015 王の御膳
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「王様からの召集とか信用できないだろうに、こんなところによく来てくれたね。それともガープスに無理やり連れてこられたかな?」
冗談を口にする少年に連れてこられたそこは淡い光が差し込む玉座、何処を見渡しても煌びやかだが、天使を模したステンドグラスが特に目を惹く。
「もったいぶるのも面倒だし本題に入っていいかな?君たちもご飯が待ち遠しいだろうしね。」
「え、うん。良いけど……?」
一国の王らしからぬ軽さで話しかけるものだから佳澄がたじろぐ。王様に会いに行くとか言われるものだから流石に緊張していたが、この調子ならいらん心配だったかな。
「まずはレイシャさんに頼んでいたタナビ山の調査の件だけど、君たちとレイシャ、それにもう一人の活躍の甲斐あって殆ど解決したと聞いている。」
「ありがとう。君たちのおかげで最悪の事態を避けることができた。報酬として今回の食事会に加えてガープスに100万ほどの金を持たせている。帰る前に受け取ってくれ。」
「ありがたいが…… そんなに貰う程のことはしてないぞ?頑張ったのはレイシャとマリに、助けに来てくれた佳澄だ。」
「では、残り二人を連れていつかまた来ると良い。君たちならいつでも歓迎さ。」
「王様、それは……。」
ガープスが王様、クロノ・マルフィーレに耳打ちをする。……マリのことか?
「それは良いけど本題って別のことでしょ。私たちを呼んだの、まさか礼と食事会だけじゃないでしょ?頼みたいことがあるなら聞くよ。」
「おお、すまないな。ではお言葉に甘えて一つ願い事を一つ頼まれてくれ。」
先程までのつかみどころの無い様子から一変、王様としての威厳を感じさせる顔を見せる。俺より若そうだが随分威厳が出ている。
「これはワシの方から話させろ。タナビ山の件についてだ。おまえ達の活躍で紫炎のバーニアを退けたが、あの件はまだ解決していない。」
「……ホークの話、レイシャがしていたな。随分といたって話だったよな。」
「それもだし、そもそもあそこに魔王軍の四天王がいたこと自体がおかしいよ。あそこにいたの、レイシャを狙い撃ちにしたかったわけじゃないでしょ。」
「なんだ、わかっていたか。お前らの言う通りタナビ山の件には謎がまだ残っている。」
「バイルから聞いていたが、あの山はドーム状になっていたそうだな?そしてドラゴンを呼ぶ方法を持っていた。王国近郊でそんな策を企てていた、その意味はわかるな。」
「つまりここを襲おうと狙い澄ましているってことじゃないか?」
「それは合っているが、回答としては後一歩足りないな。そこで改めて君たちに依頼を出そう。」
王様は玉座を立ち、こちらを見下ろして宣言する。
「君たちの腕を買って、光の大精霊の巫女であり、私の妹であり、姫である者。メフィ・マルフィーレの護衛を頼みたい。」
「責任重大だろうが、君たちにその力はある筈だ。」
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