表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛のない結婚をした継母に転生したようなので、天使のような息子を溺愛します  作者: 美杉。(美杉日和。)6/27節約令嬢発売中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

80/89

078 ルカ失踪

 ルカの部屋に飛び込むと、リナが泣きながら大きな声を上げながらクローゼットの中でルカの名を呼んでいた。


「ルカさまー。どこに隠れられてしまったのですか」

「リナ! 説明して」


 私はリナに近寄り声をかける。

 リナは私を見るとさらに目を赤くさせた。


「申し訳ございません、奥様。すべて、すべてわたしのせいでございます」


 リナは深く頭を下げ、ぼろぼろと涙を床に落とす。

 ルカの一番の侍女は彼女だった。乳母への告発を行ってくれたおかげで、部屋付き侍女から昇格したのだ。

 だから基本ルカが移動する時なども、必ずリナが付き添っていた。


「謝っていても分からないわ。何があったの」


 私はリナの肩を掴み、状況説明を求める。

 リナは泣きながらも顔を上げ、ほんの数時間前のことを一つ一つ話し始めてくれた。


「騎士団との練習が終わる時間にお迎えに上がりました。ルカ様はその後、いつもの日課である虫の観察をなされ、部屋には一緒に戻ってきました」

「ここまでは一緒に来たのね」

「はいそうです。ですが……」


 リナは下げたままの自分の手をギュッと前で組む。

 そして考えるように何度も視線を左右に動かしたあと、下を向いた。


「ルカ様がお庭にペンを忘れてきてしまったと言われたんです」

「ペン?」

「はい。いつもスケッチの際に使っているものです」


 そういえばルカは私が一番初めにあげたものをずっと気に入って使っていたっけ。

 線をそれで書いてから、部屋で色を塗ったり、名前や説明を書いたりしていた。

 他にも書きやすいものがあれば買っていいなんてアッシュが言っていたけど、いつもルカは笑いながらこれがいいんだと言っていた。


 すごく高価なものでもないし、特別なものだったわけでもないのに、ルカは本当に気に入っていたのよね。


「ルカ様にあれは大事なモノだから探してきて欲しい。自分は部屋で待っているからと言われ、わたしは急いで庭に戻ったのです」

「ルカが探してくるように、あなたに言ったのね」

「そうです」


 そう言い切ったあと、リナは泣き腫らした顔でまっすぐに私を見た。

 その顔を見れば、彼女が嘘などついていないことは分かる。


 だけど変だ。いつものルカなら、自分のモノは自分で探しに行くと言ったはず。

 しかもそれが大のお気に入りなら尚更よね。


 もしこれが日が暮れてしまっていたなら、ルカがリナに頼むのも分かる。

 でもまだ日は落ちていない。なんでそんな大切なものをルカは自分で取りに行くでもなく、リナに頼んだのかしら。


「ペンはあったの?」

「それが探しても探しても全然見当たらなくて。だからもしかしたら、ルカ様の勘違いか他の荷物に紛れてしまったのではないかと思い、部屋に戻ったら……」

「ルカはいなかった」

「そうです。どこにもルカ様の姿が見えなくて、部屋の中を探したんです」


 でも部屋にはいなかった。

 だいたいその先は分かる。リナはすぐにルカが部屋から出たと思い、他の侍女たちに声をかけたのだろう。

 そして屋敷中でルカを探し始めた。


「誰に声をかけてもルカ様を見た人はいなくて……どこを探しても見つからなくて……」


 状況から考えれば、リナを自分の元から引き離したのはルカだ。

 でも何のために? 一人になるため?

 もしかして家出とか……。


 だけど何かが違う。

 何かに不満があったとして、ルカがそんな突飛な行動に出るとは考えづらい。

 だいたい一人でどこへ行くというの。行く宛なんて。


「もしかして」


 頭の中で、少しずつ嫌な予想が組み立てられていく。

 私はいてもたってもいられず、それを確かめるためにルカの部屋の引き出しを片っ端から開けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