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『最下位』

宜しくお願いします!

「勇者カイト・クラキ。貴様は『C級11位』の勇者として認定する」

「・・・はい?」


異世界に召喚されて一日が経ち、朝食を食べた後、何故か個別の面談が始まった。

俺の番になって個室に入り、そこにいた騎士からいきなりそんな事を言われた。


『C級』?『11位』?どういう事?


「これは王様直々のご命令である。31人の勇者をランク付けを行う事によって、お互いの意識を高め、勇者同士で切磋琢磨する事で魔王を早く倒せるようにという制度である」


ちょくちょく難しい話が出て来たので少し要約しよう。

ランクは3段階あり、上からA、B、Cと続いている。そして下のようにランク分けされる。


A級・・・10人

B級・・・10人

C級・・・11人


これは、強さのランキングで、上であるほどステータスが強いものなのだろう。


つまり、今俺が言われた順位『C級11位』は最下位。俺がクラスで一番弱い存在である事が判明された。


まあ、称号の【最弱勇者】で予想はしていたが・・・


「最下位の勇者よ。貴様にはその順位に相応しい対応となる。少しでも良い優遇をされたければ強くなるのだな」

「そ、そんな・・・それに俺、弱いから戦いたくないのですが・・・」

「甘い事言ってんじゃない!弱き者、食うべからず!貴様らは強くならないといけないんだ!!」


なんという横暴!昨日隼人君と約束した事を完璧に無視してるじゃねえか!


「A級1位のハヤト様には許可をとってある。万が一魔物に襲われても逃げられる程度には鍛え上げるなら良いと」


隼人君・・・君は人を信用しすぎじゃないかな?そんなランク付されては皆も死に物狂いで強くならなければと落とし合いに発展しちゃんじゃ・・・


「では、これから貴様の部屋に案内するついて来い!」


俺はしぶしぶ騎士の後についていく。そして着いた場所は―――


『ヒヒーン!!』

「馬小屋かよ!?」


思わず叫んだ俺は悪くないと思うんだ。

待遇悪いんだろうなとは思ってたけどここまで酷いのか!?


「言っておくが逃亡を図ったり、暴動を起こそうとしても無駄だぞ?貴様らに配った指輪には、逆らうと電撃が発生する術式が組み込まれている。下手したら死ぬぞ」

「くっ・・・」


この指輪付けるまで監視されていたのはその為か。俺達を戦争の駒にしようと企むだけある。


「分かったらさっさと支度して訓練場に来い!朝稽古を行うからな!」


騎士はそう言って馬小屋から出て行った。マジでここが今日から俺の寝泊り部屋になるのか・・・

俺はこれからの生活に不安を感じながら朝練を行うために訓練場へと向かう。


・・・あれ?訓練場ってどこにあるんだ?












「あああああああ・・・」


朝練が終わり、俺は食堂に向かっているのだがその足取りはかなり重い。身体中が悲鳴をあげている。


原因はもちろん朝練だった。しかも最悪のスタートと言える。

俺は騎士が言っていた訓練場の場所が分からず遅刻してしまったのだ。


当然のように訓練指導者の騎士に怒られた俺は罰として走らされた。その訓練場は外周400mくらいのトラックがあり、俺は50周も走る事になった。


他の皆も走ってはいたが5周だけで俺はその10倍なうえ約20kmも走った事になる。

もちろん、俺はマラソン選手などではないので何度も足を止めてしまう。


そんな時に騎士が俺を叱咤するのだが、それだけでは終わらず、火の玉、魔法を放ってきたのだ。

当たれば大怪我間違いなし。俺は必死になって走った。

だが、ちゃんと走っていたにも関わらず、火の玉や、水の玉に土、風など様々な魔法を俺に放ってくる。


どうやら魔法が、どういうものなのかを他の勇者に見せて説明いるようだった。わざわざ走っている俺に目がけて放っている。

マジでふざけんな!殺す気かよ!


