーが斧を振るい、狩りとってしまった。



「キェェエエエエエエ!(ワイら、この世界の産まれとちゃうねん。

近未来“ラビリンス”の魔獣やねん)」


「シュルルルルル(簡単に言うと、並行世界のマスターの、命様の魔獣ダス)」



信の疑問に対して、機械ティラノと巨大機械3つ首竜が答える。


その言葉で、ようやく信は理解した。

彼らは並行世界から来た、命の援軍だ。


ダンジョンの魔獣でなく“ラビリンス”の魔獣。

だから、ダンジョンの魔獣の主を変える魔道具の影響を受けていない。

並行世界には別の相当する魔道具があるのだろうが。



「グォァァアアアアア!(遅れてダンジョンの女神達が乗りこんできたようだぞい。

貴様はもう、おしまいぞい)」



信はイチニーサンによって身ぐるみ全て分解され、ついでにグルグル巻きにされた。



「ガァアアアアア(うげぇ、男の裸?! オレサマに汚い物を見せるんじゃない!

運営に文句言ってやる!)」



何かあれば理由もなく運営に文句を言う命の癖は、配下にも移っていたようだった。



◇ ◇ ◇ ◇



・伊乃田命視点


----------------------------*----------------------------

つまり、マスターは、並行世界の近未来ラビリンスのラビリンスマスター伊乃田命に増援を求めたわけですか。

----------------------------*----------------------------


そういうことだ。

彼らが信の配下にならなかったのは、ダンジョンの魔獣じゃなくて“ラビリンス”の魔獣だから、らしい。


----------------------------*----------------------------

そんなトンチみたいな理屈ですか……。

----------------------------*----------------------------


というわけで、俺はネトゲに戻るぞ。


----------------------------*----------------------------

待ってください。並行世界の命様とはどこで知り合ったのですか?

----------------------------*----------------------------


言わなかったか?

ネトゲだよネトゲ。


人工音声さんに説明が終わったから、俺はヘッドギアを被り、ソード・アソート・オンラインの世界に入った。


パーティ『マシーン・ラビリンス』用の宿屋に入る。

そこにはアバターを解除した、近未来ラビリンスの命と、近未来ラビリンスのイチニーサンが居た。

ラビリンスの命が話しかけてきた。



「終わったのか」


「「「イーッ!」」」



このパーティのリーダーの正体は、並行世界の俺だった。

彼もつい最近、並行世界の俺に助けられたらしい。



「援軍ありがとさん。助かったよ」



俺は近未来に居る並行世界の俺に礼を言う。



「何言ってんだ? 次はお前の番だぞ?」


「分かってるって。

今度は俺が過去の近未来ラビリンスのラビリンスマスターの伊乃田命を助けるんだろ?」


「さすが俺、話が早い。じゃ、必要なデータをそっちの人工音声さんに送っておくぞ」



自分が2人居ると、何だか変な感じだな……。



「……伊乃田命は5万708回、信に挑んで負かされたらしい」



目の前の俺、ややこしいから別の命君と呼ぼう。

別の命君が呟く。


そりゃ、配下10体で、10万体の信の魔獣を倒すってのは本来は無茶な話だ。

トライ&エラーを繰り返したのだろう。



「ま、負かされた命の世界は既に救出済みだがな。

現在は9853万2113回目の増援。

さすがにこんだけ繰り返すと、データが集まって、全然被弾せずに救出なんてことも出来るわけだ」


「覚えゲーってやつか。

で、俺は9853万2114回目の増援を行うわけか。

……何回目で終了なんだ?」


「並行世界は産まれては消える。

おそらく、ずーっと繰り返されるんだろうな」


「「「イーッ!」」」


「時間だ。そろそろ定期メンテが入る。

俺はアバターと名前を変えるから、お前も変えておけよ?」



別の命君は、名前をダイノから『信の老け顔』に変更した。

オッサンの金髪アバターだ。

にしても、ひでぇ名前だ。


俺もアバターを変更し、名前をダイノに変更する。

そして武器を鎌に変更する。


別の命君と別のイチニーサンはパーティを抜けるようだ。

その後どうするかは聞かない。

未来は分からない方が楽しめるからな。


彼らが抜けて俺がリーダーになったので、パーティ名を『マシーン・ダンジョン』に変更する。


っと、メンテナンスが入ったな。

俺はヘッドギアを外す。


イチニーサンが帰ってきたら、ソード・アソート・オンラインに誘うとするか。


俺は村人Aとポーカーをしながら暇を潰すことにした。


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