水龍と神の間の子に産まれましたがなにか?
何となく書いてボツだなってなったやつです
~冒頭~
紀元前1600年~、中国で初めての王朝「殷」の時代には呪術で人々は戦っていた。
またそこには神が存在していた。
物語は紀元前1300年頃、「殷」王朝では最上位の神を「上帝」と呼び統治するものがいた。
その時の上帝は「炎帝」。漢気溢れ正義感のある彼は、信頼されていたが、怒りっぽくもあり恐れられてもいた。
~プロローグ~
風神♂「どの子もどの子も同じような顔ばかり。」
水龍♀「私の子たちはみな羽があるとは言え、魚ですからね。」
風神「水龍、他の神と交わったことはないのか?他の神との子だと姿が全く違う子が生まれるそうじゃ。」
水龍「それは知りませんでした。風神は別の神との子がいるのですか?」
風神「なに、遠い昔の事よ。不義の子でも作れば、今の炎帝の怒りをかうからの。」
そうは言われても、そのように言われると気になるのが長く生きる神というもの。
ついうっかり人間に近い『食神』と交わり出来てしまった不義の子。
ばれぬように大切に産んだものの、すぐに見つかり
炎帝「次はないっ!!その子供は不義の子。天界には置いておけぬ。下界に降ろす事で命だけは助けてやろう。名は“饕餮”とする。」
泣く泣く水龍は、可愛い子供を下界の農村付近の森へ置いてくることにした。
~山奥の小屋にて~
ヤト「あれ、可愛い子だのぅ。どれどれ…。」
大切に柔らかい布でくるまれた赤ん坊は、眠っている。80歳を超える老人はその子を抱き抱え、置手紙には、
手紙「どうかこの子を育ててくださいますように。タオティエ、愚かな母をどうか赦してください。」
ヤト「どうしたもんかのぅ…ホッホ。」
~10年後~
タオ「爺ちゃん、なんで僕には両親がいないんだ?」
ヤト「ホッ、両親が気になるかの?」
タオ「いいや、何となく言ってみただけ。僕、森で山菜取ってくるよ!」
ヤト「お前はたくさん食べるからの。しっかり採ってくるがよいよ。タオティエ、何度も言うがあの力は…。」
タオ「分かってるって!絶対に使わないっ!」
ヤト「タオティエ。そろそろ村の子と遊んだり、友達になったらどうじゃ?」
「んー…面倒くさい!」と生返事をした後、元気よく飛び出し森へと進む。山道へ入る前の川を渡る橋の前で、いつもの”いじめっ子”4人組に出会う。
ホス♂(ガキ大将)「おい!来たぞ!お前らやっちまえ!」
ヤロア♂「や~ぃ!親なしっ子!お前、山奥の爺と2人で暮らしてんだろっ!」
ススナ♀「こいつ、山に捨てられてたってオイラ母ちゃんから聞いた!」
ヴート♂「やめなよぉ…。可哀そうだよぉ…。」
散々、意地悪を言われた後、山道前の吊橋をグラグラと3人で揺らす。ヴートは怖がりながら橋の向こうでおろおろとしている。
タオ「やめろよ。今から山菜を取りに行くんだ。道具が落ちちゃうだろ。」
ヤロア「知ったことかよ!そらそらっ!」
グラグラと吊橋を揺らされていると、タオの大事なお守りが胸からするりと川へ落ちていく。
タオ「あぁっ!」
(ポチャン…。)
吊橋の上でへたり込むタオ。
タオ「唯一のお母さんの手がかりなのに…。」
ホス「な、なんだよっ!俺らは悪くないぞっ!そんなところに入れとくから落ちちゃうんだっ!」
ススナ「そ、そうだぞっ!も、もぅ行こうよぉ…!」
逃げようとする4人に突然、下から石が飛んでくる。
ヤロア「痛っ!なんだぁ?!」
タオが下を見ると川の下から一人の美少年が川底の小石をいじめっ子達に投げ始めた。
美少年「おらおらぁ!いじめっ子共!いい加減にどっかにいけよっ!」
