『武器屋にて』
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「冒険者ギルドに行く前にちょっと寄りたい所がある」
「それがここ?」
城下町へと来た俺達はミランダの提案で訪れたのは一軒家で何やら剣と盾の絵が描いてある看板がかけられている。
「ここは武器屋と防具屋だ」
「おおっ!」
RPGでよく見るあれですね!少しテンションが上がる俺はふと気になった事を口に出した。
「でも、なんで?何か新調するの?」
「今着てる防具を売ろうと思ってな。この防具のせいでアリスみたいに間違って攻撃されてるし」
なるほど。今の俺達はカルバラナス帝国とはもう全くの無関係だからあらぬ誤解は避けたいもんね。
「いらっしゃい」
店に入るとカウンターに少女がいて俺達を向かい入れる。店主の子供かな?
「すみません、お嬢ちゃん。防具を売りたいんだけど店主はいるかな?」
「・・・お前、歳はいくつだ?」
「えっ?17歳だけど・・・?」
「そうか・・・」
何故か俺を睨み付ける少女。何か気に障ることしたか?
「へえ。女のドワーフじゃねか。珍しい」
「ドワーフ?」
「手先が器用で土属性の魔法を得意とする種族。特徴は年をとっても身長が全然伸びない小柄な体だ」
という事はこの見た目で俺より年上なのか!?俺の腰よりちょっと上くらいの身長しかなさそうなのに
「・・・歳は永遠の16歳だ」
「嘘だ!絶対嘘だ!!」
この流れで俺より下の歳はありえないだろ!それに『永遠の』って歳はそれよりも上ですよと言っているようなもんだろ!!
「永遠の16歳だ・・・。文句あるか・・・?」
「何もございません!」
俺は腰を90度曲げさせて頭を下げた。
なぜなら、その少女はミランダの背丈と同じくらいの長い杖を片手で軽々と持って睨んでくる。
その長い杖は両端に鋭利な刺が無数にあり、殴られたら出血だけではすまなそうである。
手先だけではなく、力もかなりあるみたいだ。
「それで、売りたい防具ってどれ・・・?」
「これだ」
防具を脱いでそれを少女・・・店主に渡すミランダ。店主はその防具を見て目を細めた。
「帝国の防具か・・・。お前達は帝国から来たのか・・・?」
「そうだ。それはもう必要のないものだからな」
「訳あり・・・?」
「おう」
店主は防具を置くと何かが入った袋を俺達に渡す。見てみるとお金だった。
ちなみにこの世界のお金は、地球のとさほど変わらない。
単位は「イエン」で
銅貨=10円
大銅貨=100円
銀貨=1000円
金貨=10000円
白金貨=100000円
となっている。
ちなみに袋に入っていたのは銀貨が10枚だった。
「へえ、もっと安くなると思ってたよ」
「お前達は初来店だからおまけしてあげた・・・。それにR武器を持っているから、かなりの実力者だとわかる。うちに贔屓してもらいたい・・・」
店主が言っているR武器ってミランダが背負っている【竜斬炎刃】の事だな。
「鑑定のスキルを持ってるんですか?」
「持ってない・・・。鑑定のスキルはかなり希少なスキル・・・。持っている人は少ない・・・。でも私は特殊なスキルで見ればどれくらいのレア度なのかは理解できる・・・」
店主も凄いけど、この【鑑定】って意外とレアなものだったんだ。ゲームや小説だと普通に出てくるから認識が異なる。
「んじゃ、これはどうだ?」
「・・・!?」
ミランダは店主にあるものを見せると店主は驚愕した表情へと変わる。
あるものとは、ダンジョンで手に入れた【ラブラブ!ハートのエプロン】、【最強の鈍器】、【最強の剣】だった。
「ど、どこでこれを・・・?」
「ダンジョンだ。しかもドラゴンがボスの、な」
ミランダの言葉に店主はぷるぷる震えながらお料理三点セットを触り出した。
「伝説のSR・・・まさか生きてこの目で見る事が出来るなんて・・・」
今度は感動でぷるぷる震えている。まるで小動物みたいだ。
「おいおい、店主。SRで泣くのは早いぜ?カイトはその上の装備を持ってるんだ!」
「・・・まさか伝説を超え神が持つと言われたURが!?」
凄い形相で俺を見る店主。俺はその形相に思わず一歩引いてしまった。
しかし、俺を見て逆に店主が一歩どころか壁のところまで引いてしまった
「あ、あの・・・?」
「URは・・・その腕輪か・・・?」
「はい」
「なんでお前みたいな子供がそんな呪われた腕輪を装備して平然と生きていられるんじゃ・・・!?」
まるで悲鳴のように叫ぶ店主。そしてお前に子供呼ばわりされたくねえと思ったり、最後の語尾に『じゃ』を付けたのが素の喋り方だなと俺は感づいた。
「ワシのスキルは集中すればするほど正確に武器の輝きが異なって見える。先のSRはとても光り輝いておった。これほど美しい光を見た事がないと思うほどに・・・。じゃが、その腕輪からはSR以上の輝きがあった。でもそれは闇のように深く光を飲み込むようなそんな輝きじゃ・・・」
店主の喋りが完全に素になってんぞ。そこまでこの腕輪は恐ろしい装備だと分かる。
「色々事情がありまして・・・」
「どんな事情じゃ!悪魔だろうとそれを装備すればすぐ死んでしまう効果があるはずじゃ!お前は一体何者なんじゃ!?」
「おい、店主・・・」
ミランダがドスの聞いた声で店主を上から睨み付ける。店主もその威圧に身体を震わせた。
「そういう客の詮索は御法度じゃねえのか?あああん?」
「それは、その、興奮してしまってつい・・・」
「ついでも、やっていい事と悪い事があんだろ!!」
「ひいっ!?」
詰め寄るミランダに店主は怯える。これ傍から見たら店の物にケチ付けて慰謝料を取ろうとするチンピラと可哀想な店主にしか見えない。
「こりゃあ、俺の相棒もかなり傷ついちまった。慰謝料払えよコラ!」
「すみませんなのじゃ!すみませんなのじゃ!すみませんなのじゃ!払いますから許して下さいなのじゃ!」
「って、本当に何やってんの!?」
ちょっと違ったけど、俺の例えがまさか本当に現実のものになるとは思わなかったよ!!
