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崩れゆく天国の影  作者: 霧崎 蒼司


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18/18

第18話: 闇に潜む真実

しばらくこの作品を更新できていませんでした。

正直に言うと、第18話以前は、当時の自分の日本語力や翻訳力がまだ未熟で、原作の内容を6割ほどしか表現できていなかったと思います。そのため、読んでいて物足りなかったり、出来が良くないと感じる方もいるかもしれません。


それでも今回、もう一度挑戦したいと思い、この異世界作品を再開することにしました。

拙い部分もまだあるとは思いますが、今の自分なりに全力で書き続けていきます。


よろしければ、これからも応援していただけると嬉しいです。

日々は日常の喧騒の中に過ぎていった。ギルドは相変わらずの任務をこなし、魔物を討伐し、民を救い続けている。しかし、ある夜のこと、一日の疲れに身を任せるはずの主人公は、どうしても心を落ち着かせることができなかった。胸の奥で古傷が疼き、あの犯罪組織に対する疑問が、まるで脳裏に突き立てられた刃のように彼を苦しめていた。


主人公は独りで調査に乗り出すことを決意した。黒騎士もまた同じ考えであり、二人はあらかじめ打ち合わせを済ませると、二手に分かれて夜の街へ消えた。一方、盾の騎士には愛する女性との約束があったため、主人公と黒騎士は彼に平穏な夜を過ごさせようと、あえてこの計画を伏せていた。


主人公が選んだ調査場所……それは、歓楽街だった。


薄暗い黄色の灯火の下、煙草の煙と酒の香りが漂う中、彼は古びた赤いマントを羽織り、喧騒に満ちた雑踏を縫うように歩を進める。こうした場所では、噂話や秘密、囁き声といったものが、多種多様な客を相手にする女たちの唇を伝って流れ込んでくる。そしてその中には、間違いなくあの組織の構成員も紛れているはずだ。


主人公は店の一角に腰を下ろし、薄い酒を注文すると、静かに話を切り出した。直球の質問は避け、遠回しに、少しずつ言葉を誘導していく。粘り強く数人の顔役から情報を聞き出した末、ついに断片的なパズルが形を成し始めた。


あの犯罪組織――彼らは強盗のために結成されたわけでも、疫病を蔓延させるために動いているわけでもなかった。彼らの目的はただ一つ、魔物討伐ギルドに抗うこと。


それはつまり、疫病の元凶は彼らではないことを意味していた。それどころか、彼らが疫病を維持しようとしているわけでもない。この事態の裏には、すべてを影から操る別の勢力が存在するのだ。


そして、主人公を震撼させるニュースが飛び込んできた。この地の領主が、疫病が発生するちょうど一ヶ月前に領地を離れていたという事実。


彼はマントの下で拳を固く握りしめた。

(間違いねえ……。あの野郎、確実に関わってやがる)


だが、最大の謎はそこにある。なぜ領主は見捨てたのか? どんなに愚かな者でも、疫病で領地が衰退すれば、自らの利益と権力が直撃を受けることぐらい理解できるはずだ。もしや、黒幕側から領主が黙認せざるを得ないほどの……莫大な「代償」が提示されたというのか。


その考えに、主人公の背筋は凍りついた。待ち受けているものは、単なる「犯罪組織」などよりも遥かに恐ろしい何かであることは明白だった。


一通り街を彷徨った後、主人公は全景を見渡すために最も高い屋根の上へと飛び上がった。高所から見下ろすと、立ち並ぶ看板から放たれる鈍い光が、歓楽街を混沌とした明暗の中に染め上げていた。


観察を続けていたその時、彼の目に奇妙な光景が飛び込んできた。第一部隊の隊長が、ギルド長と共に謎めいたバーへと入っていく姿だ。不可解なのは、彼女はつい先ほどまで盾の騎士と一緒にいたはずだということだ。なぜ、今ここにいるのか?


胸に沸き起こる不安に突き動かされ、主人公は即座に飛び降り、真相を確かめるべく近づこうとした。しかし、数歩も進まぬうちに、ギルドの一員に制止された。その男は厳しい眼差しで主人公を射抜いた。

「ここで何をしている? 首を突っ込むな。立ち去れ」


抗う術もなく、主人公は一旦身を引くしかなかった。


拠点に戻った彼が目にしたのは、泥酔して倒れ込んでいる盾の騎士の姿だった。そして、第一部隊の隊長もまた、ギルド長と共に何食わぬ顔で戻ってきた。まるで最初から歓楽街になど足を踏み入れていなかったかのような振る舞い。その矛盾が、主人公の疑念をさらに深めた。


抑えきれない衝動に駆られ、彼は再びあの場所へと引き返した。


今度はさらに深く探りを入れると、驚愕の事実が判明した。あろうことか、自分の所属するギルドのメンバー数名が、犯罪組織の者たちと情報を取引していたのだ。主人公は息を殺し、さらに状況を見極めようと近づいた。だが、その瞬間――。


鋭い一太刀が風を切り、彼を目掛けて放たれた。


主人公は即座に身を屈めて回避し、剣を抜いて迎撃の構えを取る。対峙した相手は他でもない、ギルド長の懐刀とも言える幹部の一人だった。


心臓が締め付けられる。なぜ幹部が裏切っているのか?