「わぁぁっ!」と4人は散っていく。
美少年「オレ、リョナ。お前ってあのヤト爺のとこの子だろ?よろしくなっ!」
タオ「助けてくれてありがとう。僕はタオティエ。でも…。」
大切なお守りが川に落ちたことへのショックを受けているタオに
リョナ「んっ!これだろ?」
リョナは右手をぐぃっと差し出す。タオはそれを受け取る。
タオ「これ…。お守りの…。」
リョナ「中身だけだけどなっ!ごめんな、袋はもう少し先に流れていったみたいで。」
タオ「ありがとう!袋は自分で見つけるよ。」
リョナ「遠慮するなよ。一緒に探すからさ。山菜も取るんだろ?」
タオ「なんで知り合ったばかりの僕にそんなに親切にしてくれるの。」
リョナ「知り合ったばかりって言うか…。まぁいいだろ!一緒に探すからっ!」
~山菜を取る山道へ入っていく2人~
リョナ「袋…。見つからなかったな。また探すの手伝うからさ…。」
タオ「いいんだ。気にしないで。(…どうせ僕は捨てられたんだから…。)」
リョナ「が…がっかりするなよっ!いつかきっと見つかるってっ!それよりさぁっ!…こんな山奥まできて大丈夫なのか?!」
ずんずん進むタオにリョナは怖気づいてしまう。
タオ「大丈夫。僕はこう見えても結構強いんだよ。」
一見すると女の子にも見えるタオのどこに力があるのかと思う。
タオ「あった!ここにね、僕が育てている山菜があるんだ。」
リョナ「へ?山菜を育てる?」
タオ「うん…。湧き水にこの茸の菌を付けた薪を浸して、何日か放置すると生えてくるんだ。」
リョナ「あれ、このキノコ…。」
山熊の魔物「グルルルルゥ…。」
魔物の声に気づきリョナが振り向く、「危ないっ!」とタオを突き飛ばし、リョナはその辺に落ちていた木の枝を拾い、山熊に立ち向かう。
リョナ「やぁぁぁ…っ!!」
木の枝事、山熊の右手で薙ぎ払われ、リョナの身体が宙に舞う。
リョナ「うっ!」
地面に叩きつけられると同時に、リョナのうめき声が聞こえた。
タオ「リョナッ!」
駆け寄るタオの前に狂ったように雄たけびを上げる山熊が立ちふさがる。ビュンッ!横から投げつけられた石が山熊に命中する。
山熊「グオォォオオッ!」
見るといつものいじめっ子4人組が木の上から山熊に石を投げていた。
ホス「いけいけっ!木の上からは降りるなよっ!」
ヤロア「くらぇ!投げろ投げろっ!」
ススナ「お前!早く木の上に逃げろよ…ッ!」
タオ「どうして…。」
ホス「いいから説明は後だっ!木の上に逃げろ!ヤロアッ行くぞっ」
ヤロア「おぉ!任せろッ」
ホスは木から飛び降りると、倒れているリョナの元へ駆け寄る。ヤロアとススナで山熊に石を投げつけている間にリョナを担ぎ、木の根元まで運ぶ。
タオ「僕も手伝うよ。」
ホス「バカッ!いいから、お前は木の上に登れよっ!危ないだろっ!ヴート!」
ヴート「わ、わかってるよ、兄ちゃん。このロープに括り付けて…。」
もたもたしている内に、投げている石は尽き、怒り狂った山熊は突進して来た。
ホス「やばいっ!おい、タオティエ。これ、お前のだろっ!」
タオ「どうして、この袋。…それに僕の名前。」
ホス「いいからそれをもって逃げろよっ!」
ホスは太い折れた木の枝を両手で抱え、山熊に立ち向かおうとする。
ホス「わぁぁぁ…ッ!!!」
山熊が右手を挙げてホスを目掛けて振り下ろす。
いじめっ子の4人はギュッと目を閉じ、しばらくして「?」と、そろりと目を開ける。
見るとホスの眼前にいる山熊は苦しそうにもがいていた。グルルルルゥ…。タオは片手で熊を止めて持ち上げている。
タオ「ごめんね。お前は人を襲うことを覚えてしまったから…。」
