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石黒杏奈と白木綾乃は知りたがり ②

「ようこそ! 綾乃ちゃん」エプロンをつけた杏奈の父親が玄関で出迎えてくれる。

 大手銀行のキャリアウーマンである杏奈の母親の代わりに、父親は専業主夫をしている。

 杏奈の父親も株式投資でそれなりに稼いでいるらしいけれど。

「お、お邪魔します」と言って、綾乃は杏奈の家に上がる。

「ゆっくりしていってね!」と杏奈が後ろから声をかける。

 二人はまず杏奈の部屋に行く。

 ドアの正面に木製の机があり、右の窓際には白いベッドが置かれている。

 杏奈の部屋は意外と整理整頓されている。

「き、今日は綺麗な部屋だな」と綾乃が言う。「前はもっと汚かったぞ」

「たまたま昨日、思いつきで掃除したんだよ。わたしだってやればできるんだから」

「さすがだ、杏奈。や、やればできる子だと思っていたぞ」

「ありがとう! 綾乃に褒めてもらえるのがいちばん嬉しい」

「それは何よりだ。わたしも杏奈に喜んでもらえるのがいちばん嬉しい」

「隣に座りなよ」ベッドに腰掛けた杏奈が、横をトントンと叩いて言う。

「じ、じゃあ、遠慮なく」そう言って、綾乃は杏奈の隣に座る。

「ねぇ、綾乃」と杏奈が正面を向いて言う。

「どうした、杏奈」と綾乃が尋ねる。

「ベッドにいるとどうして眠たくなるのかな?」

「眠いのか? 横になっていいぞ。わたしは本があればいくらでも時間を潰せる」

「ありがとう。じゃあ、お言葉に甘えてちょっと横になる」

 そう言うと杏奈は綾乃を抱きしめる。そのまま二人は一緒に倒れ込む。

「ど、どうした、杏奈」綾乃は顔を真っ赤にして言う。

「綾乃とくっつきたくなったんだ」杏奈は悪びれず、腕に力を込める。

「ちょっと苦しい」照れくさくなった綾乃が言う。

「あら、それはごめん」そう言って、杏奈は少しだけ腕の力をゆるめる。

「ねぇ、どうしてベッドにいると眠たくなるのかな?」

「そ、その話に戻るんだな。布団がフカフカだからじゃないか?」

「どうして布団がフカフカだと眠くなるの?」

「さあ……何かに守られているような気持ちになるんじゃないか?」

「何かって?」

「そ、そうだな……例えば、母親の羊水に包まれている赤ちゃんみたいに」

「なるほど。じゃあ、綾乃はわたしにとっての羊水なんだね」

「それは逆じゃないか? 杏奈がわたしの羊水のような気がするが」

「そうなの? とにかく、わたしは綾乃がいると安心するんだ。だからわたしはいつも綾乃と一緒にいるんだよ」

「それこそわたしの方だ。杏奈がいるから安心して毎日を送ることができる。わたしこそ杏奈がいてくれないと困る」

「そうなんだ。なんだかそう言ってくれると嬉しくなるね」

「そ、そうだろう。わたしも杏奈に言われてとっても嬉しい」

「ありがとう、綾乃」

 そこで杏奈のお腹が鳴る。

 杏奈は綾乃にくっつくのをやめると、起き上がってお腹を押さえる。

「あらら。お腹が鳴っちゃった」

「さ、さっきチョコバナナパフェを食べたばっかりじゃないか。本当に夜が来ればお腹が空くようになるんだな」

「そうだよ。杏奈さんのお腹をなめてもらっちゃ困る」

「そ、そろそろお父さんの料理が出来ているんじゃないか?」

「かもしれない。ちょっと様子を見てくるね」

 そう言うと杏奈は部屋を出て、階段を降りていく。

 綾乃は杏奈の部屋を見渡す。まるで杏奈の世界に包まれているような気がする。

 部屋の匂いを嗅いでみる。杏奈のいい匂いがする。綾乃は小さく深呼吸をして、杏奈の成分を体に取り込む。なんだか幸せな気持ちになる。

 まもなく杏奈が部屋に戻ってくる。

「お父さんもう準備できたんだって! 一緒に食べよう」

「じ、じゃあ、お言葉に甘えて」

 杏奈の父親は鶏のから揚げを作って、笑顔で待っていた。

「綾乃ちゃん、たくさん作ったから、遠慮なく食べてね」

「い、いただきます」そう言って綾乃は手を合わす。

「いただきます!」と杏奈も言う。そして二人は無心になってから揚げを頬張る。

「お、おいしい。いくらでも食べられそうだ」と綾乃が言う。

「だねぇ。お父さんが作ったから揚げって、なんでこんなにおいしいのかな?」

「それは、僕が二人のために心をこめて作ったからだよ」

 そう言って杏奈の父親はウインクをする。

 杏奈はそれを無視してから揚げを食べ進める。綾乃も見なかったことにする。

「無視されるとお父さん悲しくなっちゃうな」寂しそうな顔で杏奈の父親は言う。

「お父さんも食べなよ。冷めちゃったらもったいないよ」

「じゃあ、お父さんも頂くか」そう言って杏奈の父親もから揚げを食べはじめる。

 食事が終わると、二人は杏奈の部屋に戻る。

「お、遅くなるといけないから、そろそろ帰ろうかな」と綾乃が言う。

「泊まって行きなよ。明日は休みなんだし」

「え? いいのか? でも着替えとか何も持ってきてないし」

「わたしのやつを貸してあげるから心配しなくてもいいよ。身長が同じくらいだからサイズも合うでしょ」

「わかった。じ、じゃあ、うちの親に連絡だけしておく」

 そう言って綾乃はスマホでメッセージを送る。母親からはすぐに返信がある。

 杏奈ちゃんのところならいくらでも泊まっていきなさい。

「お、お母さんが良いだって」

 そう言って綾乃が顔を上げると、すぐ近くに杏奈の顔がある。

「わたしね、綾乃のことをもっとたくさん知りたいんだ」

 杏奈の顔は少しだけ火照っているようにも見える。

「し、知りたいって、例えばどんなことだ」

「あんなことやこんなこと、だよ」杏奈は意地悪そうな笑顔を見せる。

 綾乃は恥ずかしくて、顔が真っ赤になる。

「恥ずかしがっている綾乃、とっても可愛いよ」

「そ、それは杏奈も同じだ。杏奈も顔が赤くなっている」

「綾乃がこうしてわたしの部屋にいるからね。ドキドキしちゃうんだよ」

 そう言って杏奈は綾乃の胸に手を伸ばす。

「あっ……」綾乃はつい吐息を漏らす。

「可愛いよ、綾乃」そうして杏奈は綾乃に口付けをする。

 綾乃の胸を優しく揉みながら、杏奈は綾乃の口に舌を入れる。

 綾乃は杏奈のなすがままにされている。自分の体が溶けていくような感覚になる。

 やがて杏奈は綾乃の服を脱がしていく。綾乃は下着だけの姿になる。

 綾乃が来ている下着は白くて地味な下着だった。それでも杏奈は言ってくれる。

「綺麗だね、綾乃」下半身が濡れていくのを綾乃は感じる。

 綾乃も杏奈の服を脱がしていく。制服の下は黒のスポーツブラになっている。

「杏奈こそ、綺麗だ」と綾乃が言う。「ありがとう」と杏奈は言う。

 そして二人はもう一度、お互いに口付けをする。二人の夜は始まったばかりだ。

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