表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
交際ゼロ日からの、契約結婚 ~夫が抱える25の嘘~  作者: 当麻月菜
潮風に隠す嘘と本音

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

42/99

3

「……悪かったな。色々と……」


 瑞穂が去ってしばらくしてから、真澄はポツリと言った。


「ん?別に、悪くされた覚えはないですよ?」


 むしろ、こっちが迷惑をかけてしまった。


 でもそれを口にしたら、真澄は「そうじゃない。俺が悪い」と言い出すだろう。2か月近く同じ屋根の下で暮らしているのだから、それぐらいはわかる。


 だから菜穂子は、終わりの見えない会話を続けるより、話題を変えることを選んだ。


「瑞穂ちゃん、可愛いねぇー。私、お兄ちゃんしかいなかったから、すごく新鮮だった。あ、瑞穂ちゃんに”いつでも遊びにおいで”って言っちゃったけど……」

「構わない。あいつも逃げ場があるほうがいいだろう」

「そっか……そうだよね……」


 真澄のその言い方が、なんとなく引っ掛かった。


 皆がワイワイとご馳走を食べている中、瑞穂が一人厨房でカップラーメンを食べていたことを知っても、真澄のリアクションは薄かった。興味がないというより、それが日常と言った感じだ。


 でも真澄と瑞穂の仲は、小遣いを強請り、与える関係だ。遊びに出かけた瑞穂の身を案じていたから、悪くないどころか、良好と呼べるだろう。


 そこにすごく矛盾を感じるけれど、菜穂子は詳細を尋ねるつもりはない。


 智穂は「真澄さんはね、色々あって幼い頃に私の実家で過ごしたことがある」と言っていた。その色々の中に、きっと瑞穂との関係も含まれているのだろう。


 そしてそれは、柊木家の闇の部分だ。期間限定で結婚した菜穂子が、安易に触れていいものではない。


「菜穂ちゃん、この際だから言っておきたいことがある」


 急に口調と態度を改めた真澄に、菜穂子は小さく息をのむ。


「あ、う……ん。何……かな?」

「瑞穂が言っていた純玲のことだ」


 頭の中で瑞穂のことを考えていたので、てっきりその話だろうと思い込んでいた。


 しかし予想が外れ、菜穂子は動揺してしまう。


「え?す、純玲……さんの、こと?」

「そうだ」

「あー……そっちは、なんとなく察しはついてるから、言わなくてもいいよ?」

「そういうわけにはいかない。菜穂ちゃんは俺の妻なんだから」


 妙に”妻”というワードを強調する真澄に、菜穂子は心の中で色々考えてしまう。いいことも、悪いことも。


「まぁ君、あのさ……」

「なんだ?」

「実は本命は智穂さんじゃなく、純玲さんってことは──」

「あるわけないだろ!」


 真澄は、怒鳴り声で否定する。すぐさま周囲の視線を感じて、ちょっと居心地が悪い。


 でも菜穂子は、一番悪いことが避けられたことにホッとしてしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