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第52回チキちき1番強いの誰選手権

 「レディースエンドジェントルメン、さぁ今年も武闘大会の開幕だぁ!」


 実況の声が響き、それに呼応するように観客の興奮が爆発し、選手控え室が揺れる。


 選手控え室はその熱とは反対に、冷たい空気に満ちている。


 町のゴロツキのような奴はおらず、静かに集中を研いでいる。


 その中でガールズトークというか、、、話を続ける俺達は浮いている訳ではあるのだが、いかんせんこんな大会に出たことがない。戦う前のルーティーンがあるわけでもなく、戦う相手の情報すら知らない。


 そんな訳だから、体育祭の短距離走の前の空気なのだ、謎の緊張があるから別に仲良くない自分の一個前を走るクラスメイトに話しかけるあの感じ。


 「リグレス、お前緊張してる?」


 「いや、してないですよ」


 「セシルはどう?」


 「ぼくはそうでもないよ」


 「ウッソだー、お前ら朝ごはん残してたじゃん」


 「いや、重かった重かったよあれ。朝からロッシーニ風とかいう馬鹿料理出てきてんだから」

 

 そう、俺が合格書をもらい待ち合わせ場所で待っていると、同じく合格書を勝ち取った2人がきたのでその日の宿を決めることになったのだが、合格書を見ると武闘大会出場者は指定された宿があると書いてある。


 その宿まで向かうと俺達はそのスケールにびびらされた。


 王都で1番でかいのは流石に城なのだが、それもかくやと言った大きさである。もしかしたら、武闘大会はとんでもないスケールの大会なんじゃないか、と気付き始めたのはここからである。


 ビクビクしながら受付に合格書を見せると、受付嬢はハンドベルを鳴らした。

 

 すると黒服の男達が、俺達の荷物受け取り部屋まで案内された。セシルなど、見たことのない種族だろうに俺達と対応に差は全くない、これがomotenashi!


 「ちょっと聞きたいんですけど、、、」


 「どうなさりましたか?」


 「これってお金って、、、」


 「問題はありません。武闘大会出場者はこのホテルに無償で泊まることができますので」


 「はぁ、なんかすごいですね」


 「そうですね、5年に1度の大会です。各国の中で予選を行い、通過したものが出場できる大会ですからね。武を尊ぶブスキ国なんかは国民の8割が参加した予選ですからね。この大会の経済効果はこの国の国家予算ほどのです」


 「へっ、へえーすごいですね」


 正直に言おう、俺は少しマグナのことを舐めていた。もちろん、育ての親としては尊敬している。世界各国の強者を集めた大会なるもので優勝したから勇者パーティーに入った、とかいう話は本当なのであろうが、なんというか、こんなにデカい大会とは思ってなかった。東京マラソンくらいの規模の大会だと思っていたら、サッカーのワールドカップだったみたいな。


 後々聞いた話ではあるが、俺達が通過した出場テストなるもので試験官を担当していたのは、俺達の国の予選通過者だったらしい。


 この国は開催国特典で参加者が他の国よりも多かったのだが、そのことを忘れていたために飛び入り参加がokになり、試験官といい勝負ができたら参加枠を与えるという訳だ。


 ちなみにセシルはダークエルフの国代表として出場することになったので、この国の代表ではない。


 俺達は用意された部屋にバラバラに通されることになった。睡眠中に他の選手からの妨害行為があるため、部屋の移動は禁止されている。黒服達がガッチリ俺の部屋の前を守ってくれるわけだ。


 俺達は、間違いなく緊張している。東京マラソンの市民枠で出場していると思ったら、君達は招待選手だからと言われて列の前の方に行かされている。


 もちろん出るからには優勝したいのだが、、、どうも思ってたんと違う。


 そうして開会式が始まり、お金のかかってそうな演目が始まり、控え室にいた俺に国旗がわたされ、俺とリグレスと試験官をやっていたジジイと、リグレスの担当だった試験官で入場することになった。


 ジジイはどうも俺にビビっていて、俺はホームのスタジアムの熱気にビビっている。


 セシルは何も持っていなかったが、愛想よく観客席に手を振っていた。


 国王のスピーチが終わると、俺たちはすごすごと控え室に戻らされる。


 『さぁ、徒手格闘部門の一回戦を開始する!』


 この大会はトーナメント形式で行われる。万全の状態で試合をするため、1日に選手は1度しか戦うことはない。裏には凄腕の回復術師が待機しており、アフターケアもバッチリ。


 俺は開幕戦を戦うことになっているので、1度戻った控え室からすぐに出て、スタジアムの中央にあるステージに向かう。


 このステージは100メートル四方であり、それを結界術で守っており壊すのは難しいらしい?


 場外負けというのはなく、ギブアップもしくはレフェリーの判断により止められる。

 

 『1回戦最初のカードはこれだぁ!』


 するとスタジアムにある電光掲示板のようなものに、俺の顔が映し出される。


 『最強の武闘家、マグナの娘、マリー!』


 観客がざわつき、しばらくしてそれが歓声に変わる。


 マグナの名前は今でも、武闘大会ファンの間では愛されているのだと、今さらになって実感した。


 『対するは最も過酷と言われるブスキ国の予選を勝ち上がった、男!ラフィア・クロスガーデン!』


 こちらもまた歓声が起こる。


 ラフィアは30代程の容貌をしており丸刈りがよく似合う?強面である。日本だったら職質100パーセントといった感じ。

 

 特筆すべきはその身体の大きさ、売店に売っていた出場選手データブック(税込650ドン)によると、身長4メートル、体重3トンという見たことのないサイズである。


 なんでもラフィアの部族では身体を大きくするために、超高酸素の部屋で過ごすことになっており、その結果が目の前にいる。


 俺とラフィアはお互いに見つめ合いながら、試合開始の合図を待つ。


 徒手格闘部門で使える魔法は身体能力向上のみである、また、魔法以外でも身体能力の強化を行うのみの効果であれば行使は構わない。だが、武器、魔道具の使用は禁じられている。


 

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