第5.5話~雅~
どうも、白髪大魔王です。今回は雅の話です。ストーリー自体は全然進んでないですが、大目に見てください。
私、雅は孤独だった。
私の父方の家系は遡れば安倍晴明にたどり着ける由緒正しい家らしい。もっとも、それを信じているのは父方の家系だけで、私自身はあんまり信じていない。
しかし、信じる信じないは別に私には霊感があった。
小さな頃から他人とはそういう違いがあった。
皆で遊んでいると、他の人が数えるのと自分が数えるのでは頭数が違ったり、肩を叩かれて振り向いてみても誰もいなかったり、そんなことがよくあった。
それでも、幼い頃はよかった。まだ、子供の戯れ言だと思われてたし、周りの友達も面白がっていた。
それが変わったのは、小学校三年生のときだった。この頃になると、子供の戯れ言では済まされなくなった。周りの友達も気味悪がって避けるようになった。それは明らかだった。
人とは違うものが見える、聞こえる。自分はやっぱり安倍晴明の末裔なのか?人とは違うのか?そんな不安が、私の胸の中で渦巻いていた。
こう、一人になると不思議なことに同類の人が見えてくる。それがセツナだった。
セツナの周りはいつも女子で囲まれていた。昔から女子にはモテていて、私はいつも避けていた。あんまりそういうのは興味無かったし、いい感じを受けていなかったからだ。
しかし、自分が孤独になってみるとセツナへの見方も変わった。確かに、周りには女子がいっぱいいたが心を許せる相手はいなかったのだろう。いつも、孤独な顔をしていた。自分が孤独になったから分かる。
思いきって私はセツナに声を掛けた。これで駄目なら、もう友達はつくらないとも思った。
「セ…セツナ、君。友達に……なって下さい」
それへの答えが返ってくるのがとても長く感じた。一秒が無限に伸ばされた感じだった。
「……いいよ」
セツナの答えに、私は物理的に舞い上がるかと思った。
私とセツナが友達になってから数年が経った中学生の頃だった。
その頃になると、誰々が付き合ってるとか誰々がカップルだとかの話がよくあった。
私はセツナとの交流を経て、明るく快活になり、セツナ以外の友達も増えた。だから、こういう話もよくしてた。
「ねぇねぇ、雅とセツナってさ、付き合ってんの~?」
「えっ?うんうんうん、全然違うって。ただの友達ってだけ」
そう訊かれる度に私は否定した。それが悲しかった。
この頃から、私はセツナに恋をしていたのだと思う。
ただ、本当にこの気持ちは恋心なのだろうか?この気持ちはもしかしたら友情の延長なだけなのではないのだろうか?恋心とはそもそもなんなのか?
答えが見つからないままだった。
私は勿論だが、セツナも同じ国立魔術高等専門学校に入学したときは嬉しかった。けど、答えは出たわけではない。
そんな状況の中ではいった昨日の電波ジャックは衝撃的だった。
またなの?安倍晴明だか何だか分からないけどもう嫌だ!
「私、嫌だよ。あんな独りよがりな考え…。私、大丈夫だよね」
そう本音を口にしたときに、セツナは私の頭をそっと撫でてくれた。
その手は大きくて、温かくて、とっても安心できた。
「大丈夫だ。俺が保証する」
やっと分かった。
「うん。有り難う」
私はセツナが好きだ。
だから、誘おう。ダンス祭に。
最後まで読んでいただいて有り難うございます。女心は僕の妄想で提供しています。不快な思いをしてしまったら、申し訳ございません。これからもよろしくお願いいたします。