表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツバサに乗せた想い  作者: 与茂内 翼
Second: 青春
9/15

008

「…っつ…何しやがる…ッ」


「あんたが私の足元に飛んでくるのが悪いんでしょこの変態ゴミムシ。」


「何をー!! ゴミムシってのは綺麗な種類が多いんだよ!可哀そうだろ!!」


「「そこっ!?」」



コートの周りにいた一同が声を揃えてツッコミ。

山下は少々一般人よりも動物の知識に長けているのだ。



と、その時。



パコォン


「…ッ」


朝比奈に軽くガットで叩かれる。


「…はいはい、夫婦喧嘩はそこまで。先生の話聞きな!」


朝比奈が俺と笠島の小さな喧嘩を止めに入る。

夫婦じゃねぇ!!と言いたかったのだが…


…朝比奈には逆らえないのでそのまま言うことを聞く。



「…終わったか?まぁ白熱した良い試合だったから止めなかったんだが、

 お前らは二人とも団体戦のメンバーだ。」


「…えっ…」


「マジすか!?」


「あぁ。まぁ、面目状補欠扱いだがダブルスで組む試合が二つあるからそこには出られるだろう。

 もしくはシングルでお前らが出ても良いしな。」


「なん…だと…」


「やったぁ!!」


「だから言ったじゃないですか!!先輩たち二人はもう試合に出られるから闘わなくて良いんですよって!」


少し涙目で訴える後輩。

…完璧に団体戦メンバーの争いで周りが見えていなかったようだ。


「す、すまん…」


「ごめんなさい…」


「はっはっは。まぁ、お前らはまだまだ磨けば光る原石だ。

 毎日欠かさずトレーニングや練習試合を頑張れよ!」


「「はい!!」」





かくして、俺と笠島は第1軍の各男女選抜チームに選ばれたのだった。


…いや、後輩の話を聞かない俺らが悪いんだが。





【その日の帰り道】



「いやーマジで馬鹿だよなwwwお前www」


五嶋ごとうが言う。


「しゃーねーだろ…意地でも試合に出たかったんだよ。」


「お前、前まで後輩に負けるくらい弱くなかったか?なんでいきなりこんな強くなったんだ。

 ドーピングか?薬厨か?」


山上も続ける。


「アホか、法律に触れるようなことは何もしてねーよ!」


「…女ですかい?」


「ば、ばーか、そんなんじゃねーよ!」


「あー、笠島さんかぁ…仲良いもんな…」


「誰があんなスピーカー女を好きになるんだ…冷静に成れよ五嶋。」


「ですよねー」


「じゃあ別にいるのか…どうやらバドミントン部ではなさそうだな…」


「(…あながち間違いではないような…

  いや、落ち着け山下さん。あながちってどういう意味だ。俺には好きな人なんかいないぞ…)」


そう自分に言い聞かせる。

けして恥ずかしいとかそういう次元ではなかった。



本当に気づいていなかったのだ。



「バーカ、俺は自主トレしてちゃんと筋力を付けて練習してたんだよ!」


「ふーん…まぁいいや。俺の家でスマブラやってこーぜ!」


「おぉ、やろう!今日こそぼっこボコにしてやるからなww」


「あ、おいちょっとまててめぇら!!」



仲良しの男3人組は高架下の交差点へと姿を消して行った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