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65/71

65.運営のダンジョンの女神達は何をやってるのでしょうか。文句言ってやりたいですね。


前回までのあらすじ。

命以外の、21番牢獄の4人は力を合わせることにしたようだ。


----------------------------*----------------------------



夜11時くらいの、牢獄の明かりが消えている時間に、村人Aがどこからともなく現れた。

手に段ボールっぽい箱を持って。



「マスター、注文の品が届きました!」


「おお! サンキュー!

さっそくゲームするから、俺の意識が無い間は適当にサポートしておいてくれ」


「次の命令キター! 任されました!」



俺が村人Aに注文していたのは、オンラインゲーム『ソード・アソート・オンライン』の永久プレイ権と、ヘッドギアだ。

CRホムンクルスへの課金で近未来から買い物が出来るのは、きっとアレだろう。

今のスマホみたいに、便利な機能を一通り詰め込んでみました、みたいな感じなのだろう。

買い物時には、いくらか手数料がCRホムンクルスの会社に取られているみたいだ、ちゃっかりしてる。


ま、そのおかげで、俺はこうして新たなゲームを手に入れることが出来た。

ゲームはMA硬貨で入手したため、当然DPによって購入したアイテムの使用が出来ない、という制約は受け付けない。


さっそく俺はヘッドギアを付ける。

視界が暗転する。



『ご購入ありがとうございます。

ソード・アソート・オンラインの世界へようこそ』



人工音声さんと違った、生の人間が収録した女性の声が聞こえる。

そして、画面が切り替わって行く。

森、火山、海、空。



『この世界では魔法は使えません。

ですが、本物そっくりに作られた精巧かつ芸術的な世界が、あなたを楽しませてくれるでしょう』



続いて、中世っぽい町が表示された。



『遊び方は自由です。

ダンジョンを攻略するも良し、鍛冶屋になって冒険者のサポートをするも良し、盗賊になって悪事を働くも良し。

現実と違い、努力が必ず報われる世界です。

そして、強い者が正しい世界です』



現実だと、努力してもその方向がトンチンカンな奴は報われないからなぁ。

あと、強い者が正しいってのは、現実でも真理じゃないのか?

ま、そんなことどうだっていいけどな。



『では、あなたのアバターを作成してください』



アバターは金髪の渋いオッサンにした。

名前は『信の将来はこんな感じ』で決定。

よーし、まずはチュートリアルクエストから消化するぞ。


俺は他の連中が寝てる中、オンラインゲームにいそしむことにした。



◇ ◇ ◇ ◇


・村人A視点



現在、朝7時3分28秒。


マスターはヘッドギアを頭に装着して、オンラインゲーム中です。

他の4人のダンジョンマスターや、あの金髪ダンジョンマスターにマスターの邪魔はさせません。



『おはよう! 気持ちの良い朝だね!

さっそく君達に朝食をプレゼントしよう!

マリア様への祈り方も教えるから、僕に続いて復唱するように!』



テレビに金髪ダンジョンマスターの姿が映り、変な事を言っています。


ダンジョンマスターは食事は必要ないはずなのですが、別に食べたからといって問題はありません。

ですが、現在マスターはゲーム中。

マスターの姿を【VR自由表示】で消し、私がマスターの姿へと変身します。



「キェェエエエエエ!(朝食、持ってきたでー!)」



食い倒れさんが牢獄の、食事受け渡し窓の鍵を開けてトレイを5つ寄こします。

私と4人はそれを受け取ります。



『マリア様、我ら貴方様の慈しみに感謝し、この食事を頂きます』



食前や食後の祈りの言葉は、地域や、それこそ人によって様々です。

が、キリスト様でなくマリア、しかもアーメンを言わない祈りはマイナーです。

まあ私には関係ありませんが。


この21番牢獄の皆さまは、映像と音声が偽装されて都合の良いように向こうに伝わるのを知っています。

だから、誰ひとりとして祈りなんて捧げていません。



「ムカつくけど、うまそうじゃねーか。

いっただきまーす」


「ふむ、これは良いアスパラを使っているスープだ」


「美味でござる」


「……食事なんて、いらないの」



閏以外はおいしそうに食べてますね。

私もいただきましょう。



「……む!」



ポタージュ風のスープにパン。

割とオーソドックスな朝食ですが、なるほど、これは美味しいです。

スープに使っているダシに秘密がありそうですね。


後から知ったことですが、食事はミルフィーユさんが作っていたみたいです。

無理やりではなく自主的に働いているみたいだから、放っておいてもいいでしょう。



『食事が終わった者は、食後の祈りもするように。

マリア様、今日もまたおいしい食事を感謝します。

我らを見守っていてください』



それにしても、金髪の彼、ずいぶんと短い祈りですね。

まるで子どもがするみたいな。

……ひょっとして子ども時代に転生してダンジョンマスターになったのでしょうか。



『では、食べ終わったら、1番の牢獄から順に教会に連れて行く。

そこで牧師様のありがたい説教を聞くようにね。

それ以外の部屋の皆には、聖典の書写をしてもらうよ』



食い倒れさんから、聖典と紙とボールペンの書写セットが渡されます。

こんな物を喜んで書くダンジョンマスターなんて居るのでしょうか。



「おっ、この紙とボールペン、アイテム使用制限に引っ掛かってねーぞ。

よし、お前ら、これ使って作戦会議しようぜ」


「「「イーッ!」」」


「おお、小人達も協力してくれるのでござるか!」



ダンジョン改造屋は、マスターがゲーム中だから構うことが出来ず暇してるみたいで、彼らに協力するらしいです。



「キェェエエエエエ!(よし、ワイも参加するで! さっそく情報や!)」



食い倒れさんが持ち込んだダンジョン情報を元に、どのようにダンジョン攻略するかの話し合いが始まりました。

人工音声さんが、食い倒れさんの喋った言葉を翻訳しています。


それにしても、運営のダンジョンの女神達は何をやってるのでしょうか。

文句言ってやりたいですね。



◇ ◇ ◇ ◇


・上位の神視点



ここは天界。

私はここで自分に与えられた世界の管理をしています。


それにしても、ああ……今日も素敵なお姿で、あのお方はゲームしてらっしゃいます。

なんて凛々しい。


その姿を近くで見たくて、つい前世の彼をポックリ逝かせ、私の管轄世界へ転生させたのですが、職権乱用で位が落ちてしまいました。

反省反省。



「というわけで、しん・セイクリアのダンジョンマスター権限をはく奪したいんだな」



ええい、パチモとかいう銀髪の小娘がうるさいです。



「本人がそう望んでいないのなら、許可できません」



私はそう告げます。

まったく、そのくらいのことで私をいちいち頼るのは止めて欲しいものです。



「でも、このままだと信がダンジョンを占有し続けるんだな」


「命さ……ごほん、伊乃田命いのだまことが何とかしてくれるでしょう」


「彼が? いくら彼でも、信の本気のダンジョンには敵わないんだな」


「普通に戦うならそうでしょう。

あなた方ダンジョンの女神ですら、信の本気のダンジョンには撃退されます。

ですが、それでも命さm……げほっげほっ、伊乃田命なら問題なく対処するでしょう」



しばらく私との会話の後、あの小娘のパチモは、納得していない顔で帰って行きました。

やれやれ。これであのお方の観察が続けられる。


ああ、幸運の女神なんて職業でなければ、会いに行くのに。

届けこの想い。



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