第3話~熾天滅欲自然信仰社~
どうも、白髪大魔王です。今更ですが、この作品は不定期投稿です。最後までお付き合いお願いします。
「ねぇ、セツナ、銀。一緒に帰ろう」
雅がこっちを見て俺達を呼ぶ。
「帰るか、銀」
「おう」
放課後になった今、大抵の人は部活動に精を出している。しかし俺達は部活をやって無い為、もう帰るのだ。
「はあ、今日は疲れたな。なんで最後が体育なんだよ。俺体力は無いのにさ」
「セツナって、頭いいけど運動駄目だよね」
「本当、男のクセに情けないぞセツナ」
二人がかりで俺に攻めてくる。痛い。
「はいはい、いいから帰るぞ」
俺はこれ以上攻撃される前に逃げることにした。
「おい待てよ」
「セツナ逃げるな~」
二人は獲物を逃がすまいと追いかけてきた。
帰り道
「セツナ、お前今日の占星術どうだった?」
「まあ、ボチボチかな。お前は?錬金術」
「あー、結果はこれだ」
そう言って銀がポッケから取り出したのは……炭?
「何これ?ねぇ、何なの?」
雅が興味深々といった顔で炭らしきものを見ている。
「今日はさ、錬金の授業があったんだ、詳しくは言わんがよ。でさ、それでさ、俺はさ、失敗してさ、こんなものになっちまったんだよ~」
半べそだった。よっぽどの失敗だったのだと予想出来る。まあ、深くは問わんが。
「うわ~。すっごいね。元々は何だったの?ねぇねぇ」
しかし雅はお構い無く追及してくる。
「うっせー!!どうせ失敗したさ、落ちこぼれさ!!」
「あはは、ごめんごめん。あはは」
「絶対反省してないだろ!!」
なんて、二人とも楽しそうに話している。その姿に、俺は嫉妬を覚える。
えっ?嫉妬?なんで?いやいやいや、なんで嫉妬しているんだ?嫉妬する理由なんて無いだろ俺!!
「どうしたセツナ?」
銀が不思議そうに訊いてくる。
「あっ、いや、何でも無い。っで、雅はどうだった?陰陽道」
「 あぁ~。今日は座学だったからね、もう全然駄目」
もの凄い顔で否定してきた。よっぽど駄目だったのだろう。
「お前、実習は良いのにな」
実際、こいつは凄い。安倍晴明の末裔だということをを信じたくなる。但し、勉強だけは駄目なのだ。
「フッフッフ、凄いだろー!!」
腰に手を当てて馬鹿みたいに高笑いしている。
「調子に乗るな」
雅の頭にチョップをかます。
「いった~い。暴力反対~」
「そーだそーだ!暴力反対だ~」
銀も一緒になって攻めてきた。あれ?デジャヴュ?
「あ、もう駅か。俺だけ一人アパートだからなあ、そんじゃな」
「じゃあな、銀」
「じゃあねぇ」
こうして、俺と雅は電車に乗り、銀は一人アパートへ行った。
「ただいま」
って言っても返事は無い。父も母も海外出張なのだ。どちらも海外出張の多い仕事でよく家を空ける。高校に入るまではどちらか一方が家にいるようにしていたのだが、今になってはお互い、遠慮なく出張している。だから一人には慣れてる。
(まあ、飯でも食うか)
冷蔵庫を開け、昨日の残り物を取りだし、保温しておいたご飯を盛る。
そして、ついでにテレビも付けようとしたのだが……。
ザ――――――――――――――――――――
あれ、おかしい?
テレビというものは随分昔にデジタル放送になった。故に、この何だか分からないザーッという画面が映るはずは無い、のだが…
取り敢えず、テレビを調べようとして近付いたそのときだった。
ブゥゥン
「やっと 付きましたね。コホン、えーそれでは始めます。
皆さま、今晩は。私たちは『熾天滅欲自然信仰社』と言います。以後、お見知りおきを」
テレビの中で、一人の女がそんなことを言った。
最後まで読んでいただき、有り難うございます。これからもよろしくお願いいたします。