47.今日は俺が大会運営になる(前半)
前回までのあらすじ。
11連ガチャ引換券(ゲーム)の100枚綴りを貰った。
五島亜理子に帰ってもらった。
村人Aが湖でレースを開催した。
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入手 「自然獲得(500DP)」
手持ち4,330,335DP→4,330,835DP
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入手 「サイバーファームでの屠殺」(230,000DP)
手持ち4,330,835DP→4,560,835DP
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昨日の五島亜理子による災厄ネズミの被害は、せいぜい700匹程度だった。
幸い10階層のファームは無傷だったので、現在2300匹の災厄ネズミでDP稼ぎをしている。
1日230,000DPと稼ぎは減っているが、十分だろう。
それ以外の動物は、増えたら屠殺せずに機械ゴブリン達に頼んで、無駄に広い大部屋に移動させている。
8階層のサイバーファームが復旧するまであと2日。
復旧し次第、そちらへ移してもらうつもりだ。
そして現在、俺は無駄に広い大部屋に設置したアイテムスポナー【Yu-Gyo-Ohカードパック】からスポーンしたパック15日分、1500パックを機械ゴブリン達と一緒に開封中だ。
彼ら、パックを回収していたのはいいものの、手を付けずにそのまま『命様、どうぞ』って差し出しやがったからな。
当然、カードの遊び方はあまり知らなかったから、俺はyo○tubeからプレイ解説動画を探してようやく遊び方を身につけた。
そして、その知識をダンジョン配下全員に伝えるよう人工音声さんに頼んだ。
彼女は呆れながらも言う通りにしてくれた。
さて、このカードゲーム、基本的なルールは同名カード3枚までの40枚の山札を作り、魔獣を戦わせて相手のHP8000を削ったら勝ちらしい。(もちろん例外はある)
1パック5枚入りなのだが、たまに40枚以上入ってるストラクチャー山札とかもある。
開封の途中で村人AがVRを駆使した対人戦を始めたので、適当に応援しつつ開封作業を進め、ようやく完了した。
「ギャギャー(つ、疲れました)」
「ギャア……(腕がつりそうです……)」
「おう、お疲れさん」
あとはこれを皆に配るだけだ。
「キェェエエエエエエ!(助けてや主ー!)」
「何事だ?」
俺の部屋に現れる機械Tレックスの食い倒れ。
何かまた厄介事が起きたのか?
「キャーキャキャキャ!
(ダンジョンの連中が、一部の奴らばっかり優遇されてズルい言うてんのや!
ワイに八つ当たりされても知らんがな!)」
がっくり。
俺は頭を垂れた。
ただの同僚いじめ(?)じゃねーか。
「そんな事で騒ぐな! ったく、紛らわしい」
「キィェエエエエエエ!
(ダンジョンの配下の機嫌を管理するんは主の役目やんか!
何とかしてーな!)」
食い倒れの意見も尤もだ。
積み重なる不満は、仕事効率の低下、上司との関係の悪化、やがてはストライキへと繋がるだろう。
ここはダンジョンだけど。
俺は目の前のYu-Gyo-Ohカードの山を見て、ふと思いつく。
「大会を開催しよう」
「キャ!(なんやて?)」
「ダンジョンで、Yu-Gyo-Ohカード大会を開催しよう」
「キェェエエエエエエ!(カードゲームするのはいいけど、配下のストレスはそれで和らぐとは思わん)」
「商品を工夫するんだよ。上位入賞者には俺からそいつが望む物(ただしDP的に無茶でない物)をプレゼントしてやる。
それでどうだ?」
食い倒れは考え、ニコリとする。
こぇぇよ。
「キィィェェェエエエエエエェエ!(良い案や!
さっそくカードを配るさかい!)」
「待て、全員に配ったら枚数が足りない。
希望者だけでいい」
俺は食い倒れと機械ゴブリンどもに、カードの山を無駄に広い大部屋へ持って行かせる。
俺も一緒に付いて行くことにする。
◇ ◇ ◇ ◇
ここは10階層、無駄に広い大部屋。
人工音声さんに依頼して、俺の言うことが配下全員に伝わるようにしてある。
「というわけで、参加者は40枚の山札を作って食い倒れに参加希望と言うこと!
