これから
気軽に楽しんでいただければ幸いです。
「ここってさ洞窟だよね?」
「うん多分」
私と天使は当てもないままとにかく歩き続けていた。
当てがないと言っても精霊の第六感というやつだろうか。
何かがありそうな方向に向かって進んでいた。
「てかさ精霊ちゃん名前なんていうの?」
「え?精霊だけど?」
「それ名前じゃないでしょ!」
「いや、だって生まれたばっかだし。」
「なら私が名前つけてあげるよ!」
名前か。確かに名前がないと不便な時もあるかもしれない。
「ならお願いするよ。」
「ほんと!じゃーね〜…どーしよっかなー」
変な名前だったら即却下にしてやろう。
「リエル!リエルとかいいんじゃない!」
意外としっかり考えてくれたまともな名前だったのでありがたくこれからはリエルと名乗ろう。
「いいじゃんリエル!ならこれから私はリエルね。でもなんでリエルなの?」
「えっとねー。私の死んだお婆ちゃんがガブリエルって名前だったの。だからその下の3文字を取ってリエル!」
「なるほどね。じゃぁ君のお婆ちゃんからいただいたこの名前大切にしていくよ。」
「そーしてくれると嬉しいな!」
彼女はそう言って大きく微笑んだ。
天使の名はだてじゃないな。かわいい。
「てか君の名前は?」
「本当だ!確かに名乗ってなかったね。私はミイだよ!」
「なら改めてミイこれからよろしくね。」
「うん!よろしく!」
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あれから何日か歩き続けると出口が見えた。
その出口は外に繋がっていてその光景は木が生い茂っていて私たちに反応した鳥や兎たちが逃げるように茂みに入って行った。
「やっと明るい外の景色が見れたよ!」
「私は生まれて初めて外に出たから少し感動してる。」
そう言えば外に出られたんだしミイとはもうお別れなのだろうか。少しのの付き合いだったが名残惜しいと思ってしまう。
「ミイ」
「どーしたの?」
「ミイはこの後どーするの?やっぱりフェンスに帰るの?」
「何言ってるの?一緒にいていいって言ったら良いよって言ったじゃん。」
「え?あれってそーゆー意味だったの?」
私が思っていた意味合いと全く違う意味合いでミイは言っていたようだ。
「そーだよ!そもそも私自分の国のことなぜかあんまり覚えてないんだよね。」
やっぱり何か理由があってあんな場所にいたんだろう。
「ならまだ一緒にいられるってことだよね!」
「まだじゃなくてずっとの間違いね!」
「ずっと?」
「そう!リエルは精霊の国ファウストに行くつもりでしょ!なら私もそこに連れて行ってもらって精霊の仲間入りを目指す!」
「いやいや、ミイは天使だろ!」
「大丈夫!なんとかなるよ!」
こんなマイペースで大丈夫なのか?
「ならとりあえずファウストに向かうけど、本当にいいの?」
「うん!でも場所わかるの?」
「いや、なんとなく精霊の第六感みたいなので感じるんだよね。」
「なるほどね〜」
確かに便利だが、天使にも何か特殊な力があるのではないだろうか。
「後どれくらいかかるの?」
「わかんないけどそこまで遠くないと思う。多分一週間ぐらいじゃないかな。」
「ならまだしばらく二人きりだね!」
「確かにそうだけど意味深なこと言わないでよ。」
「ふふっ、捉え方はリエルにお任せするよ。」
やっぱ天使は名前負けしていない。かわいい。
美味しい牛乳