主人公は歯を食いしばって問い詰めたが、返ってきたのは沈黙と、複雑な色の混じった視線だけだった。猶予はない。二人の剣が抜かれ、鋼と鋼が激突した瞬間、甲高い金属音が街に響き渡った。放出された「気」の圧力に、野次馬たちがパニックに陥って逃げ惑う。


切り結ぶ最中、その幹部は短く言葉を漏らした。

「これ以上深入りするな。ギルドを去るのが身のためだぞ」


だが、主人公は拒絶した。真実を知らねばならないと声を絞り出し、目の前で起きていることから背を向けるつもりはないと断言する。退く気はない。これが自分の選んだ道であり、正面から立ち向かう覚悟はできている。


戦いは嵐のように激しさを増していった。幹部の一撃一撃は重く、鋭く、まるで夜を引き裂く落雷のようだった。主人公は、己の筋肉と呼吸の一つ一つにのしかかる圧倒的な圧力を感じていた。相手の気は自分を遥かに凌駕しており、一瞬の隙が命取りになる。


だが、ここで屈するわけにはいかない。


主人公は奥歯を噛み締め、敵のあらゆる動きを網膜に焼き付けた。

(強い……だが、こいつには殺意がない。この太刀筋――これこそがチャンスだ)


彼はリズムを変え始めた。これまでは生き延びるために回避するだけだったが、今は全神経を集中させ、打ち込みの角度、剣の振り、敵の呼吸を読み取ろうとしていた。


――キィィン!


斜めに振り下ろされた一撃が頬をかすめ、一筋の血が舞う。鋭い痛みが走るが、それが逆に彼の意識を研ぎ澄ませた。横なぎの振りの際、軸足に一瞬の隙が生じることに気づいた彼は、即座に下段への足払いで反撃を試みる。


幹部は余裕を持って後退し、薄く笑みを浮かべた。

「ほう……実戦の中で学んでいるというのか」


主人公は答えない。脳内では分析が加速していく。(反応がまだ遅い。もっと柔軟に動け。地形を味方につけろ)


彼は屋根の上を駆け、距離を詰め、戦いを高速の追走劇へと変えた。跳躍の一振り、回避の身のこなしの一つ一つが、彼の身体をより俊敏に磨き上げていく。


突如、幹部が剣に気を込めると、眩い閃光が夜空を走った。衝撃波が吹き荒れ、屋根瓦が砕け散り、塵が舞い上がる。


主人公は痺れる両腕で必死に防戦する。(気だ……正面からぶつかれば粉砕される。合わせろ!)


刹那、彼は腕の力を「抜き」、相手の剛力を真っ向から受けるのではなく、その軌道に沿って剣を滑らせた。弾き飛ばされる代わりに、遠心力を利用して独楽のように回転し、背後の死角へとカウンターを叩き込む。


――ガキン! ガギィン! ギィン!


三撃連続。かつてないほど速く、鋭い剣閃。


幹部はわずかに眉をひそめた。

「貴様……この一戦の間に進化しているというのか?」


主人公は肩で息をし、汗が滴り落ちていたが、口角はわずかに上がっていた。その通りだ。彼は気の流れを制御し、力を効率的に運用する方法を掴みつつあった。圧倒的な力は必要ない。ただ、形勢を覆すだけの技巧があればいい。


戦いは最高潮に達した。瓦を叩く足音は軍鼓のように響く。下の街から漏れる灯火が二人を照らし出し、交錯する剣光は鋼の網のように夜を彩る。


衝突を繰り返すたび、主人公はさらなる悟りを得ていく。


1. 全力を込めた気の一撃は強力だが、大きな隙を生む。

2. フェイントを織り交ぜることで、敵の反応を先読みできる。

3. 気は肉体を強化するだけでなく、敵の鼓動を感じ取るための術でもある。


次第に、彼の剣は淀みなく、一連の流れを持つようになっていった。当初のぎこちなさは消え、一振り一振りに明確な意図が宿り、速度と技術が完璧に調和し始める。


幹部もまた、その変貌に気づいていた。彼は厳格さと、どこか励ますような響きを含んだ声で叫んだ。

「たった一度の戦いで……ここまで会得するとは! だが、それゆえに貴様をこれ以上関わらせるわけにはいかん!」


幹部は全霊の気を込め、決定的な一撃を放った。輝きを放つ刃が、雷鳴のごとく振り下ろされる。


主人公は歯を食いしばり、精神を極限まで集中させた。(抗うな……奴の力を利用して……受け流せ!)


重心を低く沈め、手首を返して、迫り来る剣筋を横へと受け流した。光の奔流がすぐ側を通り抜け、熱風が肌を焼く。一瞬の空白。彼は相手の懐へと潜り込み、反撃の刃を振り上げた――。


だが、振り下ろす寸前で、彼は動きを止めた。


二人の呼吸は荒く、汗が滝のように流れている。視線がぶつかり合い、緊張感が漂う中で、そこには互いへの「認め合い」が宿っていた。


「貴様……」 幹部は喘ぎながら、ふっと口元を緩めた。「……強者の列に加わるに相応しい実力を示したな」


彼は剣を収め、重々しい声で告げた。


「よかろう。貴様に話してやる……真実を」

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