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ツバサに乗せた想い  作者: 与茂内 翼
Second: 青春
11/15

010

仲間たちは、これまでに続けてきたトレーニングを活かして体力や技術を身につけてきた。


そして、この自分だって冬の間めげずに勉強とトレーニングを両立させてきた。


ランニングのタイムも向上し、テクニックだって前より上手くなったはずだ。


そして何より、さっき杉山に「頑張れってね!」と言われた。



…ん?



なんで杉山に言われたからって頑張れるんだ?


あ、いや頑張ってねって言われたら頑張るしかないけど…




…もやもやする。




そんな事を思いながら、俺は試合に臨んだ。



「山下ぁーッ!!これに勝てば準決勝まで進めるぞ!!」


「おうよ!任せとけって!サンキュ!」


軽く笑いながら山上や五嶋に感謝する。


「…だがよ、相手はあの白馬守はくばまもるだろ…?

 勝てるのかこの試合…」


「諦めたらそこで試合終了ですよ…」


「うるさいよ安在先生。」



白馬守。鏡野中学校最強と呼ばれているバドミントン選手。

当然、昔の山下なら勝てるような相手ではない。


そして、今も互角に戦えるような相手ではない。



「…ヤケクソだな。引退試合がここで終わりとは情けない…」



と、呟いてコートの中に入る。

すると相手側コートの応援席に、杉山の姿が見えた。


そしてこちらの方を見て、ガッツポーズをしていた。



「…へっ。あいつ、呉越同舟じゃねぇか。」


山下も、杉山にガッツポーズを返した。




「白雪中、山下隆 対 鏡野中、白馬守の試合を開始します。

 ファーストゲーム、ラブオールプレイ!」



「よろしくお願いします。」


「お手柔らかに…ッ」



ショートサーブから始まった1セット。

線ギリギリに落としたが、やはり見切られて高くロブを上げられる。



「くっ、届け…っ」


パァンっ


「…ッ」



1ターンが非常に長い。

お互いに負けられない試合なのだろう。


と、ここで山下がミスをする。


スマッシュを失敗してネットに引っかけてしまった。



「ドンマイ頑張っ、次集中!!」


白雪中の独特の応援が体育館内に響く。


「山下先輩がんばれぇ!!」


「分かってるって…!」



パァンッ




しばらくの間、渇いたシャトルの翼の音が響き渡っていた。

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