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第43話【覚醒編】『あばよ、ネプチューン』お前の安っぽい箱庭なんて、もう飽き飽きだぜ

第43話【覚醒編】『あばよ、ネプチューン』お前の安っぽい箱庭なんて、もう飽き飽きだぜ



「市民諸君!ついにこの日が来た!」


ホログラムが、豪華な玉座に座るネプチューンの顔を巨大に映し出している。

中央都市の中央広場は、処刑を見物しようと集まった数万の民衆と、威圧的に立ち並ぶ重装機兵によって埋め尽くされていた。


「世界から〝不純物〟を取り除き、完全なる秩序を取り戻す記念すべき日だ!」


石畳の上にそびえ立つ断頭台。

そこには、膝をつくテラとアレスの姿があった。


「……テラ。貴様という存在は、私の人生における唯一の汚点だった」


ネプチューンは立ち上がり、憎しみに歪んだ目で断頭台のテラを見下ろした。


「私が作り上げた完璧な平和に、貴様は〝更地〟という名の泥を塗り、民衆に余計な〝希望〟という毒を撒き散らした」


吐き捨てる言葉には、抑えきれない嫌悪が滲む。


「貴様のせいで、私の管理システムがどれほど損傷したと思っている!その腕、その脚、その不敵な口……すべてを粉々にしてくれるわ!」


テラは、口端から垂れる血を床に吐き捨て、隣のアレスに視線を送った。


「……おい、アレス。あいつの顔、見てみろよ。神様気取りの割には、随分と余裕がねぇと思わねぇか?」


「……確かに。あれは神の顔じゃない。自分の大事なおもちゃ箱を、野良犬に荒らされるのを怯えている子供の顔だ」


アレスの皮肉混じりの同意に、テラは満足そうに口角を上げた。


「……あばよ、ネプチューン。お前の安っぽい箱庭なんて、もう飽き飽きだぜ」


「黙れッ!死を前にしてもまだ吠えるか!……処刑執行!やれッ、ゴミを片付けろ!!」


ネプチューンの怒号が響き、死刑執行人が巨大なレバーを引こうとした、その瞬間だった。


「――今だ!!ぶちかませ!!」


メルクリアの鋭い号令が響き渡る。


――バチバチッ、バリィィィンッ!!


会場の四隅に配置されていた〝ゴミ箱〟が爆発。中からメルクリア特製の煙幕と、電子回路を焼き切る強力な火花が炸裂した。


「テラ様ぁぁぁーーッ!!」


煙を切り裂き、セレネ、メルクリア、そして巨大なハンマーを担いだイナンナが乱入する。


「ふん、ネズミどもが罠にかかりに来おったか!発動せよ、〝ジャッジメント・ケージ〟!!」


ネプチューンの合図と共に、広場の石畳が反転。無数の魔導レーザー砲と、不可視の重力障壁が展開される。

さらに地中からは、標的の熱源を追尾する自律型機雷が次々と飛び出した。

だが、メルクリアは走りながら不敵に笑い、自作のデバイスを地面に突き刺した。


「遅いよ!そんな古臭いトラップ、すでに全部書き換えてあるんだよ!」


スイッチを叩くと、政府の自律機雷が突然反転。逆に政府軍の魔導兵たちへと突っ込んでいく。


「道を開けてくださいッ!!」


イナンナのハンマーが重力障壁の発生装置を粉砕し、三人は凄まじい速度で処刑台への距離を詰めていく。

ネプチューンの仕掛けた罠を、彼女たちは〝物理攻撃〟と〝ハッキング〟で次々と無力化していった。


「な、何だと……!?私の完璧な防御陣が……!」


勝利は目前。セレネがテラの拘束具に手をかけようとした、その時――。


「――因果の糸を、見誤りましたね」


頭上から降り注いだのは、生存を許さない、圧倒的なプレッシャー。


純白の衣装を一点の曇りもなく輝かせ、ウラヌスが空から舞い降りた。

その手に握られた神剣デウスエクスマキナの〝目〟が、カチリと音を立てて開く。


「セレネ、そこから左に一歩。イナンナ、君は三秒後に転ぶ。メルクリア、君のデバイスは今、焼き切れました」


言葉が終わるよりも速く、ウラヌスは最小限の動きでセレネの突撃をかわし、イナンナの足元を神剣の鞘で払った。

メルクリアの端末は、神剣が放つ未知の周波数によって爆発し、黒煙を上げる。


「そんな……すべての動きが、読まれている……!?」


愕然とするセレネに対し、ウラヌスは無機質な声を返す。


「読み取っているのではありません。決まっているのですよ。……あなたたちの敗北は、確定事項です」


神剣を一振りする。ただの衝撃波ではない。それは〝当たる未来〟を固定された物理の暴力。


セレネたちは防ぐ間もなく吹き飛ばされ、広場の壁に叩きつけられた。

再び、広場を支配する絶望的な静寂。

テラは動かない腕を必死に動かそうとするが、ウラヌスの〝目〟がそれを許さない。


「さあ、塵に帰りなさい。不純物たち」


神剣デウスエクスマキナが処刑の光を宿し、テラの胸元へ向けられた。

もはや、これまでか。誰もがそう確信し、セレネが涙を流したその時――。


不意に、天から降ってくるような、透き通った〝歌声〟が会場を包み込んだ。






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