赤の縁
凛とした海の青、そこに私は身を委ねてしまおうと考えている。
「おねーさん、そこで何してるの」
赤色の服を着た、いかにも遊んでいそうな1人の男が話しかけて着た。
私は赤が嫌いだ。
昔、家族で出かけた帰り、相手の居眠り運転が原因で交通事故に遭った。母は私を身を挺して守ってくれた。血に染まっていく両親を見ながら私は何もできなかった。両親は死んだ。幸か不幸か私は、ほぼ無傷だった。それからの生活で赤を見るたび、血に染まっていく両親を思い出す。
―――
俺は、昔から落ち着きたいとき海に来ている。人目につかない、岩場の手前で深呼吸をすると落ち着けるのだ。そして、今日も嫌なことがあって海に来た。1人になりたかった。だが、今日は先客がいた。真っ白のワンピースを着た綺麗な女性が立っている。虚ろな瞳をしていて心此処にあらずといったような感じだ。俺はなぜだか居ても立ってられず、つい声を掛けた。
「おねーさん、そこで何してるの」
虚ろな瞳をそのまま俺に向けた。彼女が今からしようとしていたか雰囲気で分かる。
「そんな所に立ってたら危ないよ」
さらに声を掛けたが彼女には届いていないようだ。彼女を纏っている不思議な雰囲気は俺みたいなチャランポランからしたら少し苦手なものだ。
―――
そんなことを考えていたら少しの間、話しかけてきた男性のことを忘れてしまっていた。それに気付いた私はすぐに男性に言葉をかける。
「特に何も」
「じゃあ、なんでそこにいるの」
本当のことを言ったら他の人みたいに引き留めてくるだろう。私は少し考えてから答えた。
「少し静かな所に行きたくて」
「ふーん。俺もおねーさんと同じ。」
少しの沈黙が流れる。この男は何故、私に話しかけたのか、何を考えているのか、私には到底分かりそうにはない。
―――
俺が問い掛けて少し立った。
「特に何も」
彼女が徐に口を開いた。それでは何故そこにいるのか、答えは明白だが彼女に聞いてみることにした。
「じゃあ、なんでそこにいるの」
彼女は考えているようでほんの少しの間が空いた。
「少し静かなとこに行きたくて」
彼女が嘘を言っていることくらい俺でもわかる。彼女はバレていないと思っているのだろうか。ここで何か言わないと不審だろう。そう考えて俺は咄嗟に思い浮かんだ言葉を答える。
「ふーん。俺もおねーさんと同じ」
我ながら謎な答えだ。余計、不審になっただろうか。
―――
人が来てしまったのなら、私が考えていたことはできないと思った。
「じゃあ、私はこれで。」
咄嗟にそう言い立ち去ろうした。
「おねーさんよかったら俺と話さない?」
何故かその男性はそう声を掛けてきた。気味が悪いくらいに本当にこの男が考えていることがわからない。そして質問に対し、断りたい所だが生憎、私は断るのが苦手なので仕方なく少しだけ話をすることにしよう。
「少しだけなら」
―――
「じゃあ、私はこれで。」
少しの沈黙のあと彼女が言った。このままだと彼女は明日にでも、またここへくるだろう。俺は、明日はここへこれない。無理矢理、彼女を引き留めるようなことをするつもりはないが、後悔してからでは遅い。
「おねーさんよかったら俺と話さない?」
咄嗟に声に出た。おそらく断られるだろう。
「少しだけなら」
少し間が空いたあとそんな言葉が返ってきた。俺は驚いた。まさかそんな言葉が返って来るとは思っていなかったからだ。
―――
私は赤い服を着た男と安全な岩に座り少しの間だけ他愛のない話をした。とりあえずわかったことは、加賀屋俊という名前だということ、この辺に住んでいるということ、頭が意外といいということ、19歳で1つ年上だということ、それにしてもなんだか独特の雰囲気がする、少し不快で、でもそっと包みこまれるような、そんな雰囲気だ。よくわからない。私は色んな人とあって来たけど、こんな雰囲気に出会ったことがない。そんなことを考えていると相手の雰囲気に飲まれいつの間にか心に秘めている感情をすべて吐き出してしまった。私が言ったことに対しこの男はなんて返すのだろうか、不思議と気になってしまう
「おねーさん俺と似てるね」
