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アルビレオ  作者: 遠藤 敦子
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 プライベートでは郁奈と会った際に、21日にある卒業式に来てほしいと言われた。しかし21日は平日で、僕は仕事がある。行きたいのはやまやまだけれど、断らざるを得ない。

「ごめん、卒業式行きたかったけど21日は仕事だから無理だわ……」

僕がそう言うと、郁奈は不機嫌になり

「龍真が来ないなら卒業式に出ない!」

と言い出した。もちろん本心ではないのはわかっている。

「俺が来れないから卒業式に出ないなんて、そんなこと言うなよ……。いまのでショック受けたわ」

僕の言葉に対し、郁奈は

「私もショックだわ!」

とのことだ。龍真が来れないなんてショックだ、というのが彼女の本音だろう。平日で仕事だから無理だと頭ではわかっていたとしても。そこで僕は郁奈にある提案をした。

「じゃあ、今度の土曜日に2人でお祝いしない? 花束も用意するし」

僕の提案に郁奈は目を輝かせて了承する。これで仲直りできたので一安心だ。

 月曜日、佐々部チーフがタバコ休憩で席を外している隙に僕は弘中さんと立川さんに事の顛末を報告した。

「彼女としょうもない喧嘩したんすよ」

2人は僕と郁奈の間に何があったか、興味津々だ。

 郁奈に卒業式に来てほしいと言われて、平日は仕事だから無理と言ったら僕が来れないなら卒業式に出ないと不機嫌になったこと。ショックを受けたと僕が言うと、郁奈に私もショックだと言われたこと……ーー。僕はまず、喧嘩になった経緯を話した。立川さんは

「きっとスーツ姿の彼氏から卒業式に花束をもらうのがステータスだって思ってるのかもしれないけど、そんな理由で卒業式に出ないって言うなんて若いな〜」

と言う。30歳に近く、社会人経験も豊富な立川さんからすれば、郁奈の発言は幼く聞こえたのだろう。

 一方で弘中さんはこう言っており、郁奈に寄り添う姿勢だった。

「きっと構谷さんに袴姿を見せたかったのかもしれませんね。周りの友達は彼氏から花束をもらってるのに、私は……っていう気持ちもあったんでしょうけど」

最終的には2人でお祝いしようという話になり、郁奈の了承を得て仲直りできたと報告した。すると立川さんは

「まあ2人でのお祝いってことでOKしてもらえたんなら、それで良いじゃん」

とのことだ。



 式当日に女性の友達と撮った写真を郁奈に送ってもらう。袴姿の郁奈はいつにも増して綺麗だった。昼休み中に先輩社員の波多野(はたの)さんと同い年の派遣社員の駿(しゅん)にLINEを見せながら話すと、「龍真はそんな可愛い子と付き合えて幸せ者だな」と言ってくれたのだ。

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