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『ダンジョン突入』

連日投稿継続中です!

「はははははっ!!」

『ピギッ!?』

『グギャア!?』

「おらおら!どんどんかかってこい!!」


俺とミランダさんがダンジョンに入って数十分が経過しただろうか。

ミランダさんは出てくる魔物ゴブリンやスライムを相棒【竜斬炎刃】で無双していた。


その表情はまるで遊園地ではしゃぐ子供のように可愛い。身体の至る所にゴブリンの血やスライムの破片が付いていなければ、なお良かっただろう。


ちなみに、この世界では魔物が死ぬと光の粒子となって消滅する。そして時々、魔物が消滅した場所からドロップアイテムが現れるのだ。

ドロップするのはお金やら素材、武器など、まるでゲームの世界みたいだ。


無邪気な笑顔で無双するミランダさんに対して、俺は何しているのかと言うと・・・


「・・・・・・」


何もしていない。

いや、明確に説明するとミランダさんの相棒【竜斬炎刃】の大きさが約2mで、それを振り回した事で発生する衝撃波が2m。

計4mに巻き込まれないようにさらに余裕を持って約8m離れた位置で待機し、進むと同時にドロップアイテムを拾いながらその後を付いていく。


ミランダさんはもう数十匹は倒しているので、かなりのドロップアイテムが地面に落ちている。そこで活躍するのがゲームでお馴染の【アイテムボックス】。


これは、この異世界から来た勇者の俺達全員が初めから所持していたもの。多分、女神が気を使って用意してくれたのだろう。

俺はそれを使ってドロップアイテムを回収している訳なのだが・・・


「これ傍から見たらミランダさんが勇者で俺がお供騎士じゃね?」


十中八九そうであろう。それどころか騎士ではなく家来に見られてしまっても不思議ではない。


俺は男として情けないと思ったが楽できるし、態々危険に頭を突っ込む必要はないし、経験値も貰えるからと俺は無理矢理割り切っている。決して魔物が怖いとかそういう事ではない。


『ギ、ギギ・・・』

「おっ?」


ミランダさんが軽快にダンジョンを進んでいき、その後を付いていってたが俺とミランダさんの間でゴブリンがゆっくりと立ち上がった。どうやら討ち漏らしのようだ。


丁度いい。せめて一匹くらい倒しておかないと自分の力がどの位あるのか分からないし、試してみよう。


俺は騎士に支給されている普通の剣を抜いてゴブリンに斬りかかる。


「おらっ!!」

『ギッギギャッ!?』

「えっ!?」


俺が斬りかかろうとした瞬間だった。

ゴブリンの頭から鋭い剣が生えてきた、と思ったらそれは違った。


それはミランダさんの相棒【竜斬炎刃】。恐らく討ち漏らしに気づいた彼女がゴブリンの頭に突きを放ったのだろう。

その討ち漏らしにトドメを刺そうとした俺に気付かずにだ。


ゴブリンの体長は約1m程度。俺の胸よりちょっと下辺りだろう。

つまり何が言いたいかというと、今ミランダさんの【竜斬炎刃】の切っ先が絶賛俺の胸元目掛けて向かっているんだ。


あっ、死んだ・・・と俺が思うよりも早く俺の身体は無意識に動いていた。


片足を前に抜くことによって体を後ろに倒す。柔道で言う【後ろ受け身】を行ったのだ。


俺は何とか躱す事に成功した。その時、ミランダさんの【竜斬炎刃】が俺の前髪かすめる光景がはっきりと見えている。


「・・・・・・」

「あ、危ねええええええっ!!」


事故とは言え、マジで死にかけたよ!

悪意無しな事故死なんて、前世だけで十分だ!!


九死に一生を得た俺は立上って服に付いた泥を落とす。

すると、ミランダさんがダンジョンに入って初めて俺に話しかけてきた。


「おう。大丈夫かカイト?」

「ええ、なんとか・・・」

「そうか・・・」


ん?なんかミランダさんの様子がおかしい。

さっきみたいな無邪気な笑顔は変わらないのだが、その笑顔は新しい玩具を見つけたかのような・・・


「そい!!」

「っ!?」


ミランダさんがいきなり俺に向けて突きを放ってきた。俺は咄嗟に剣で反らすようにして避ける。


「今のも避けるか!なるほどなるほど!」

「な、何がなるほどなんだよ!!」


俺は剣を投げ捨ててミランダさんにそう言い放つ。


剣はもう使い物にならなくなったのだ。

ただ1回、ミランダさんの突きを反らしただけなのに剣は罅だらけである。

それ程、彼女の攻撃力は凄まじいものだと理解できんだけど―――。


―――っていうか本当になに!?なんでいきなり斬りかかってくるの!?俺なんか気に障ることした!?


