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私のための異世界転生  作者: 桃栗パメロ
序章 少女は出会いを待っている
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005 魔法剣士

書きました。最後まで読んで感想や評価などくださると幸いです。

「魔法を学ぶと一言で表しましてもその方法は多岐に渡ります。今回の場合、貴方様は充分戦闘能力はありそうなのと、魔法を扱うための武具は持っていることからいきなりにはなりますが実戦練習から入るのはどうでしょうか。」


 と、いうことらしいのでリベルテ近郊の草原に来た。怪鳥の群れにちょっかいを出しては魔法を撃つ、やること自体はわかりやすいが、座学もなしに実戦とは、随分とハードなものだな。


 レイシャはいざという時のために遠くで弓を構えておくと言っていたな。原の木の上を見ると大きく手を振っているのがここからでも見える。


「まず基本から教えていきますと、魔法というのは大まかにわけて六属性からなる魔力を用いた、有り得ざる現象を有り得るものにする術のことですね。」

「何もない所に火や水を生み出すといったものや、家屋を飛び越える、大怪我の治療、物を見えなくすることや、瞬間的な長距離移動を行うことすらできます。」


 ふむ、聞くからに万能そうというか、なんでもやりたいように出来る程のもののように思えるな。だとしたらむしろあの子悪党に捕まっていたことの方が不思議なくらいだが……。


「ただ魔法も万能と言えるものではありません。例えば……実際に見てもらった方が分かりやすいでしょうか。」


 マリは今思い付いたかのように呟き、杖を構えて瞼を閉じる。

 その瞬間、大地に魔法陣が浮かび上がり、薄緑の光が辺りを優しく包む。マリの髪や帽子が下から風を受けているかのようにふわふわと揺れているのが神秘的で美しいな。

 数十秒くらいこのままだった後、魔法陣がゆっくりと広がる。五角形と六角形で構成された、サッカーボールのような模様の半透明な何かが俺の体を包み込んだ。


「…………はい、これで魔法の詠唱が終わりました。貴方様の体にバリアのようなものを貼ってみました。詠唱の短い簡単なものではありますが、この辺りの魔物に対してであれば充分効果的だと思います。」

「これが魔法の欠点一つ目、単純な話ではありますが発動に時間がかかり、小回りが効きにくいのです。また、声に出すか頭の中に浮かべるかは問いませんが、詠唱を一言一句違わずに唱える必要があります。」


 うげ。暗記とか小学生の頃からずっと苦手だったんだよな。漢文とか平均点を上回ったこと無かった気がするぞ。


「魔法……俺みたいな前に持って剣振るうタイプとは相性悪いんじゃないか?」


「はい、私もつい前までその見解でした。前衛職と魔法は両立不可能だとばかり……。ですが、その剣を見て改めました。こういった魔剣の類いであればその欠点を相殺できるはずです。」


 魔剣?……この剣のことか?剣を抜いて首を傾げていると、マリが一旦お貸しくださいと言わんばかりにおずおずと両手を差しでしてきたので預けてみる。

 マリが剣を地面に突き刺す。突き刺された地面の周りの土が少しずつ盛り上がるのが見られる。


「……この剣、小さく文字でも刻んでいるのでしょうね。火水風土を生み出す基本的な魔法がいつでも撃てるようになっています。ただ使うと念じるだけで出るくらいには緩い条件で出てしまうので使い方に気をつける必要はありますけれど……。」


 火水風土ってことは、火を出そうと思えばいつでも火が出るってことだよな。ちょっと持つの怖いぞ?


「あと貴方様にはあまり関係無いのですが……近くにいる人の魔力を吸い続ける、文字通り魔剣と言うに相応しい副作用があるためあまり不用意に人に近づけないようにしてください。」

「特にレイシャ様は魔力の貯蓄量がかなり低いため、充分にお気をつけください。」


「魔力の貯蓄量が低いと何かあるのか?」


「そうですね……。まず体内にある魔力が底をつくと魔力切れと呼ばれる状態になります。頭痛や眩暈、判断力の低下などが症状として挙げられ、最悪の場合死に至ることもありますね。これを身につけていて特に何の違和感も無いのなら、貴方様に支障はもたらされないかと思います。」


 そう言いながら魔剣と言われた、銀色の剣を返される。そんな代物だったとは……。使うだけでなく持ち歩くのにも細心の注意を払わなきゃな。


 ……こんなものバイルはどこで見つけたんだろうな?


「取り敢えず、あちらにいるイーグルに火の玉を撃ってみてください。刃先を彼方に向けるのがやり易いかと。」


 マリのアドバイスの通りに飛んでいるイーグルに向かって剣を向ける。大きな火の玉を射出するイメージで集中する。


 ──撃つ、そして燃やす。


 ただそれをイメージしただけで火球が一直線に飛んでいき、イーグルの一羽に命中。その一羽が大きく羽ばたく物だから群れに火が広がっていき、一羽また一羽。気づけば群れが全滅していた。


「……凄い!ちょっと寂しいですが、私が今すぐ教えるようなことは無いくらいですよ!」


「俺が凄いわけじゃない、この剣が凄いんだよ。そんなに褒めてくれるのは嬉しいけどな。」


 確かに危ない代物……いや、業物だけれど、結局のところ物は使いようだな。ゆっくり息を吐いて魔剣を鞘に収め、褒めちぎるマリを宥めつつ帰路に着くこととした。

読んでくださりありがとうございます。

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