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31/71

31.見つけたら潰すべし。酷いや。ギルドに文句言ってやる。


前回までのあらすじ。

侵入者の冒険者3人とゲームをすることにした。

----------------------------*----------------------------


『改めてルールの確認です。審判は私とジズさん。

ルールは、ターン制で質問をし、嘘をついたら負け。

質問には必ず答えること。ただしパスは1回まで可能です』


「あと、質問は“クエスチョンマーク”で終わらせること。

ってことで、始めていいか?」



人工音声さんのルール確認に、俺が補足する。



「ああ」「おう」「ええ」



冒険者チームも納得したことだし。



「じゃ、始め。ターンは俺、ジズ、ベヒムス、リヴァイアの順な」



まずは俺からの質問。



「お前ら冒険者って何人くらい居るの?」


「知らねー」


「国に5000人くらいだったかしら」


「去年の統計で、5312人だ」



人工音声さんに反応なし、か。


国に、と言ったということは、この国の数ということか。

他の国でも同じくらい居るんだろう。



「次は俺の番だ」



ジズの番だ。彼はこのパーティのリーダーらしい。

武器を身に着けておらず軽装だった。モンクだろうか?



「(このルールは明らかに俺達が不利。人工音声とやらが公平である保証がない。

つまり、相手が確実に嘘をついていると俺達が証明できなければ、

俺達の負けということだ)」


「このダンジョンの弱点は何だ?」


「弱点? ダンジョンに弱点ってあるのか?」


「例えば炎のダンジョンだと水魔法に弱い」


「ああ、ダンジョンの中の魔獣の話か。……そういえば、俺も知らないなぁ」


「(やはり審判はダンジョンマスターに味方している。

これは確実に知っているはずの知識だ。つまり……俺達の勝ちだ!)」


『ああ、魔獣の耐性ですね。全属性20%軽減くらいです。

弱点はないですね。しいて言えば電気が何百年も使えない空間だと厳しいです』


「ということらしい」


「くっ……(審判が情報を流すのは想定外だった。

審判が嘘をついているかどうかはゲームルールに触れていない。くそ……!)」


「次の方どうぞー」



リヴァイアは魔女っぽい恰好の冒険者だ。



「このダンジョンでは、どうやってDPを入手してるの?」


「外から来た魔獣や、お前らみたいな冒険者を倒したり、サイバーファームで屠殺とさつしたりだな」


「(駄目だろリヴァイア。ダンジョンマスターによってDPの稼ぎ方はそこまで違わないというのに、わざわざ聞くまでもないことを)」


「で、次は?」



次のベヒムスは大柄な太っちょの冒険者だ。



「おう。お前彼女いるのか?」


「いないな」


『いませんね』


「はっ! 俺はいるぜ! 町にとっておきの可愛い」


「はい次は俺の番」


「聞けよ!」


「(自分の彼女の自慢してる場合か! この馬鹿!)」



◇ ◇ ◇ ◇



あれからしばらく経過した。


俺とジズはパス0回。リヴァイアとベヒムスはパス1回だ。


次は俺の番だ。



「ダンジョンマスター・テイマーは国にあと何人いる?」


「2人だ」「2人ね」「だな」



ゲームと称して、俺はこの3人から情報を絞り取っている。

ついでにリヴァイアの3サイズを聞こうとしたらパス1された。


とにかく、外からダンジョンがどんな風に見られているのか、何となく分かってきた。


つまりアレだ。俺たちダンジョンマスターはゴキみたいな扱いなのだ。

見つけたら潰すべし。酷いや。ギルドに文句言ってやる。



「このダンジョンに大部屋はいくつある?」



ジズの質問だ。彼はダンジョンの構造や弱点など的確に聞いてくる。

それなりに有能なのだろうか。



「知らん。ダンジョンマップを見れば分かるが、答える義理もないしな」


「知らないって答えは卑怯だろ?!

本当に知らないかどうか、誰も証明出来ないじゃないか!」


「だってイチニーサンが管理してるしなぁ」



んー、確かに知らないというのは、ちょっとズルいか?



「なら今度からは、知らないってのはナシだ。不確定だろうと答える。

ただし答えが正確でなくても本当に知らない場合、嘘はついていないものとする」


「ぐ……まあいい」


「ダンジョンマスターの夢は?」


「夢? 世界中のありとあらゆるゲームを遊んで暮らすこと?」


「ダウト!」


『嘘はついていませんよ』


「世界征服とか! 国を滅ぼすとかだろ!」


「そんな面倒そうなことするわけないだろう」



ジズ君はどうやら俺のことを邪悪な魔王みたいに思っているらしい。

心外だ。



「おい、俺の順番飛ばされたぞ」


「ああそうだっけ? ま、いいじゃん、次ベヒムス、どうぞ」


「俺達を、本当はどうするつもりなんだ?」


「さっき言った通り、勝てば帰すし、負けたらたっぷり働いてもらうぞ?」


「あんたと話してると、どうも噂に聞くほどダンジョンマスターって悪い奴じゃないのかもな」


「騙されるなベヒムス! Aランク冒険者10人を殺してるんだぞコイツは!」



恨まれているなぁ。仲良くするつもりは毛頭ないが。


さて、情報もだいたい手に入ったし、もういいか。

そろそろ追撃モードに入るとしよう。


俺のターン。



「俺から質問。何か一つ嘘をついてくれないか?」


「?!」「はぁ?! 何だそれ!」「……むぅ」



さあ、どう切り返してくる? つまらない答えはやめてくれよ?



「パス1だ(嘘をついたら負けるから、パスするしかない。

くそ……! そういう手があったか……!)」


「パス1……あ、駄目だ、くそー! 負けたー!」


「そうきたかー、これはもう終わったわね」


「(2人が今のでゲームアウト。次に俺が同じ質問をしても、

向こうはパスを1回残している。次のターンで俺の負け……)」


「参った……」


『3人の降参を確認しました。マスターの勝ちです』


「え? 何で?」



降参、早すぎじゃね?



「いや、嘘をつかずにその質問に返せないだろ。

詰みだ。俺達の負けだ」


「命令じゃないんだから、『ふん、やだね』って返せばいいじゃん。

それなら嘘つかずに済むだろ?」


「……」「……」「……」



冒険者一行はポカンとしている。



「え? 気付かなかったのか?

どんだけ馬鹿正直なんだよお前ら」



冒険者って、脳筋ばかりなんだろうか?


ルールの裏を突くのはゲームの基本だろうに。


俺はあと20種類くらい詰ませる質問を用意してたのに、つまらん奴らだ。


とにかく、ゲームは俺の勝ちだ。

次に同じゲームをするにしても、もうちょっと切れる相手じゃないと退屈だなこれは。





◇ ◇ ◇ ◇



今回の成果。


増減前4,924,020DP

---------

収入0DP

支出0DP

---------

現在4,924,020DP





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