天使
この世界には六つの種族がある。
その種族同士で戦争をし神に挑んで勝利することで勝利した種族が神となることができる。
精霊・魔族・人族・エルフ・巨人・天使
この中で魔族と人族だけ『族』という文字を使う。
人族と魔族にはそれぞれ種族内でも種類が分かれるからだ。
魔族であれば、人のような姿をした者もいれば獣のような姿の者など外見に加えて能力もそれに見合った能力になる。
人族は魔法が使える者と使えない者。使える者は優位な立ち位置に、使えない者は貧困な生活を過ごしている。
そして種族ごとにも明確な力関係。そして能力の違いがある。
精霊は物理的な力は弱いが魔法が得意であり、個々にそれぞれ違う能力を生まれた時に授かる。何かの拍子で生まれる場合と普通の性行為でをもって生まれる場合がある。何かの拍子で生まれる時は成体で生まれる。基本単独で行動する。
魔族は物理的な力も魔法も使え、特有の魔法を使う。繁殖能力が高く基本的に群れている。
人族は知識が豊富であり魔法も使える。特殊な武具を作りこの世界で現在、二番目に強い種族だ。
エルフは魔法が得意だがその存在が希少であり、滅多に見ることができない。寿命が長いため繁殖をあまり必要としていない種族であるため数が少ないのだ。
巨人はその名の通り体が8メートル〜20メートルにもなる巨体の持ち主だ。魔法は身体強化の魔法しか使うことができない。
天使は神具と呼ばれる武具を身にまとい魔法と物理攻撃の両方を兼ね備えたオールランダーだ。この世界で一番強い種族であり、遙か上空にフェンスという国を築いているとされている。
私はこの中で精霊として生まれた。
生まれた瞬間から精霊は成体であるため意識がはっきりしていた。
目の前の光景を見ればそこは暗く微かに光る何か。
自分の体の動かし方もままならない状態で私はその光に向かってゆっくりと背中の羽を使い飛んだ。
光っていたのは天使。
その天使は眠っているようにも見えれば倒れているようにも見える。
彼女の神具から漏れる神々しいオーラが遠くから見た時の光だったようだ。
「ねぇ、大丈夫?」
私は彼女の顔を覗き込むようにして問いかけた。
それに少し遅れてビクッと声に反応したかの様に彼女の体が震えた。
恐る恐る体に触れ摩ってみる。
「ゔっ…」
唸るような声をあげて目を少しずつ開けながら彼女はこちらを見つめた。
長い水色の髪にオレンジの瞳の綺麗な容姿だ。
「ここは…」
彼女らまだ開ききっていない目を擦りながら小さな声で呟いた。
そして私の存在を認識すると驚いたような様子で聞いてきた。
「あなたは…?」
怯えるような震え声でこちらを見ながら恐る恐る彼女は聞いた。
「私は精霊。ここで生まれたばかりなの。」
これと言って経験もなく、本当に生まれたばかりの状態のためそう言う他なかった。
「精霊?なんでここに?」
「私はこの場所で生まれたの。ついさっきね。」
彼女は不思議そうな様子だった。
「私はフェンスにいたはずなのに…どうしてこんなところに?」
「それは私にはわからない。生まれてすぐにここが光っていたから来てみたらあなたがいたの。」
彼女はなぜ自分がそこにいるのかがわからない様子だ。
「ねぇしばらく私と一緒にいよ?」
「え?」
突然の彼女の申し出に驚きの声を漏らした。
いきなり出会った天使と一緒に行動するなんて身の危険しか感じない。
「なんで?」
「私ね…その…あんまり強くなくて…一人怖いし…寂しい…」
天使から漏れる言葉とは思えないほど弱々しく覇気のない様子だった。
「別にいいけど、、私もこの世界とか全く知らないからあんまり期待しない方がいいよ。」
「本当に!?ありがと!」
満面の笑みを浮かべ、こちらに向かってエンジェルスマイルをかましてきた。
うん、危険性は0だね。
美味しい牛乳