第1話~国立魔術高等専門学校~
初めて投稿しました、白髪大魔王です。自分はまだまだ未熟者ですが、読んでくれたら嬉しいです。
なお、この物語はリアリティー追及の為、一部実際の話(魔術に関係することなど)を使っておりますが、基本的にはフィクションですのでそこを踏まえてお楽しみください。
胸が焼けるように熱い。焼石を埋め込められたみたいに熱い。
胸をみると一本のナイフが突き刺さっている。そこが熱い。痛くは無い、ただ熱い。
ナイフの刺さっているところから赤い液体がドクドクと流れている。俺と現実を繋ぎ止めていた液体だ。
感覚が末端から胸に向けて閉じていく。意識も消えていく…。
「ごめん、セツナ」
最後にそんな声が聞こえたような気がした。
ピピピピッ、ピピピピッ、
「う、うぅん…」
不機嫌な目覚まし時計が朝を告げる。俺はその目覚まし時計を止めて、上半身だけおこす。
(………変な夢だったな)
しかし、残っているのは変な感覚というだけで夢の内容は曖昧である。思い出そうとすればするほど記憶から消えていく。まるで、風に吹かれる砂の様に。
(なんて、詩人の真似事は柄じゃないな)
そんなことを考えていると時刻は既に7時を回っていた。
登校時刻は8時、電車は7時15分、ここから駅まで10分、猶予時間、5分弱!!
「やべっ!!急がねぇと電車に間に合わねぇ!!」
こうして、セツナは夢のことをすっかり忘れて時間と闘う羽目になった。
「ハアー、朝は遅れるかと思った」
「へぇ、お前もそんなことがあるんだ」
などと言っているのは、俺のクラス内で唯一の男友達の石郷岡銀。俺は高校に入ってからは自身の性格と見た目―イギリス人の父の影響で金髪碧眼なことと、身長が175㎝あること―のせいで、異性からは色目を使われ、同姓からは敵視され、友達と呼べる人間がほぼいないなかで、ただ銀だけがそんなのお構い無しに友達になってくれたなのだ。
「俺だってこんなことあるさ」
すると、今度は後ろから声を掛けられた。
「でもさ、セツナってあんまり無かったじゃんそういうこと」
そう言うのは小、中学校と同じ学校で同じクラスで、今も同じ高校の同じクラスになった妙な縁のある幼馴染みの安部雅だ。
「お前ら、俺の心配するより自分の心配しろよ。そろそろHR始まるぞ」
「うわ、マジか!!」
「本当だ、じゃあねセツナ」
二人は急いで自分の席に着いた。それと同時に見計らっていたかの如く太田先生が教室に入った。
「皆さんおはようございます。早速連絡ですが、一時間目の数学Ⅰと、二時間目の専攻科目が交換になりました。念頭に入れておいて下さい。質問はありますか?…………ないみたいですね。では、これでHRを終わります」
と、至極単純化された連絡を終え、太田先生は教室を後にした。
「セツナ、お前教室何処?」
「ああ、上の天文学室だ」
天文学室、そこは俺の専攻科目でよく使う三階の教室だ。
「そうか、俺は下の実験室だからここで一旦サヨナラだな」
「だな、じゃあな銀」
俺達はしばしの別れを告げて、二階の教室を出た。
一時間目の授業は魔術別専攻授業。
そう、俺こと神無月セツナが通う学校は………
国立魔術高等専門学校だ。
最後まで読んでいただき、有り難うございます。今後も連載予定ですので、よかったら終わりまでお付き合いお願いします。