「ちょっと待ってろ、相棒。すぐにこの店主から慰謝料を―――」
「いらないし!なんで呼び方が『相棒』になってんのさ!役に入りすぎだよ!?」
「こ、これで全部なのじゃ・・・。だから許してなのじゃ・・・」
「店主も泣きながらお金が入った袋を渡そうとしないで!?冗談!冗談だから!?」
俺はこの後数分間、2人を落ち着かせるために色々と動く羽目になった。
「わ、悪い。調子に乗りすぎた・・・」
「ワシもすまなかったのじゃ」
なんとか仲直りまで説得出来た俺は偉いと思う。もしかしたら最悪な形でクリスちゃん達と再会する事になりそうだったよ。
「カイトもすまなかったのじゃ・・・」
「大丈夫、大丈夫。俺は全く気にしてないよー」
俺は店主を宥める為、膝の上に店主を乗せ頭を撫でる。店主は「はふー」と気持ち良さそうな声を上げて目を細めている。
ちなみに店主が俺の名前を知っているのは宥める際に名前を言ったからだ。
「ミランダも怖くないよー。仲間を蔑ろにされちゃうと怒っちゃうだけなんだ。だからそこに気を付けてくれなー」
「わかったのじゃー」
「ちえっ・・・なんか俺が悪者みたいじゃねえか・・・」
みたい、じゃなくて完全に悪者だったけどね。でも、きっかけは俺の事を思ってのことだ。
「ミランダもありがとう。ちょっと熱くなっちゃったけど、俺の為にしてくれた事だもんね。嬉しかったよ」
「・・・・・・おう」
拗ねてたミランダが俺の言葉で少しは機嫌を直してくれたかな?
「ワシはカイトに何かお詫びをしたいのじゃ!何でも言って欲しいのじゃ!!」
「えっ?良いの?」
「うむ!」
「それじゃあ・・・」
俺は黙って鑑定のスキルを発動させた。
名前:エリー・カタルーニャ
性別:女
年齢:90
種族:ドワーフとエルフのハーフ
職業:拳法魔術師
レベル:90
状態:普通
H P:6000/6000
Ⅿ P:10000/10000
攻撃力:4000
防御力:2500
俊敏力:4000
魔攻力:10000
魔防力:6000
魅 力:300
通常スキル:【土魔法上級】、【杖術】、【拳法】、【鍛冶】、【調合】、【絵画】
固有スキル:【観察眼】
俺は店主、エリーのステータスを見て驚愕した。レベルは俺やミランダより倍はあるし、ミランダより強い。
そして、なにより驚いたのはその年齢だった。
「・・・ロリババアじゃん・・・」
「・・・・・・のう、ミランダ。もしかしてカイトは鑑定のスキルを持っているんじゃないか?」
エリーが俺の膝からカウンターの上に飛び乗った。俺とミランダはその見事な身のこなしに驚いた。
「あ、ああ。持ってるけど」
「そうかそうか。やはりそうじゃったか・・・」
エリーはいつの間にかさっきの凶悪な杖を持っている。そして、その杖が俺へと向けられている。
俺はこの時にエリーが何を考えているのかようやく理解した。
「ワシは、ワシはロリババアじゃなああああああああああああああい!!」
「ご、ごめんなs―――」
謝罪を言い切る前に俺の目の前は真っ暗になった。
その時にトマトが潰れたような音が聞こえたのは気のせいだと信じたい。
「カイトよ。ワシが何でもいいとは言ったが女性のプライバシーの侵害行為をして良い筈がないのじゃ」
「はい・・・」
「カイト・・・それは流石にやべえよ。エリーだって女なんだからさ、年齢とか気にするもんなんだぜ?」
「はい・・・誠に申し訳ありませんでした」
俺は土下座して謝った。2人の言葉は正論なので言い返せない。
「まあ、今回は許してやるのじゃ。感謝するのじゃぞ」
「はい・・・」
あれ?なんか立場が逆転してない?
