旅立ちと出会い
「また15分きれなかったかぁ」
俺は息を切らし、膝に手をつく。キックボクサーのプロライセンスを取るために、日課のロードワークに励んでいるのだが、どれだけ慣れたとはいえ疲れないわけがない。
だから気がつかなかった。車が歩道に突っ込んでくることに。
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俺がこの世界に生まれて2日目、衝撃の事件が2つ起こった。
その1 両親に捨てられたこと
その2 息子が旅に出てしまったこと
言葉は何もわからなかったが、両親は泣きながら、森を切り開いたような街道の脇道に俺を置いていたから、不本意ではあるのだろう。でも、それはそれ程ショックではない。前世でも施設で育った身だったし、、、
ただ、息子は、息子だけは話が違うじゃないですか神様!俺が辛い時も慰めてくれた?慰めた。相棒がいないと、ヤってけないです。やってけないです。
まぁ、失ったことはしょうがない。今は生きることが大切だ。とはいうものの、歩くこともできない今の体では、助けてくれることを待つしかない。
誰か来たらでかい声で泣いてやろうとしていたら、男達の喋り声が聞こえてきた。
「俺はもう冒険者は引退だ。格闘家は引退が早いなんてわかっていたが、ここまで早くガタがくるなんてな」
動かしづらい首を動かしてそちらを向くと、筋骨隆々の男たちが涙を流しながら歩いてくる。
「マグナ、すまない。お前に負担をかけたせいでこんなことになってしまって」
「いや、いいんだよハッシュベルト、格闘家はそういう仕事だから」
おそらく、マグナという格闘家がパーティーを辞めるのだろう。でもなぁ、どうせなら可愛い子に拾ってもらいたいからなぁ、泣かないでおこうかなぁ。
などと考えてボーっとしていると、目の前に彫りの深い顔が現れた。
「マグナ、どうした?」
「いや、ちっちぇえガキがいたからな、少し。」
「その子、育てるのかい?」
「もう金は十分貯まったし、ガキ1人くらいなら育てられるか。よしっ決めたぞ、俺はこいつを立派に育てる」
マグナは俺を抱き抱えて、ハッシュベルトと呼ばれていた男に手を振った。
「でもなぁ、俺にガキ何て育てられるのかなぁ?とりあえず、村に帰ってババアの話を聞くか」
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手に水を掬い、顔を洗う。水面に映る自分の顔を見て笑いが止まらない。
長いまつ毛にパッチリと快活さを感じさせる目、綺麗な鼻筋、自分でも触りたくなるような唇、綺麗というよりも可愛い顔がそこにある。短めの銀髪は美しいという言葉が似合う。160センチ程の体も引き締まりながらも女性らしさが確かにあり、恋なんかしたことのない前世の俺でも、一度見たら恋に落ちてしまうだろう。
「おい、マリー!早くこい」
拾われてから18年、もう50歳になるマグナの怒鳴り声が聞こえる。
この世界と前世の地球の違いは、科学というものが非常に遅れている点と、魔物と呼ばれる存在がいる点と人間もそれに対抗するために力を持っている点だ。
マグナが井戸まできて俺の服の裾を掴み、もの心つく頃から使っている修練場まで引っ張る。
「おいマリー、俺を超えたからといって慢心しているな!」
マグナが拳を振るってきたので、最低限の動きでこれをかわす。
「うるせぇ、もう俺も18だぞ!旅に出てもいいだろ!」
「いや、お前はまだまだだ、俺の全盛期の力を超えたぐらいでは旅には出せん」
「そんなこと言ってたら俺永遠にこの村から出れねーよ」
マグナは元々勇者パーティーに所属していた武闘家だった。勇者パーティーに所属するためには、条件がある。それは国主催の大会で優勝する事であり、この大会は世界各国から有力な武闘家が集まり最強を決めるのだ。
そこでマグナは、全ての戦いを一撃で制し歴代最強の武闘家として名を馳せた。
だが、魔物の大量発生が起こった際に危機に陥った勇者パーティーを逃す為、自分の右手と引き換えに最大火力を出す技を放ち、武闘家としての人生を、終わらせた。
マグナの後ろにまわり、足をかけて転ばせる。2メートルほどの巨体がうつ伏せに倒れている上に俺は座った。
そんな様子を見ていた、サーラ老婆さんがため息をつく。サーラ老婆さんは、小さい頃の俺の面倒をマグナと一緒に見てくれた存在であり、村長でもある。
「マグナ、お前さんがマリーを心配しているのはわかる。だがな、マリーももう成人だ。自由にさせてやるのも親の役割ってやつじゃないのかい?」
「ウルセェ、ババア、マリーはまだまだだこの村からでたらすぐに死んじまう」
