49.人の魔獣を盗むなよ。運営に文句言ってやる。
前回までのあらすじ。
Yu-Gyo-Ohカード大会が終了した。
ババアがさらわれた?
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「さらわれた? 誰に?」
『湖の底から触手が伸びてきて、そのまま引きずりこまれました!
この湖の底、どうやら水中ダンジョンになっているようです!』
村人Aは、その水中ダンジョンに潜っているらしい。
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ダンジョンマスターの1人、雅姫閏の湖底のダンジョンですね。
ちなみに彼女のダンジョン階位は16位です。
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人工音声さんの説明によれば、上位ダンジョンマスターのダンジョンが湖の底にあったとのこと。
ダンジョンマスターの仕業かよ。
人の魔獣を盗むなよ。
運営に文句言ってやる。
「で、お前は何をやってる?」
『ババアさんを助けようとしたのですが、地の利が向こうにあるので、未だ交戦中です』
「お前はダンジョン配下じゃないから、死んだらそれっきりだぞ?
無茶するなよ」
『私は不老不死だから死にませんよ?』
「いいから、早く帰れ」
『ハァハァ……マスターの命令なら、仕方ないですね!』
村人Aは魚の突進を避けつつ、ライトセ○バーで応戦していたが、俺の命令を受け、逃げるように泳いだ。
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ホムンクルス(村人A) Lv:15
スキル:【粒子分離】【加工マスター】
【中級魔法マスター】【農耕マスター】【遺伝子組み換え】
【作物育成加速マスター】【光子銃マスター】【剣士マスター】
【消費MP25%減】【成長加速4倍】
ゲーム限定スキル:【課金】【課金アイテム購入】【VR自由表示】【万能スキャン】
HP 466/466 MP149/149
力80 頑丈さ143 素早さ355 知識114 魔法力52 器用さ91
錬金術師により生み出された人造人間。
その身は不老不死であり、主人の命令を命がけで遂行する。
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【VR自由表示】は光の虚像効果の時間限定版らしい。
それを使って影分身みたいなことをしたり、魔法をVRで表示してフェイントに使ったりしている。
村人Aは大丈夫そうだな。
問題はババアだが……
「ババアに命令だ。自爆しろ」
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……よろしいのですか?
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助けに行って損害を被るくらいなら、蘇生させた方がDP的に考えてお得だからな。
何かデメリットでもあるのか?
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デメリットはありませんが、雅姫閏が怒りますよ?
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そんなの知るか。早くしろ。
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ババアの自爆が確認されました。
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よし、蘇生だ。
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蘇生 人工女王人魚(ババア) Lv:50(2500DP)
手持ち4,560,835DP→4,558,335DP
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機械人魚のババアが俺の前に現れる。
「……はっ?!」
「よぅ、お疲れさん」
「ああ、私、助かったのね……」
ババアはぐったりと倒れる。
一体何があったのだろう?
◇ ◇ ◇ ◇
・雅姫閏視点
青の髪を伸ばし、人魚に変身した18歳の女性、雅姫閏。
彼女は湖底のダンジョンのダンジョン機能で、ダンジョン内に限り水生生物に変身出来るのだ。
そうでないと、自分のダンジョンで溺れるという馬鹿げたことになってしまうから。
彼女の腕に抱き抱えているのは、グチャグチャになった、ババアだったもの。
水の魔法を体の内部で暴走させたのだ。
ぺろり。それを彼女は舐める。
「駄目なの。反応がないの。面白くないの」
彼女の趣味は、水生生物を舐めて反応を楽しむことである。
ダンジョンマスター中級者以上は、ほとんどが変わり者であり、命や亜理子はまだマシな部類と言える。
閏は、せっかくの暇つぶしを取り上げられて不機嫌になる。
「取り返しに行くの」
彼女に従事しているダンジョンアドバイザーは居ない。
彼女が殺し、それっきりである。
水生生物以外には興味がないのだ。
ダンジョンアドバイザーが居れば、伊乃田命のダンジョン情報を教えてくれただろう。
だが、彼女は配下を使って情報収集することにしたので、発見に時間がかかった。
「ふふ……」
閏は金魚を水槽から取り出し、舐める。
ぺろり。金魚は麻痺し、ビクビク暴れて死んだ。
◇ ◇ ◇ ◇
今回の成果。
増減前4,560,835DP
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収入0DP
支出2500DP
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現在4,558,335DP
手持ち1DKP
過去3年の記録11DKP