表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツバサに乗せた想い  作者: 与茂内 翼
Second: 青春
15/15

014

「いっけえええええええええええええええ!!!!」


「っしゃああああああああああああああああああ!!」



普通に試合をやっていては絶対にとることのできないシャトル。


いくらオリンピックの選手とは言えこんな戦法をされてしまっては取れはしないだろう。


しかし


コートの一番後ろのラインから、床の上を滑るようにして山下は飛んだ。


まるでハヤブサのように、ラケットを嘴の如く突き出して落ちてくるシャトルめがけて急加速。


右肩部分のナイロン製のユニフォームが焼けるように熱い。


でもそのユニフォームの素材でなければ床を滑ることはできない。



野球の滑り込みホームインにも見えるその光景は杉山の目にも焼きついていた。



そして…




パシィンッ


と、渇いた弾けるような音とコンマ数秒遅れ、机や椅子が倒れるような大きな音が体育館内に響いた。





ガシャァン


ガラガラガラ



ガンッ ガンッ ガシャアァンッ



コォンッ…





山下は、コート脇に座っている点数版と審判の場所へと突っ込んで行った。


審判は危険を察知して椅子から飛び降り、その椅子や机が滑り込んで行った山下の上に襲いかかった。




「山下ァッ!!!!!」


「キャアアアアア!!」



悲鳴と叫び声が体育館に木霊する。



しかし…



「…げ、激痛が…ッ」



奇跡的にも、山下は生きていた。


…死ぬわけも無いが。



しかし右肩は真っ赤に腫れ、顔中傷だらけ、ラケットのガットは切れている。


そこで正気に戻り、コートを見て叫ぶ山下。



「シャトルは!?」





小さな羽根がくっついたコルクは


相手のネット際コートの線の…




ギリギリ外に、落ちていた。




21vs19トゥエンティーワン・ナインティーン!!ゲームセット!!





俺の中学校生活のバドミントンは、


ここで幕を閉じた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