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66.というか人数分用意しろよ。運営に文句言ってやる。


前回までのあらすじ。

オンラインゲーム『ソード・アソート・オンライン』の永久プレイ権と、ヘッドギアを購入した。

朝食の時間が終わり、食い倒れとダンジョンマスター4人、イチニーサンによる作戦会議が開始される。

命はゲーム中。

----------------------------*----------------------------


しん・セイクリア視点


彼はとても忙しそうにしていた。


何せ165個のダンジョンを把握し、管理しなければならなかったから。


ダンジョンの所有権が信に移ったわけではない。

あくまで征圧しただけだ。

それぞれのダンジョンに必要な物を、わざわざ信が全てDPで購入して与えなければならないのだ。


信の元に、宝石ゴーレムが報告に来た。




「ガチャリ(恐竜ダンジョンの魔獣が腹を空かせています)」




「食料スポナーと消費のバランスが取れていないのか。

おそらくダンジョンマスター自らが餌を与えていたのだろう。

彼に連絡を取って、どのように餌を与えるか聞いてきてくれ」



「ガッチャン(了解です)」






宝石ゴーレム達が、各ダンジョンへ物資を運送するために慌ただしく走り回る。

ダンジョン間転移能力を持つ魔獣は希少なので、人手不足だ。



「ダンジョン所有権を僕に書き換える前に、魔道具の権限が制限されたのは痛いな」



本当なら、ダンジョンを全て作りかえるのが一番楽なのだが、出来ないのなら仕方ない。



「だが、これでダンジョンを訪れる人間に、天から降る雨のごとく恵みがもたらされるはずだ。

全ての人間へマリア様の祝福があらんことを。

そのためなら、僕は馬車馬のごとく働くこともいとわない」



各ダンジョンに信の魔獣を配置し、罠は全て破壊し、侵入してきた者には丁寧に道案内するように命令する。

命令を受けた、元は信以外の配下の魔獣は、どうしてこんな命令されたのだろうかと不思議に思いつつ仕事をしていた。



◇ ◇ ◇ ◇



・21番牢獄の様子



食い倒れが持ちこんだ情報を人工音声が翻訳、まとめた。



「むむ……各階層に、他の164ダンジョンから集めたボスが居るでござるか」


「といっても、一部のボスが引き抜かれた感じだな。

階層は89階層か。普通だな」


「キィィイエエエエエエ!(ボス相当おおよそ1200体くらいや。

その中でSS相当は300体、SSS相当は40体や)」



食い倒れの言葉を人工音声が翻訳した。



「……情報が少ねぇ。

おい、ダンジョンの罠やおおまかな地図はどうなってる?」


「キェェエエエエ!(そこまで調べる時間は無かったさかい。

きっちり調べたら、3週間ほどかかるで?)」



翻訳された言葉を聞いて、亜理子は考え、結論を出した。



「今攻めるのは時期早々だな。

よし、ティラノ、お前は引き続き情報収集だ。

テメーらも、それでいいな?」


「「「イーッ!」」」


「海賊ダンジョンの貴君が言うなら、それが良いのだろう。

好きにしてくれたまえ」


「3週間も愛猫に会えないのでござるか……拙者のことを忘れられそうでござる」


「ぺろぺろ……」



閏は、昨日の景品としてニーに買ってもらった手の平サイズの亀を舐めている。

金魚を買ってもらうつもりだったが、金魚は高いし水槽が必要だから、亀に変更したらしい。

亀は自分が食われると思って首を引っ込めている。



「ふー、約8時間ぶっ通しプレイってところか。

ちょっと休憩っと」


「キェェエエエエエエ!(主! ワイ、ダンジョン調査を任されたさかい。

行ってきてもええか?)」


「ん? そうなのか。

行ってらっしゃい」


食い倒れは、村人AのVR操作で姿を消した。

監視カメラには、食い倒れが監視し続けているように映像が偽造されていた。


命は、ゲームで凝り固まった体をほぐしながら、信のダンジョン情報が書かれた紙をちらりと見る。

そして思う。信の配下のボスの割合が少な過ぎないか、と。

ダンジョン階位1位のくせに、階層少なくないか、と。


だが、そんなことよりもネトゲの続きがしたかったので、休憩後再びヘッドギアを被るのだった。



◇ ◇ ◇ ◇



・伊乃田命視点



今プレイしてるソード・アソート・オンラインは意識フルダイブ型の、アクションゲームだ。

魔法のない剣の世界で、プレイヤーは冒険者となったり、生産職その他の職業になり、自由に生活している。


俺は冒険者となり、知り合ったパーティ『マシーン・ラビリンス』の連中と火竜のダンジョンに潜っている。

現在、ダンジョンボスの火竜と戦っている。


ダンジョンのボスにはライフゲージのバーが3本あり、バーが1つ減るごとにボスが覚醒強化する。

最初は火を吹くだけだった竜は、今は体を赤く発光させ、5回爆発する火の大球を吐いてくる。


俺は前衛だが、あまりダメージを与えることは出来ない。

ま、プレイ時間が少ないから弱いのは仕方ないのだが。


パーティリーダー・ダイノが鎌で竜の首を狩る。

竜の頭は断末魔をあげて、動かなくなった。


そしてボス討伐報酬として、鱗が1つだけ出る。

パーティだろうとソロだろうと、ボス討伐報酬は1つだけである。

即席パーティだと、報酬の取り合いでPKプレイヤーキルが始まるとか。

おっかねぇ。

というか人数分用意しろよ。運営に文句言ってやる。


ま、俺は道中で手に入ったモンスターのドロップ品だけでもウマウマだからかまわないけどな。



「おい、信の。お前がその報酬を手に入れろ」



リーダーがそう告げる。

信の、とは俺のプレイヤーキャラ『信の将来はこんな感じ』の略称である。



「いいのか?」


「ああ、その代わり、数週間の間、俺達のパーティに居ろ。

なぁに、悪いようにはしない。

装備作成とパワーレベリングに付き合ってやるぞ」



俺以外のリーダー含む4人が頷く。

言っちゃ悪いが、ダイノ達のレベルはそれほど高くない。

パワーレベリングに関しては、ギルドで高レベルの人と組んだ方が、効率が高いだろう。


だが、こうして知り合ったのも何かの縁。

今のところ俺にとってメリットしかないし、気の良い連中だったので、しばらくこのパーティに居続けることにした。


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