ただし、山札を作る時は、このリストに書いてあるカードは使わないでくれ!」
俺は食い倒れの横に置いてある掲示板に、禁止カードリストを貼る。
「にゃ!(どうしてこのリストのカードは使っちゃ駄目なの?)」
白い猫又のミルフィーユが聞いてくる。
「そうだな、おい、そこの機械ゴブリン剣士。
俺と公開試合をするぞ。
お互い禁止カード入りで、な」
「ギャギャ(いくら命様といえど、始めたてのゲームで我々機械に勝てるほど甘くはありませんよ?)」
20分後、俺達は山札を完成させる。
「よし、勝負だ」
「ギャギャン(手加減しませんよ!)」
「デュエル!」「ギャ!(デュエル!)」
山札をシャッフルし、ゲーム開始。
俺の先手だ。
お互いに手札を5枚引いて開始だ。
次のターンからは開始時に1枚山札を引く。
「ギャギャギャ!(先手は攻撃できませんよ!
私のターンが来たら、大型チート龍の総攻撃で終わらせてあげますよ!)」
「俺のターン。週末マキュリ落として、瓶瓶成り金抹殺施し施し欲張り欲張り工場工場……手札に封印されしエッグマフィンのパーツが揃ったから俺の勝ちだ」
「……」
俺は大量のチートドローカードを使って、封印されしエッグマフィンを揃えてやった。
特殊勝利条件として、このパーツが揃えば、無条件で勝利となるのだ。
ワァァァアアアア! パチパチパチ!
ギャラリーが盛り上がっている。
「ギャギャ!(命様の山札が強すぎるから負けたんです!
カードの良し悪しの差です!)」
「なら次は山札交換して勝負な。
……ふむ、6枚ほど入れ替えていいか?」
「ギャ(いいですよ。私も命様がやったように先手をとります)」
「どうぞ」
シャッフルし、俺達は再び対戦することにした。
ただし、相手が使う山札は先ほど俺が使った山札だ。
普通にやったなら勝てないだろう、だが、
「デュエル!」「ギャ!(デュエル!)」
「ギャギャギャー!(増軍週末マキュ……)」
「ヴェイラを捨てて無効にするぞ」
「ギャギャ!(何?! ならば成り金、まっさ……)」
「ドロックバードを捨てて、このターンお前はもうドローは出来ない」
「ギャ(なん……だと……)」
「で? 他に何かあるか?」
「ギャギャ(く、ターンエンドです)」
「俺のターン。抹殺施し施し苦渋苦渋、で聖龍4体を効果で捨て場から召喚。
全員で攻撃」
「ギャン!(ぎゃー!)」
最新式のYu-Gyo-OhカードはVRビジョン対応らしく、迫力のある聖龍達が剣士ゴブリンを攻撃した。
彼のHPが0となり、俺の勝利だ。
「ギャギャ(参りました)」
「と、このように一方的な試合になってしまう強力なカードは使用禁止にしたわけだ。
分かったな?」
ゲームバランスってのは難しいものだ。
格闘ゲームでも、MMORPGでも、キャラの強さの修正がしょっちゅう入る。
カードは一度刷ってしまえば変更は出来ないので、このように使用禁止カードを作るなどのルールにしなければならないのだ。
「よし、禁止カードの重要性も理解してもらったところで、参加者は山札作成に励むように。
上位8位以内の者にはダンジョンに無理が生じない程度なら望む商品を用意してやるぞ」
商品の話をした瞬間、周りの目の色が変わった。
「にゃ!(食堂施設の増設!)」
「ギャギャ!(ゴブリン専用エロゲー!)」
「キッキッ(上質な蜜を出す花!)」
「グォォオオオオオオ!
(そういう話なら我も参加するぞい。
戦闘訓練施設を寄こすぞい)」
「イーッ!(ダンジョン階層最大数を
増やして欲しいアル!)」
「イーッ!(いや、自分用ダンジョンが欲しいペコ!)」
「イーッ!(罠がもっと欲しいっス)」
よしよし、皆食い付いたな。
俺に叶えて欲しい事がある奴は、全員参加するだろう。
ダンジョン改造屋のニーは自分用ダンジョン追加とか無茶を言ってるが、それ以外なら何とかなるはずだ。
だが、願いが叶うのは上位8名のみ。
せいぜい頑張ってもらいたいものだ。
◇ ◇ ◇ ◇
今回の成果。
増減前4,330,335DP
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収入230,500DP
支出0DP
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現在4,560,835DP
手持ち1DKP
過去3年の記録11DKP
カードゲームは描写が難しいです。