004
お互いがバドミントン部だと知った時からもっと仲が良くなった。
休み時間に技術方面での話題もできるし、バドミントン雑誌の話もできるようになった。
お互い、話をする機会も増え、丁度帰り道も一緒だったので途中まで一緒に帰る機会も少なくなかった。
そして、訪れた夏期講習最終日。
「さて、今日が夏休み最終日の夏期講習だ!このあとはしばらく塾も休みだが、しっかり勉強しろよー!」
と、先生が言ってから授業が始まった。
高校受験の為の最終確認のような感じの授業で、この日はかなり難しい内容だったのを覚えている。
…しかし、杉山は軽々しくあっさりと答えを言ってしまうのだった。
「8aの三乗です。」
「その通り。ちゃんと予習もこなしてきているのか。やるな杉山!」
「…」
俺、そこ7a2乗だと思ってた…
その授業もすぐに終わり、放課後…と行ってもまだ午前中なのだが。
「終わったねー!さぁーて、部活いこー!」
と、杉山が伸びをしながら俺の方を向いてしゃべる。
しかし、俺はそんな姿を見ずに考え事をしていた。
「…うぁ、そういえば…」
そういえば、あいつはこの夏期講習中に入ってきたが塾は続けるのか?
夏期講習だけって線も無いわけではない。
=杉山と会えなくなるかもしれない。
…ん?
何故そのようなことを考える必要がある?
ただの仲の良い友達じゃないか。
どうしたんだ?俺。
と、考えてはいた物の、勝手に口が滑ってしまっていた。
…言うことをきかないこの口が悪いのだ。俺の意思ではない。うん。
「…杉山は塾、続けるのか?」
出来るだけぶっきらぼうに、靴ひもを結びながら言う俺。
わーかっこいいねー中二病かなー(棒)
少し、考えてから杉山は言った。
「そうだね、ここの塾、私に合ってるし続けたいと思ってる!
山下もいるしね!」
俺もいるしね?
あぁ、友達もいるからってことか。
確かにあいつは俺以外の人間とあまり喋ってなかったからなぁ
「そっか、じゃあまたバドミントンの事話せるな!」
「うんっ!」
夏の日差しが燦々と照ってる中、より一層笑顔が弾けて見えた中二の夏。
俺は新しい友人を手に入れたのだった。
その帰り道。
俺たちは部活動の話で盛り上がってるときにまたひとつの鍵穴が増えてしまった。
「でさ、シャトルランの時にさー…」
「なにそれww」
そんな他愛も無い会話をしている時、一つの話題の中の人物がキーパーソンとなる。
「この間よ、笠島ってやつが俺めがけてスマッシュ打ってきたんだよ。したらよ…」
「…え? 今何て?」
「あ?だから俺めがけてスマッシュ打ってきた奴が…」
「その子の名前だよ!」
「笠島…愛?そいつがどうかしたのか?」
「…同姓同名で趣味も被っていて、同じ人だとしたら、その人は…私の幼馴染だよ!!」
また、一つ。
扉の鍵を見つけてしまったようだ。