俺は当たらない為に必死に逃げたが、見えにくい風の玉に当たって吹き飛ばされた。威力はそこまで強くなかったが、吹き飛んで地面に倒れる俺は擦り傷だらけ。

そんな俺を見ても皆は哀れむどころか笑い声が響き渡った。


そして、50周走り終わる頃には朝練が終わっていた。皆は剣の扱い方や魔法の使い方などを教えてもらっていたのに俺はただ走っただけで終わってしまったのだ。


そんな朝練で、走った疲労と騎士から喰らった痛みを紛らわせる為に呻き声をあげながら移動している。

昼飯食べたらまた訓練があるから早く飯を食べて少しでも休まなければ・・・


「最下位の勇者様はこちらとなります」

「・・・え?これだけ?」


厨房でメイドさんに昼飯をお願いしたら出てきたのは、地球で言うコッペパン1個と水1杯だけだった。


「はい。勇者のランクで支給される食べ物はこれだけとなります」

「そ、そうですか・・・」


メイドさんに文句言っても仕方ないから俺はそれを持って席へと座る。


「訓練の後の飯は美味えええええっ!!」

「こんな肉食ったことないぜ!!」

「この果物も美味しいわ!」


俺から少し離れた場所で大騒ぎしているのはA級の勇者達。パン1個の俺と大違いの豪勢な食事をしている。


よく周りを見てみたら勇者の中でもグループ分けされているのが分かる。


A級で1位の隼人君のグループ。

同じくA級2位で鳥飼美波とりかいみなみちゃんという引っ込み思案で周りに流されやすい女子のグループ。

さらに同じくA級3位の片山輝義かたやまてるよし君という滅多に学校には来ない不良(転移当日は気紛れで登校していた)のグループ。


他にもちらほら小人数で分かれているけど、概ねその上位3人のグループが主体となっている。

てっきり隼人君を中心になるかと思ったけど違うみたいだ。


女神から貰った情報では、隼人君や輝義君がグループを作るのは分かるけど美波ちゃんは意外かな。


まあ今はそんな事はどうでもいいんだ。

俺もグループのどれかに入れて貰った方がいいのではないか?

流石に一人で厳しい訓練を乗り切るのは難しいだろう。しかも俺は一番弱いんだ。一緒に乗り越える仲間が必要になる。


「あの、俺も一緒に食事していいかな?それとグループに入れて欲しいな~」


さっそく声を掛けてみた。もちろん、一番優しそうな隼人君のグループ。なんか女子が多いな・・・


「はあ!?何言ってんのよ!」

「そうよ!最下位くらきがいたら隼人君の足手まといになるでしょ!!」


隼人君にではなく、周りの女子たちに拒否されてしまう。つか最後の子、最下位とかいて俺の名前を呼んでなかったか?


「・・・ごめん、倉木。僕は入れてもいいんだけど皆がそういうから」


隼人君が良いんだったら入れてくれよ!と俺は言いたかったが俺が入る事で皆の輪を崩したくないのだろう。それかハーレムを堪能したいかのどちらか。前者であることを願いたい。


気を取り直して次だ!


「えっと、鳥飼さん。君のグループに僕も入れて欲しいんだけど良いかな?」

「えっ!?えっと、その・・・」

「ダメよ」


俺が鳥飼さんに話しかけたのに何故か違う子が答えた。

眼鏡をかけたこの女子は早乙女和美さおとめかずみちゃん。確か1年で生徒会に入った頭のいい女子だ。


「俺は鳥飼さんに聞いたんだけど・・・」

「グループに入るには私の許可が必要なのよ。美波じゃ、言い寄られたら何でもはいはいと答えちゃうからね。だから代わりに私が判断して決めてるの」


確かに鳥飼さんの性格を考えればそうかもしれないけど・・・


「ちなみに俺がダメな理由は?」

最下位くらきだからよ。早くあっちに行きなさい」


早乙女さんも俺を最下位と書いて呼んでないか!?それとも俺が疲れてるからそう聞こえちゃうのか・・・?


「その・・・ごめんなさい・・・」

「あ、うん。大丈夫だよ、鳥飼さん」


申し訳なさそうに言う鳥飼さんに俺は反論する気も起きず立ち去った。もし、断りの罵倒が鳥飼さんだったら流石に泣いてたかも・・・


「あの――――」

「失せろ、最下位!」

「酷い!?」


勇気をもって輝義君のグループに話しかけようとしたら門前払いされた。しかも、最下位とはっきり言われて。


「・・・全滅か」


俺は3人のグループだけではなく、B級だけのグループやC級だけのグループなど全てに声掛けたが全て断られた。


これが順位という言葉の魔力の恐ろしさなのか、それとも俺が単純に嫌われているのかのどっちかになる。後者だったら俺は泣くしかない・・・


「はあ・・・仕方ない。飯を食べて休もう。・・・ん?」


俺が適当に席に座ろうとした時、不意に目に入ったのはクラスメイトではなく、とても厳つい鎧を着た人だった。どうやら食事中らしい。


「・・・すみませーん。ここ座ってもいいですか?」

「・・・!」


俺が鎧の人に声を掛けるとびくっと体を震わせてから顔を俺に向けた。

鎧の人は頭にヘルムを装備したままなので性別すら分からないな。


「えっと・・・この席で食事をしてもいいですか?」

「・・・?」


俺の質問に首を傾げる鎧の人。言葉が通じてないのか?いや、王様とか騎士の人たちとは話せているし(何故か日本語で)問題はない筈。


「その、一人で食事するのは寂しいんで迷惑でなければご一緒したいんですが、ダメですか?」

「・・・。・・・?」


鎧の人はまた首を傾げると腕を動かしてある方向を指さした。その先にはクラスメイト。ああ、言いたいことは何となく分かった。


「実は皆からハブられてまして。俺一人なんですよ」

「・・・?」


また首を傾げる鎧の人。これも何となく言いたいことが分かった。


「理由は俺が最弱の勇者だからです。足手まといなる奴とは一緒に居たくないんでしょうね・・・。ああ、自分で言ってて悲しくなってきましたよ」

「・・・!」


鎧の人は立ち上がると俺の肩を叩いた。どうやら慰めてくれているようだ。


「ありがとうございます。それで、一緒にご飯を食べても・・・?」

「・・・!」

「あ、ありがとうございます!」


親指を立てて首を縦に動かす鎧の人。どうやらOKらしい。

俺はこの世界に来て初めて仲良くしてくれる人を見つける事ができた。

ブクマ・感想して頂けたら幸いです!

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