表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛のない結婚をした継母に転生したようなので、天使のような息子を溺愛します  作者: 美杉。(美杉日和。)6/27節約令嬢発売中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/76

021 何もない子ども部屋

 ルカの部屋は、まるで昨日までのビオラの部屋のようだった。

 ほとんど何もない部屋。

 欲しがってはいけないって、そういう教育だっけ。


 にしてもだ。

 おおよそ、子どもらしくない部屋だ。


 簡素な木の机に、椅子。

 そこには本もなければ、人形やオモチャの一つもない。

 

 ビオラのというか、ああ、これは殺風景な昔の私の部屋みたいだ。

 うちの親は下の弟ばかりをかわいがって、私にはマトモな人形一つ買ってくれたことなかったっけ。


 大人になってからそんな親との関係は清算して、自分の思うままに生きる様にはなったから私は良かったけど。

 むしろ親がべったりの弟は弟で、この先もずっとあのままだってことに少しは同情したくらいだ。


「だ、誰が勝手に入っていいなどと」

「うるさい、黙りなさい!」


 この期に及んでも自分の身分を主張するマーガレットに、私はキレた。

 そしてベッドに横たわるルカに近づく。


 手に触れると、それだけで熱があることが分かる。

 顔を赤くして、唸るように苦しむルカは、眠っているのかこちらに気付くことはない。


 これで熱がないだなんて、よく言えたものね。

 重症じゃない。こんな状態で放置しておくなんて。


「誰かすぐに医者を手配しないさい」

「承知しました」


 私の言葉にアーユが反応し、走り出す。


「勝手にされては困ります」

「黙りなさい。あなた何を考えているの? 病気の子どもを放置しているのもそう。それにこの部屋は何? なんでこんなにも何もないの」


 かけている布団だってそう。

 どう見ても子ども用ではないし、部屋にあるものすべて粗悪品ばかりだ。


「それは……」

「執事長、ルカには公爵様よりこのように扱えと言われているの?」

「いえ。そんなことはございません。子どもですので、お金の管理はそこなる乳母がしておりますが、十分な資金が手配されております」

「では、それはどこに?」


 私の言葉に、マーガレットは視線をそらす。

 しかし少し考えたあと、彼女は饒舌に話し始めた。


「ルカ様は食べるものや買うことなどが好きで散財してしまって」

「そう? こんなにも何もないのに?」

「ええ、そうです。高いものを買ってしまわれたり」

「私にルカは乳母より欲しがることはいけないことと言われて、紙すら買ってもらえないと言っていたわ」


 私の返しに、執事長がマーガレットに詰め寄った。


「どの話が本当なのか、精査しなくてはなりませんな」

「わ、わたくしは嘘など言っておりません」

「執事長、そのうるさい人をこの部屋から追い出して。ルカの体に障ります」

「……承知いたしました」


 こんな扱いはありえないと叫ぶマーガレットは、執事長やそのあと呼ばれた兵によって部屋からつまみ出された。

 

 そしてこれ以上ルカに干渉させないために、彼女は公爵が帰宅するまでは、牢に入れてその身を拘束することを執事長に約束してもらった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