『1ヶ月の成果』
連日投稿です!
暑さに負けず、頑張りましょう!
「はあ・・・。また最下位でしたよ、鎧さん」
「・・・!」
溜息を吐きながら愚痴を言う俺に肩を叩いて慰めてくれる鎧さん。本当にこの人は良い人だ。
俺がこの世界に来て早1か月が経過した。
その一か月の間、召喚された俺たち勇者は厳しい訓練の日々を過ごした。
その成果はちゃんと出ておりレベルはしっかりと上がっている。
今のステータスはこれだ。
名前:倉木海人
性別:男
年齢:17
種族:人間
職業:勇者
レベル:1→15
状態:普通
H P:100/100→600/600
Ⅿ P:40/40→200/200
攻撃力:50→600
防御力:30→1000
俊敏力:120→1000
魔攻力:20→200
魔防力:30→1000
魅 力:50→70
通常スキル:【忍耐】、【脱兎】、【器用】、【防御魔法初級】、【補助魔法初級】
勇者スキル:【火事場の馬鹿力】
称号:【最弱勇者】、【努力の才能】
魔法も覚えたし、いつの間にか新たなスキルや称号を取得していた。
だが、それでも現実は酷いものである。俺以外の平均した勇者のステータスを紹介しよう。
勇者平均ステータス
レベル:20
H P:1300/1300
Ⅿ P:1000/1000
攻撃力:900
防御力:900
俊敏力:900
魔攻力:900
魔防力:900
魅 力:100
通常スキル:個人によって種類は異なるが4種類以上は所持
俺は防御力・俊敏力・魔防力の平均を上回っている。だが、順位はあくまでも平均ステータスな訳で総合すれば俺は変わらず、最弱勇者で最下位。
そして、俺の成長の上がり方が偏っているのが分かると思う。
原因はちゃんと分かってるがその前に説明しておくことがある。
それは、『勇者ランクによる訓練の優遇差別』と『グループの崩壊・改革』である。
全員で行っていた訓練は数日後、ランク別で指導される事になった。
その内容にかなりの差があり、C級は外周や筋トレなど個人で行えて、特別指導する必要のないもの。
B級はC級の内容以外に剣術や魔法の授業も行っている。
そして、A級は最高級の武器や材料を自由に使用可能、優秀な講師を個別につけての徹底指導が行われている。
こうなると実力に差がでるのも当たり前で切磋琢磨どころの話ではない。
その差が出始めたとき、グループにも変化が起きた。
輝義君のグループにはC級の子もいたけど、C級はいらねえと追い出したり、鳥飼さんのグループは逆に制限が軽くなったのかC級だろうとグループに入れていた。
ちなみに俺はここぞとばかりにグループに入れて貰えるように頼んだ。が、またもや和美ちゃんに断られた。
そして一番以外だったのは隼人君のグループだ。10人以上いたのに、いつの間にか隼人君を入れて3人しかいない。勇者ランクは不動のA彼1位だし、隼人君に一体何が起きたのだろう?
ちなみに今の隼人君のステータスはこうなっている。
名前:中村隼人
性別:男
年齢:17
種族:人間
職業:勇者
レベル:22
状態:普通
H P:500/500→3000/3000
Ⅿ P:500/500→3000/3000
攻撃力:400→2000
防御力:400→2000
俊敏力:400→2000
魔攻力:400→2000
魔防力:400→2000
魅 力:200→300
通常スキル:【剣術】、【格闘術】、【指揮術】、【光魔法中級】、【火魔法中級】、【風魔法中級】、【水魔法中級】、【土魔法中級】
勇者スキル:【魔武両道】
称号:【最強勇者】、【5属性魔法を操りし者】
・・・とりあえず言っておこう。
な ん だ こ れ は !?
俺も訓練頑張っているんだけど、この差は一体・・・
つか、まじ気持ち悪い程に均等に割触れられたステータスだ。話だと勇者スキルの影響だとかって話だ。俺にはよく分からないけど。
でも、俺だって外周や筋トレは指定された回数以上やったし、剣ではないけど棒切れで素振りをしたり、イメトレで対人の戦闘を行ってみたり、騎士の人たちに教えを説いて貰うために頭を下げたり(一度も成功したことない)、クラスメイトに聞いてみたり(未だに最下位という理由で口も聞いてくれない)、A級の魔法の練習の的となったり(強制)と頑張っている。
ちなみに、俺のステータスが偏っているのは、碌に戦闘知識を与えられず身体を鍛え、A級の魔法の練習の的となって何度も吹き飛ばされてきかだろうと考えられる。
俺の身体は、生き残るために最良な選択を行ってくれたのだろう。
あれ?なんだろう?目からしょっぱい何かが溢れ出してくる。
「・・・!!・・・!!」
「鎧さん、ありがとうございます。出来ればそろそろ名前を教えて欲しいのですが?」
「・・・!!!!」
俺の頭を撫でて慰めてくれる鎧さん。この人はこの一か月食事の間だけだが、一緒に長い間過ごした人だ。
最初は向かい合って食事をしていたが、今では隣で笑いあって食事が出来るくらいの仲である。
相変わらず声を聴いたことがなく、簡単なジェスチャーだけで俺と会話を成立させている。
とても面倒見がよく優しい人なんだが何故か名前と素顔を明かしてくれない。
理由は恥ずかしいからだそうなんだけど、どんな顔だろうと俺は気にしないのに・・・
「カイト様!?どうしたのですか!?」
ぱたぱたと慌てた様子でメイド服を着た女の子が遠くから俺の名前を呼びつつ駆けつけてくる。
「メイちゃん。そんな風に走ったら転んじゃうよ?」