「はぁ、過保護もここまでくると、手に負えないねぇ。あんたと一緒に飲む度にマリーのことを延々と話して、最後にはどこにも行かないでくれと泣くことをマリーにバラすぞ」
「ババア、全部言ってんじゃねえか」
俺は下に敷いているマグナを少し寂しい目で見ているとマグナも寂しそうな顔で俺を見てくる。
マグナは俺の体を持ち上げて立ち、懐から手甲を出して俺に渡してくる。
その日の夜、俺の旅立ちを祝うパーティーを村総出で開いた。
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朝起きるとみんなはまだ寝ていた。酒の匂いが充満する中で、俺は昨日のうちに準備しておいた荷物を持ち、小さな声で別れを告げる。
少し肌寒い朝の空気の中を少し重い足取りで村の出口に向かう。
マグナが村の出口に立っていた。
「元気でやれよ、マリー」
「じゃあな、親父」
俺は前世では言うことのなかった言葉を口にこの村を出たのであった。
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近くの村にはゆっくり向かうことにする。もらった地図によれば、マグナに鍛えられた足腰で走れば直ぐに着く距離ではあるが、野宿をしてみたかったのでゆっくりと歩くことにした。
魔物に遭遇しつつも一撃で沈めながら進んで2日、最初の目的地に着いた。
手頃な食材を買ったり、泊まった宿で久しぶりにお湯で体をふく。
未だにこの体に慣れないな、あぁー駄目だ。これ眠れないやつだ。
火照った体を手を使って収めてから、またお湯で体をふくことになってしまった。
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朝起きると、どうやら村が騒ついている。朝ご飯のすすめを断り外に出ると、村の入り口に真っ赤な鎧に身を包んだ人が立っている。
何が言ってる?
近くに行ってみると、なにやら籠った声で
「この村の最強を出せ」
と言っている。
「俺が1番強いが何かあるのか?」
鎧を囲むようにしている群衆のなかから大きな男が出てきた。
鎧の人はその方向を向くと、勇ましい声で宣言した。
「私は誇り高き、ラング族の戦士長、リグレス!貴様に一騎討ちを申し込む」
リグレスの名を聞いた瞬間に、村の人間が悲鳴をあげる。
「ラ、ラング族?かっ、勝てるわけないだろ」
さっき、村最強を名乗った男は逃げ出してしまい。
村の人間達もリグレスから逃げてしまい残ったのは俺だけになった。
「リグレス、お前は何でこんなことしてるんだ?」
「ラング族は強さを求める種族、常に強きものとの戦いを求めている」
「じゃあ、俺とやるか」
自分の実力も試してみたいし、一騎討ちって楽しそう。マグナ以外と戦うのは初めてだ。
「わかった、では始めるとしよう」
その瞬間、リグレスは俺に急接近し自分の身長程もある大剣を振りにくる。
俺は間合いを詰めてそのまま魔法で強化した腕で兜に掌底を食らわすと、リグレスはもう立たなくなった。
俺は、立たなくなったリグレスを宿に連れて行き看病することになった。
治療のために鎧を脱がすと、綺麗な女性が現れた。長い金髪は光り輝き、キリッとした顔がは人形を思い出させる。俺より少し大きい身長に、俺より数段大きな胸、抜群のプロポーションを誇っていた。
こんな綺麗な人だったのかよ。声が鎧にこもってわからなかった。
「ヒーリング」
魔法を使うと、リグレスは少し苦しそうな声を出した後に目を開いた。
「ここは?」
「俺が泊まってる宿だよ」
「では、私は負けてしまっということですね」
「まぁ、一応」
「貴方は私と結婚しなければなりません」
「リグレスさん?話が全く読めないんだけど、どういうこと?」
「ラング族は強さを求める部族、戦いに負けた相手に付き従い、子を産まなければならないのです」
「いや、俺、女だし子供は無理なんじゃ?」
「だとしても部族の掟に従わなければいけませんので」
そんな訳で、宿にもう一部屋を借りに受付に行こうとすると。
「結婚初夜なのですから」
リグレスが頬を染めながら俺を呼べ止めた。
マジか、前世を含めて36年ついにこの時が、もう今は無き息子よお前はそばにいないが俺は新たな次元に旅立つぞ!
リグレスはニヤリと不気味な笑顔を表したかと思えば、俺をベッドに押し倒してきた。
朝起きると、声が枯れていた。俺の記憶には、リグレスに言葉づかいを「私」に矯正され、女の子として弄ばれ、何度もやめてくれと伝えても強い快楽を与えられ、喘がされた。マグナに鍛えられた足腰が立たなくなり、もう何も考えられなくなり、優しくしてと猫撫で声でお願いをしたところ、リグレスのギアが逆に入り、そこから記憶はない。
はじめまして、弥子です。
反応が良ければ、また続き書こうと思います。




