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36.嘘つきやがったな人工音声さん。運営に文句言ってやる。

前回までのあらすじ。

スィーツが届いた。

----------------------------*----------------------------


・ミルフィーユ視点



ボクはミルフィーユ。ダンジョンマスターさんの配下の、白い大食い猫又。


副ダンジョンマスターなんて大役を任されたから、ダンジョンマスターさんが苦手な外交をやってるよ。

(命は、副ダンジョンマスターにミルフィーユを指名したことなんてとっくに忘れている)


最近はジズ、ベヒムス、リヴァイアの3人の冒険者さんを通して、ヴェガ大国に交易を持ちかけてるの。


交易品はサイバーファームで育てた野菜と動物。

彼らは高値で購入してくれるんだ。


もうすぐ交易がはじまり、大量にMA硬貨が手に入る予定。

入ったお金で、おいしい食べ物もいっぱい買えるね!



「それにしても、猫の魔獣と取引することになるとはなぁ」


「ミルフィーユちゃんはスゴイってことよ!(もふもふ)」


「よくそんな獣くせぇのと戯れられるなぁ」


「何ですってー!」



ボクはリヴァイアお姉さんにだっこされて移動中だよ。

よく撫でてもらってるけど、とっても気持ちいいんだ!

ちょっと、くすぐったいけどね。


……ん? ダンジョンマスターさんからの命令?



『おーい、スィーツがあるから帰ってこーい』


「にゃ?!(スィーツ?!)」



ダンジョンマスターさんがそんな物を用意してくれるなんて!

普段ゲームのことしか考えていないのに!(失礼)



「にゃー(今行くよー!)」


「あっ! ミルフィーユちゃん!」



ボクはリヴァイア姉さんから飛び降りて、ダンジョンへ駆ける。


冒険者さん3人もなぜか追いかけてくる。



「急な配下の呼び出し……怪しい動きだ! 要警戒!」


「あぁ! 逃すか!」


「待ってミルフィーユちゃーん!」




◇ ◇ ◇ ◇




「で、何で連れてきたし」


「にゃ(え、まずかった?)」



ダンジョンマスターさんは頭を抱えている。



「こいつらがうっかり死んだら、大量のMA硬貨が手に入る交易が台無しになるところだったんだぞ。

俺がすぐに気付いて攻撃中止命令を出したからよかったものを」


「にゃ(ごめんね、ダンジョンマスターさん)」


「ちっ。配下用エレベーターのくせに配下以外を運んでるんじゃねーよ。

運営に文句言ってやる」



ボクはうっかり、冒険者3人と、そのまま10階層のダンジョンマスターさんの所まで来ちゃった。


どうやら配下用エレベーターは、配下と同行すれば乗ることが出来るらしいね。



「それでそこの3人、俺に何か用か?」


「(現在ギルドマスターとテレパシーで繋いでいる。

俺に何かあったりダンジョンマスターが何か漏らせばそれが伝わる)」



ジズは何か考えているみたい。どうしたんだろう?



「てめぇ、配下を呼び戻して何を企んでやがる?」


「(おい! 直球で聞くなよ! 機嫌を損ねたらどうする!)」


「ミルフィーユを呼びもどした理由? そこのスィーツを食べさせるためだが?」



ダンジョンマスターさんは箱を開ける。



「にゃ(こ、これは……何て神々しい!)」


「おいしそうなお菓子ね」


「10個もあるから、お前らも食う?」



ボクたち5人はスィーツを2個ずつ食べることにしたよ。


ダンジョンマスターさんはなぜかスィーツ2つが乗った皿を地面に置いて『人工音声さんどうぞ』って言ってた。

そしたらダンジョンがスィーツを吸収しちゃった。もったいない。





◇ ◇ ◇ ◇




「おいしかったわ」


「にゃ!(ほっぺが落ちそう!)」


「ダンジョンマスター達は高級食品を手に入れられると聞いていたが、これほどとは……」


「何だか力が沸いてくる気がするぜ!」


「にゃん(ダンジョンマスターさんありがとう!)」


「どういたしまして」



こんなおいしいお菓子、ボクでも作れないよ!


3人の冒険者は、未だうっとりとした表情でボーッとしてるね。



「おい冒険者。俺はタダ飯を食わせたわけじゃないぞ。

きっちり対価として情報をもらうからな」



さすがダンジョンマスターさん! 後から対価を要求するなんて、汚いや!



「俺達が知ってる情報なんて、もうほとんどないぞ?」


「最近他の国が、大型ダンジョンによって壊滅寸前にされたって聞いたな」


「(おいベヒムス! せっかくの情報を喋るなよ!

交渉の手札がなくなるだろ!)」


「あとは、この国は比較的被害なしってところかしら」


「(リヴァイア、お前もか! もうヤダこいつらー!)」


「そんな諸国云々は興味ないんだ。それよりお前らは娯楽って何してる?」



ダンジョンマスターさんは諸外国の事情よりも娯楽、というかゲームに興味あるみたい。



「娯楽? それを知ってどうするつもりだ?」


「トランプ、すごろく、チェス、ボーリング、テニス、コロシアム観戦……こんなところか?」


「おい。今トランプって言ったか?

トランプ無いって嘘つきやがったな人工音声さん。運営に文句言ってやる」



ダンジョンマスターさんが運営に文句言ってやる、って言ってるのは、ネトゲに没頭してた頃にβ版のネトゲの完成度を高めるために、積極的にゲームに意見してた名残だ、って言ってたね。


……ネトゲって何だろう。おいしいのかな?



「え? 人工音声さんも知らなかった? 何だ、それなら仕方ないな」



ダンジョンマスターさんは人工音声さんと会話してるけど、独り言を呟いている危ない人に見えるね。



「町で手に入る物はDPを使うまでもないな……

よし! 冒険者に命令する! 次の交易で娯楽用具も持ってこい!」


「え?」


「はぁ? 何で俺達が」


「いいから従っとけ。分かった、ギルドと国に言っておく。

(これはチャンスだ。魅了魔法持ちのダンジョンマスター使いを

接触させる機会が増えるかもしれない。例えば一緒にゲームさせたりとかな)」


「ミルフィーユちゃんも交易で譲ってくれない?」


「うちの大事な掃除機だから駄目」



掃除機って何だろう。おいしいのかな?



「さて、他に欲しい物はないか? ついでに申請するぞ?」



ダンジョンマスターさんに欲しい物はないか、ジズが聞く。



「特にないなぁ」



ダンジョンマスターさんはもうちょっと欲を出してもいいと思うよ。



「そうか。なら俺達は帰ろう。送ってくれミルフィーユ」


「えー、ミルフィーユちゃんともっと居たいわ」


「ダンジョンに長居するとか正気かオイ」


「その通りだ。ダンジョンは侵入者から生気を少しずつ吸収するって話だ。いつまでも居ると死ぬぞ?」


「はーい」



ボクは3人の冒険者さんをダンジョンの外に案内してあげたよ。

ダンジョンに長居すると死ぬってのは迷信だけど、それを教えることもないよね。



「にしてもトランプがないのなら中世の初期かと思ったが、紙が普及してるということは少なくとも……待てよ?

なぜダンジョンアドバイザーの知識が古いんだ?

もしかして女神の知識が古い? あるいは……」



ダンジョンマスターは本当に独り言を呟いちゃった。

ちょっと危ないね。後で注意しよう。



◇ ◇ ◇ ◇



今回の成果。


増減前4,988,210DP

---------

収入0DP

支出0DP

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現在4,988,210DP





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