「あっ!?」
俺がそう言ったと同時にメイド少女は服に足をとられて転んでしまう。そして持っていた食器が宙へと舞った。
「おっと!」
「・・・!」
「あう~~・・・すみません、カイト様」
俺はその食器を中身をこぼすことなくキャッチ。鎧さんは俺の行動に拍手し、メイは涙目をしながら謝ってくる。
「大丈夫だよ。メイちゃんは怪我ない?」
「は、はい!大丈夫です!」
一度頭を下げてから笑顔でそう答えるメイちゃん。
この子はこの城で働いているメイドのメイシクル・アルホントことメイちゃん。年齢は13歳と若いながらも元気に働いている。
この世界でも地球と同じく20歳で成人となり働き始めている。13歳で働くなんて滅多にないらしい。
ではなんで、そんな子が城で働いているのかというと、メイちゃんの母親が病気で倒れてしまい代わりにとメイちゃんが来たのだ。
だが、13歳の少女と言えど侮る事なかれ、彼女は掃除・洗濯・料理と完璧にこなすスーパーメイドなのだ。
他のメイドさんよりも倍は働いている。時々、さっきみたいにドジを起こすがそれを差し引いても優秀なのだ。
そんな彼女がなぜ今みたいに最下位で鎧さん以外の皆から冷たい目で見られる俺と仲良く話しているのかというと、・・・分からない。
メイちゃんと出会ったのは俺が訓練+自主練の片付けで夕飯が遅れた時に偶然メイちゃんがお皿洗いをしていたのがきっかけである。
その時にスープをご馳走してもらったんだけどとっても美味しかったな。
彼女の差別のない優しい心が俺と仲良くしてくれる理由かもしれない。
「それは良かった。それで、これはクッキーかい?」
「は、はい!多く作りすぎたのでカイトさんにと思いまして・・・って、そうだ!さっきカイトさんが悲しそうな表情していたみたいですがどうしたんですか?」
「ああ・・・さっきの勇者ランクの順位が発表されたんだよ。またもや俺が最下位だった・・・!?」
「ああ・・・」
俺の言葉で理解したメイちゃんは気まずそうな表情になってしまう。
ランク分けされてから1週間に一度、勇者ランクの順位が発表される。これも俺たちの意識の向上を目的としたものだそうだ。
これが見事に効いたのかB級、C級の頑張り具合が凄かった。初めの一週間で順位の変動がかなりあった。それは皆の実力が上がっていることを示している。
だが、問題もあった。
それは落とし合いによる友好関係の崩壊だった。
仲が良かった筈の友人に裏切られたり、利用されたりと自分が強くする為に手段を選ばなくなってきている。
グループだって表面上の付き合いで裏ではどう落としめるかを考えているらしい。
そう考えると隼人君のグループは本当に信頼できる仲間で結成されているグループなのかもしれない。
この順位発表は今回で4回目になる。A級は変わりなく、B級とC級の入れ替わりがほとんど。やっぱり訓練の密度が大きく違うのだろう。A級は1~3位の変動はなく、4~10位の変動しかされていない。
それで俺は4週連続で見事に最下位。これはいよいよ本気で泣くしかない。
「ですけど、騎士様達はカイト様の扱いが酷すぎるのだと思うのです!訓練は全く見てくれないのに、A級、B級の勇者が使う道具の運搬や整備、さらには魔法やスキルの的役をさせるなんて・・・」
「・・・!!」
メイちゃんの言葉に強く頷く鎧さん。その内容は本当で俺はまともな訓練を受けた事はない。頼んでも騎士だけではなく、クラスメイトにも断られる。
メイちゃんは仕事で忙しいし、戦うことができない。鎧さんは何をやっているかは分からないけど忙しい為教えてもらうのは無理との事。
だから個人で頑張るしかなかった。生きる為に寝る時間を惜しみ、頑張って覚えた防御魔法、補助魔法だって初級止まりだ。
俺って才能ないのかな・・・
「げ、元気出して下さい!カイト様ならきっと他の勇者よりも素晴らしい本当の勇者様になれます!」
「・・・!」
メイちゃんと親指を立てて俺に見せる鎧さんの激励に俺の心は癒されていく。
最初はこの国は最低な人しかいないのかと思っていたが鎧さんやメイちゃんのような人もいる。
悪いのはやっぱりあの王様か・・・
「勇者達よ!!緊急招集だ!速やかに移動して王の間にくるように!!」
兵士がこの食堂の奥まで聞こえるくらいの大声でそう伝えてきた。
「緊急招集?どうしたのでしょうか?」
「???」
不安そうな表情で言うメイちゃんに首を傾げる鎧さん。
「分からないけど・・・取合えず行ってくるよ」
「あっ!でしたらこれを!」
メイちゃんはポケットからハンカチを取り出してクッキーをそれで包むと「お腹が空いた時に食べてください!」と俺に渡してくれる。本当に良い子だ。それか天使。
「・・・!!」
「えっ?くれるの?」
鎧さんは、ペンダントを俺に渡してくれた。見た感じ何の変哲もない普通のペンダント。だがペンダントに書かれている大鎌の紋章らしき絵はとても格好良くて気に入った。
「メイちゃん、鎧さん、ありがとう!それじゃあ行ってくるよ!」
「行ってらっしゃいませ、カイト様!」
「・・・!!」
席を後にする俺に手を振る鎧さんに、頭を下げて見送ってくれるメイちゃん。
最初はどうなると思ったけど仲の良い友達が出来て本当に良かった。
俺は気分を良くしながら食堂を出て王の間へと向かう。
しかし、これが2人と話す最後の時となるとは俺は思いもしていなかった。
いかがでしょうか?
ブクマ・感想宜しくお願いします!