タオがそう言うと「シュッ」と風を切る音がする。同時に山熊の首はごとりと落ちた。
ヤロア「あ…あ。」
タオ「ごめん、怖いよね。僕ホントは…人じゃないんだ。」
ごくりと、唾を飲む音が聞こえる。タオは、ギュッと目を閉じた、タオは人の子でない事を自覚していた。
何度か仲良くなろうとするものの、村人には怖がられる。その度、村人の記憶を消してきた。いつしか人と関わること自体を諦めていた。
ホス&ヤロア&ススナ「す…すっげぇ…!!」
ヴート「わ!わっ!!すごいっ」
タオ「へっ??」
ホス「お前、すっげぇな!」
ススナ「すっげぇなぁ!」
4人は怖がるどころか、大喜びで笑っていた。
タオ「僕が怖くないの?」
ヤロア「怖くないっ!だって助けてくれたじゃないか!」
実は…とホスが続ける。
ホス「お前、いつも村に降りて来た時に、遊びたそうな顔でこっち見る癖に、全然話しかけてこないから…。」
ヴート「兄ちゃん、だから普通に遊びに行こうって誘おうって言ったのに…。」
ホス「う、うるさいなっ!恥ずかしいだろっ!そう言うのは!」
ススナ「そうだぞっ!はずかしいんだ!」
ヴート以外の3人は顔を真っ赤にしながら言った。
ヴート「そう言えば、この美少年さんは無事なんでしょうか…。」
タオ「あぁ、大丈夫だよ。僕が後で運んでおくよ。それより…。」
タオは山熊の死骸を、村人たちで回収して欲しいので、先に降りてもらうようにお願いした。
ヤロア「またな!村に遊びに来いよ、タオ!」
そう言って4人と別れる。
サク…サク…。リョナを負ぶさり山道を降りるタオティエ。
タオ「ねぇ、そろそろ起きてるでしょ?」
リョナ「バレてたか…。お前すごいな~。」
リョナは足をプラプラさせながら、はしゃいだ。
タオ「だって、途中から起きてたじゃない。」
リョナ「うん。怖くて立ち上がれなかったんだ。」
タオティエにぐるりと回されたリョナの腕は小刻みに震えていた。
タオティエの背中の温もりで少しほっとしたリョナはギュッとタオティエにしがみつく。
タオ「ね、ねぇ。リョナは男の子なんだよね?」
真っ赤になりながら言うタオティエ。「?」不思議そうにするリョナに、
タオ「だってリョナはなんかいい匂いがするし、後、後…。胸のあたりに柔らかい感触がするから…。」
リョナ「…??!!」
……ばっっちーーん!小鳥のバサバサと飛び立つ音と共に痛そうな音が山道に響き渡る。
山奥の小屋まで戻る2人。
ヤト「おかえり、おや?どうしたかの?ホッホ!」
タオティエの真っ赤な紅葉柄の頬っぺたを見ながらヤト爺は言う。
タオ「ただいま…爺ちゃん。」
ヤト「友達が出来たようでなによりじゃよ。ホッ!」
リョナ「こんにちは。タオ爺ちゃん。私の他に村の子4人もお友達になったのよ。」
さっきまでとは打って変って、女の子の様な口調のリョナに驚き、タオティエは横を振り向く。
見ると一つに結い上げられていた髪は、髪ひもを取り下げられ、どこから見ても可愛い女の子が立っていた。
タオ「うそだ…だってさっきまで…。」
ヤト「タオティエ、この子はほら、いつも行く村の商家の娘さんじゃよ。」
タオ「えっ?!」
タオティエは思い出す、村の消化でいつも若旦那の後ろに隠れて恥ずかしそうにしていた可愛い女の子を。
タオ「詐欺だ…。これじゃぁ、リョナの方がよっぽど恐ろしい…。」
リョナ「何か言った?」
リョナのニコニコ笑顔の圧を感じながら、タオはホッとする。
タオ(なんだ…もっと怖いものがたくさんあるじゃないか。)
この日から、村の子と一緒に遊ぶタオティエの姿をよく見かけるようになりました。とさ。