俺はミランダさんに視線を向けるとミランダさんは何やら話し出した。


「俺さ。戦いが大好きなんだ」

「はい・・・」

「だからだ!!」

「意味分かんねえよ!?」


笑顔で武器を再び構えるミランダさんに敬語を使うことも忘れて怒鳴った。

いや、本当に意味分かんねえって!もっと噛み砕いて説明してくんない?


「ああん?仕方ないな・・・。俺ってさオーガと人間のハーフなんだ」

「うんうん」


オーガって鬼の事だよな?デカいとは思ったがそういう血筋だからなのか?

流石はファンタジー。異種族結婚なんて普通なんだね。


「オーガは戦闘種族って言われてて、戦いが三度の飯よりも大好きなんだ!」

「うんうん」

「だから戦おう!」

「ちょっと待とうか!」


武器を構えるミランダさんに俺は待ったをかける。薄々気づいていたが、この人アホの子だ!血が騒ぐから戦おうってどこぞの野菜人でも言わないぞ!・・・言うか?


「何だ?早くやろう?」

「待って待って!俺はミランダさんが思っている程強くないですって!」

「いいや、お前は強い。間違いない」

「なんで断定!?強くないですって!!」


確かに普通の人よりは強いかもしれないけど、一般騎士よりは弱い。それに俺は勇者の中では最下位で一番弱いんだ!だから俺と戦ったってつまらないぞ!

・・・なんか自分で言ってて悲しくなるが戦闘になるよりかはマシだ。


「で、でしたらダンジョンの攻略が終わったら隼人君にミランダさんと戦ってもらえるように話しときますよ。隼人君は勇者の中で一番強いからきっと満足出来ます!」


「ハヤトってあのA級1位だろ?興味ない」


笑顔が一転して無表情で俺にそういうミランダさん。なんで?最下位より1位の方が興味でるよね!?


「俺はお前達勇者の訓練の担当をしているんだ。しかもA級のな」

「えっ?」


この人、教官だったの?明らかに人に教えるような事は苦手そうなのに・・・


「お前、失礼な事考えてんな?でもまあ、確かに俺が訓練でやっている事は俺との対人戦闘の訓練だけだからな」

「つまりA級の人とはやり飽きてるから違うランクの勇者と戦いたかったと?」

「そういう訳じゃねえよ。A級の奴らは確かに一般騎士より強い・・・『ステータス上』はな?」

「???」


なんか意味深な言い方をするミランダさん。俺は意味が分からず頭を傾けたが、構わず話を続けるミランダさん


「まあ、それでも俺はA級のステータスよりも上。ちなみにこれが俺のステータスだ」


そう言ってミランダさんはステータスを俺に見えるように表示した。





名前:ミランダ・ビュフベルト

性別:女

年齢:19

種族:人間とオーガのハーフ

職業:重戦士

レベル:40

状態:普通


H P:3800/4000

Ⅿ P:1200/1500

攻撃力:5000

防御力:3000

俊敏力:1500

魔攻力:300

魔防力:500

魅 力:300


通常スキル:【大剣術】、【大斧術】、【気功術】、【裁縫】、【料理】

固有スキル:【鬼人化バーサクモード


称号:【狂戦士バーサーカー



「驚いたか?これが帝国一の騎士と言われたミランダ様のステータスだ」


確かにこれは凄い!


「ミランダさんに【裁縫】、【料理】という乙女なスキルがあるなんて・・・!?」

「驚くとこそこかよ!?」


だって、今まで男らしさ満載だったのにここに来て女子力を見せてくるとは思わないじゃないか!


「べ、別に良いだろ!!裁縫とかぬいぐるみを作るときに必要だし!料理は女が作るものだろ!?」


ここに来て、ミランダさんはぬいぐるみが大好きで家庭的な女性である事が判明した。ギャップが激しすぎないか?