意味のわからない答えが返ってきた。私と似てるって雰囲気から何から何まで似ていないじゃないか。
―――
彼女と近くの岩に座って、少し話をした。彼女は七瀬紫音というらしい。俺の一個下だ。そして、彼女の話を聞いた両親のことその後のこと。今は祖父母の家に住んでいるということ。全て聞いて思った。この子は俺と似ている。
「おねーさん俺と似てるね」
つい声にでてしまった。でも、この子は俺と似ている。俺のことも話したら自殺止めてくれるかもしれない。
―――
「俺もさ、ちっさいころに親死んじゃったんだよね目の前で殺人鬼に殺されてさ何故か俺は生かされて、というか警察がちょーど来たんだけど、それからイジメにもあって大変だったよー神様ってさ、たまにひっどいイタズラするよね。俺とかおねーさんのときみたいに。一緒に殺してくれればよかったのにって俺は思ってる。おねーさんもそ?」
一瞬何を言っているのか理解が出来なかった。この男は何故目の前で親が殺されたというのにそれを軽く語れるのだろう、私なんかよりずっと辛い思いをしているはずなのに、なんで笑っていられるのだろう。気になって気になってしょうがない。
「なんで…貴方はそんな笑っていられるの」
つい聞いてしまった。でも気になる。
―――
俺も小さいときに親が死んだ。なのに俺は助かった。その後は祖父母に引き取られたが、1年後に祖母が亡くなってしまった。それから俺は死神だとか近づいたら殺されるだとか罵られ過ごした。それに中学の頃にイジメに遭った。やり返し、停学になった。祖父は泣いていたそれで俺は嫌になってここで死のうとした。飛び降りようとした瞬間ある男が話しかけてきた。その風貌からは考えられない優しい笑顔でその男は言ったんだ「逃げてもいい。『逃げ』は『負け』じゃない。でもやり返したり死んだら負けになると俺は思う。人生を捨てるな、俺みたいにかっこよくなって見返せよ。」その言葉に俺は救われた。俺は『逃げ』を『負け』だと決めつけてたんだ。そこから俺は猛勉強をして男と同じ大学に入った。そしてイジメたやつを見返した。そんなことを彼女に話した。よくよく考えたら辛い原因が違うじゃないか。これでは彼女の劣等感を促進させてしまう。俺はなんて事を言ってしまったんだ。
―――
彼の話を聞いた。イジメられた?やり返した?もうその時点でかっこつけててうざいと思ってしまう。それなのにある男の言葉をきっかけにいい大学に入って見返したなんて、まるでアニメの主人公じゃないか。私はもう高校3年手遅れだ。とてもイライラする。
「…かっこつけないで!私には貴方のようにイジメられてはない!でも!周囲からの哀れまれる眼差しの気持ち悪さを知ってる?!知らないでしょ?!貴方と私は違うの!それに中学生で救われた貴方と違って私はもう高校3年!手遅れ!」
つい言葉に出てしまった。
「…そうだな俺とあんたじゃたしかに違うよ…でもな、俺も親を亡くした。似たような経験をしてる。だからある程度辛さはわかるんだ。辛かったよな。見ず知らずの俺に話してくれてありがとう。」
そう言って彼は私を抱きしめた。その瞬間なんだか感情が溢れて泣いてしまった。そんな私を彼は優しく包みこんでくれた。
―――
「…かっこつけないで!私には貴方のようにイジメられてはない!でも!周囲からの哀れまれる眼差しの気持ち悪さを知ってる?!知らないでしょ?!貴方と私は違うの!それに中学生で救われた貴方と違って私はもう高校3年!手遅れ!」
彼女に言われてしまった。その通りだ。ただ俺にも気持ちは分かる。だから体が勝手に動いてしまう。
「…そうだな俺とあんたじゃたしかに違うよ…でもな、俺も親を亡くした。似たような経験をしてる。だからある程度辛さはわかるんだ。辛かったよな。見ず知らずの俺に話してくれてありがとう。」
そう言い彼女を抱きしめた。そうしたら彼女は安心したのか泣き出してしまった。俺はひたすら彼女を抱きしめ見守った。
―凛とした海の青がとても美しく見えた―
このサイト初心者すぎて…早く慣れたいので1日目…2つ投稿…1つ目をやってからしったのですがデビューなどあるのですね…評価などしてもらえるととても嬉しいです!




