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私のための異世界転生  作者: 桃栗パメロ
第一章 魔法使いは恋を知る
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011 本拠を構える

書きました。最後まで読んで感想や評価などくださると幸いです。

 朝の日差しが瞼に突き刺さる。無理やり起こされた、気怠い気持ちで体を起こす。窓を開いて新しい空気をいっぱいに吸う。天気は雲がいくつか浮いている程度、過ごしやすい日になりそうだな。

 寝巻きから冒険服に着替えて、昨日の内に準備しておいたリュックに着替えを詰める。部屋を見渡して忘れ物が無いか確認、この様子なら特に無いだろう。


 フロントに行くと既に二人が準備を終えて待っていた。遅起きに文句を言われながら女将さんに鍵と昨夜の分の宿泊代を手渡す。九日間寝泊まりした場所に別れを告げ外に繰り出す。


「…………寝泊まりする場所、どうしようね……。」


 宿屋を出てすぐ、佳澄が困り眉で呟いた。


 ♦︎


「この先ずっとどこかへ移動を続ける訳でもないし、野宿生活とかもっての外じゃん?いつまでも宿屋に泊まって……なんてしてたら路銀もすぐ底をつくだろうし、住む場所が必要だと思うの。」

「デザルマーバにいた頃はバイルの家借りてたんだけどさ、もうあそこには戻らないだろうしさ。」


 ……それ年頃の男女二人が同じ屋根の下で暮らしていたってことになるよな、どうなんだそりゃ。


「えっーと……当然のようにいらっしゃいますが、カスミ様もパーティに加わるということでよろしいのですか?」


「あ、その辺まだ君には話してなかったね!雷也についてくことにしました、雲崎佳澄って言います。適当に呼び捨てとかあだ名で呼んで良いからね!」

「君はマリって名前なんだっけ?雷也から昨日君の話も聞いてたんだよね。これからよろしくね!」


 佳澄がものすごい勢いで両手を繋いでぶんぶんと腕を振って握手している。マリは距離の近さに戸惑ってるみたいでワタワタしているが、多分すぐ慣れるだろ。


「そ、それでカスミ様も加わると言うのでしたら……寝泊まりするところと言いますか……一つ心当たりがあります。」


 ♦︎


「おいおい、こりゃ……。」


「でっか!?もはや豪邸じゃん!」


 マリに案内された先にあったのは日本でも滅多に見ることがないような、広い庭のついた巨大な邸宅。家族の話を聞いたことは無かったがこんなデカい家の生まれだとは思いもしなかったな。


「安心……すべきことかは分かりませんが今は無人の家、貴方様たち以外に住民はおりません。部屋もたくさんございますので、どうかお寛ぎください。」


 このデカさで俺たち三人……レイシャ含めても四人か。それでこの大きさというのは流石に持て余す気もする。

 ただ気になるところはそれくらいで、リベルテの中では厳格すぎず無法すぎない、周りの雰囲気が良い塩梅に治っていることや、なんだかんだ一人になれる空間があること。これらは住みたいと思う理由には充分すぎるくらいだろう。それに……。


「あの……貴方様、私の家で……不満などありませんか?」


 おずおずと聞いてくるマリを見て改めて思う。最初に会った時は根無草とだけ言って碌に家族のことも話さなかったあいつが、役に立てるかもなんて思って自分の家まで案内した。

 自分の知っている、必要なことならキッパリと胸を張って発言するいつもの様子とは違って、さっきの切り出し方は自信が無さげな印象があった。


「いや、むしろここに住むってのは名案なんじゃないか?俺はマリの案に乗らせてもらおう。」


 数日間ここに帰ってこなかったんだ、マリと家族の間に何かがあったに違いない。それでもここに案内してくれたんだ、ならこの提案は飲むしかないだろう。


「私もそれに賛成ー!こういう大きな所に住むの、夢だったんだよねー。」


 佳澄も気に入ったようで、マリの案を飲んでくれた。

マリは小さく頷き、小走りで玄関に駆けて行って、懐から取り出した鍵で、大袈裟な程大きなドアを開ける。


「あ、そうだ!後でお菓子買いに行って良い?自分で稼いだお金から出すからさ!」


「別に文句は無いが……どうしたんだ?」


 佳澄の突飛な発言に首を傾げる。デザルマーバからこっちまで長旅だったんだろう?連日の疲れを癒すべきだと思うんだがな……。


「マリと仲良くなりたいからね。寝る前に女子会とかやってみたいんだよね。」

「もちろん、男子禁制のね!」


読んでくださりありがとうございます。

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