「って!スキルについてはどうでもいいんだよ!!問題はこの戦闘に関する数値だ!」


なんかはぐらかされたけど、そっちも気になるので聞くことにした。


「確かに隼人君よりも攻撃力や守備力は高いです。でも、総合的に見れば隼人君の方がバランスが良くていいのでは?」

「まあ、普通はそう思うだろうな。人っつうか、この世界の生物はステータスに踊らされている。実力の全てはステータスが正しいのだ、とな」

「・・・・・・」

「でも違う!このステータスはただの数字でしかない!それを十二分に発揮できてこそ本当の強さを手に入れる事が出来る!」


俺はミランダさんのいう事が理解できる。

例えるなら攻撃力が高くても、使用する武器が違ったり、近距離か遠距離だったりで相手に同じダメージを与えられるかと言うと違う筈だ。


ステータスで数値化されているのはゲームと同じだ。でも、ここは現実だ。

条件が異なれば、少し体調が悪いだけでその威力は十から一まで変動するし、もしかしたら、十から百に溢れ出すかもしれない。


「お前達、勇者やこの国の奴らは全員ステータスに惑わされている!カイトにも分かるだろう?今避けた動きは俊敏力1000程度じゃ躱せねえってな」

「確かに・・・スキル【脱兎】の補助があったとしても今のステータスで避けるのは普通に考えれば無理だったと思う」


俺の言葉に嬉しそうな表情をするミランダさん。そして、今にも襲い掛かってきそうだ。


「カイトはステータスでは表していない戦闘の才を持っているのかもな!ハヤトみたいに光魔法を覚えた天賦の才みたいに!」

「そんな大袈裟な・・・」


勇者で唯一、光魔法を覚えている隼人君。

その光魔法は覚えている人はかなり少ないと言う希少なもの。

帝国の講師にも光魔法を覚えている人は居ないからそれで中級まで覚えた隼人君には天賦の才があるのだろう。


でも、俺が避けれたのは戦闘の才とかそんな大層なものじゃない。偶然、避けれた。ただそれだけだ。


「ミランダさん。今のは偶然避けれたんだ。だから俺と戦っても楽しくなんてないよ。だから―――」

「さっきから補助魔法を自分にかけ続けて準備を行っているのにか?」


俺が喋っている最中にミランダさんにそう言われて黙り込んでしまう。


ここで、魔法に関して少し説明しよう。

よくある小説だと無詠唱は難しいってあるが、この世界では無詠唱は魔法が使える者ならば誰でもできる。

だが、口で唱えるのと頭の中で唱えるのとでは威力や効果が少し変わってくるのだ。


結果的に口で唱えた方が威力や効果も上である。だから、無詠唱で攻撃魔法を使う人は少ない。でも、補助魔法は別だ。

頭の中で唱えれば相手に気付かれないで能力を上げる事が可能だからだ。

後で聞いたが、この戦法は上級者向けらしく、普通は後衛の味方にかけてもらうのが普通らしい。


俺もそれに習い、補助魔法の防御力と俊敏力を上げる【ディフェンスアップ】と【スピードアップ】を心の中で唱え続け、逃げる準備を整える最中だった。でも、なんで分かったんだ?


「あーあ。カイトは素直だな。こういう駆け引きも戦闘では大事になっていくんだぜ?まあ、他の勇者よりかは見込みあるぜ?」

「あ・・・」


まんまと引っかかってしまった。確かにそういう駆け引きは分が悪い。


「さっきの攻撃も常に補助魔法をかけていたおかげだったんだろ?確かに【脱兎】だけじゃ無理でも補助魔法の重ね掛けだったら不可能じゃねえ」

「・・・ええ、その通り。ミランダさんは凄いね。だてに騎士分隊長をやってない訳だ」

「部下は1人もいないけどな!さあ、やるぞカイト!ゴブリンやスライム(雑魚)だけじゃ物足りなかったんだ!」


ミランダさんは完璧に俺と闘うつもりだよ。

でも、それだけは絶対に御免である。


「嫌なこった!俺は逃げる!闘いたかったら捕まえてみろ!」

「鬼ごっこか?オーガである俺と?いい度胸だ!!捕まえて俺が満足するまで闘わせてやる!!」


こうして、ミランダさんとのリアルな鬼ごっこが始まった。

ブクマ・感想宜しくお願いします!

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