「それにしてもワシの杖術を喰らって平然としているとは、カイトは頑丈じゃのう」
「そういえば、俺の頭大丈夫か!?変形とかしてない!?」
「安心しろカイト。なんともなってない」
こういう時、勇者スキルが発動しててくれて良かったと心底思うよ。俺は殴られた所をさすりながら安心する。
「外面はな」
「それはどういう意味!?」
外面は無事で内面はどうなってんのさ!!
「それで?お前達はこれからどうするんじゃ?」
「冒険者ギルドで登録しに行くんだ。金がないから」
俺のことを無視して話を続ける2人。せめて聞いてくれよ!
「ほう・・・ではワシも付いて行ってよいかの?」
「えっ?」
「ワシは冒険者登録もしておるのじゃ。最近は活動しておらんかったから少し腕は鈍っておるが、そこら辺の魔術師よりは役に立つぞ?」
確かにエリーのステータスならパーティーとしてはかなり強化される。
「でも、急にどうして?この店はどうするの?」
「この店は元々畳む予定だったのじゃ。冒険者ギルドにも武器や防具が売られるようになってさんj・・・数年が経ってこの店に人が全く来んようになった。ワシが冒険者で稼いだお金でなんとか今日まで続けて来られたんじゃがもうすぐ底が付きそうでのう。潮時ってやつじゃ」
少し寂しそうにエリーは語っていく。ちょっと濁された箇所があったがそこは気にしない。
「ではなんで今日?」
「お前達の武器と防具を見せてもらえたからじゃ。ワシはエルフの父が持っていたRの弓を初めて見たとき、その美しさに感動してのう。様々なレアな武器や防具を見たいと思った。だから冒険者を始め、この店も始めたのじゃ」
エリーは杖を眺める。俺とミランダもその杖に視線を向けた。
「この杖はワシが冒険者の時に偶々手に入ったR武器。これ以外は入手できず、他の冒険者がたまに持っているのを見かけるくらいじゃった。店を始め、今日までSRやURを見れる日が来ると思っていなかった。じゃからワシはそれを見せてくれたお前達に付いていけばもっと沢山のレアな武器を見れると思ったのじゃ」
エリーはいきなり俺とミランダに頭を下げてきた。
「ワシの夢は沢山のレアな武器を見て武器と防具図鑑を作る事なのじゃ!お前達といればその夢がぐんっと近づける。じゃから頼む!仲間に入れて欲しいのじゃ!」
「いいよ!」
「そうじゃよね。いきなりで迷惑―――ええっ!?」
あれ?驚かれたけど変なこと言った?
「おいおい、カイト。それはないだろ?」
ミランダが俺の肩に手を置いて呆れた表情をしていた。
「そ、そうじゃろ?まだ会って間もない奴を即断でパーティーに入れるなんてありえんじゃろ?」
「仲間になんだから了承だけじゃなく、『これから宜しく!』って歓迎しなきゃだろ?」
「あ、そっか!」
「ちっがあああああああああああう!!」
エリーが今度は頭を抱え込みながら叫んだ。何が違うんだ?ミランダも訳が分からず頭を傾げてるし
「そこはもっと考え込むところじゃろ!?エルフのハーフとはいえ、90の、お前達より長生きしている女がレア武器を見たいから連れてけと言っているのじゃぞ!何か裏があるとは思わんのか!?」
「だって・・・」
「なあ・・・」
俺とミランダは目を合わせて頷き合った。考えている事は同じようだ。
「「エリーは良い奴だから問題ないだろ?」」
「なっ・・・」
異口同音の答えに絶句するエリー。もしかしたら、エリーは本当に俺達を騙そうとしてるかもしれない。でもさ―――
「何もかも疑いから始めたら何も信じれなくなってしまうじゃんか。俺はそういうのは嫌だから、信じたいんだ。エリーの夢は嘘で、俺達を騙してレアな武器を独り占めしたいの?」
「・・・・・・」
俺の質問にエリーは俯きながら言葉ではなく首を横に振る事で答えた。
「なら俺はエリーを信じるし、夢も応援する。なっ、ミランダ!」
「ああ!俺がエリーに騙されたなら自分の目が節穴だったと笑うだけさ。それに俺もカイトと同じ気持ちだ。夢の協力もする。まあ、仲間になるんだから俺のドラゴンの克服にも協力してもらうから覚悟しておけよ!」
大きく口を開けながら笑うミランダ。俺はふとエリーを見ると身体が少し震えていた。そして、足元には何かの雫が落ちて行く。
俺とミランダは何も言わずエリーが話し出すのを待った。
「ワシの名前はエリー・カタルーニャ!これから・・・これから宜しくなのじゃ!」
レア武器・防具図鑑の完成を目指す拳法魔術師エリー・カタルーニャが仲間になった。
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