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私、時永めぐる(0)は9度目の人生を歩んでいる


  私、時永めぐる(0)は9度目の人生を歩んでいる。


 えーと。うん。またしても死んだ。でもって、いまは母の離婚イベントも終わって、時永の家へと戻ってきている。


 2年も過ぎれば川守家へと行くことになるから、それまでにいろいろと対策を練ろう……というよりも、今回の人生は状況をいろいろと確認しないといけない。


 とはいえその前に、前回の私はなんで死んだんだ?


 テロリストが発砲したのは知ってるけど、どう考えても私に当たるとは思えなかったんだけど。銃口なんて明後日を向いてたんだし。


《……跳弾です》


 は?


《跳弾だと思われます。どう弾丸が跳ねたのかは不明ですが、右後頭部、右耳の後ろあたりから弾丸が頭部を貫通しました》


 弾丸貫通って。ってことは、私の顔面、左半分くらい弾け飛んだんじゃない? それとも頭蓋で止まった? 左の頬骨あたりで。


《さぁ、そこまでは。ほぼ即死でしたし》


「さすがにあんなもの、儂でも想定しておらんぞ。すまぬ、主様」


 あぁ、いや、いいよ。珠ちゃんが私の前に立ちはだかってたのはちゃんと覚えてるから。


 これも因果ってことよね? でも一応は殺人だけれど、私を狙った、あるいは私をひっくるめた乗客の命を狙ったものでもないよね? なんか、これまでと違って完全な事故みたいな死に方なんだけれど。


《これまでを考えれば、確かに“事故”である今回はおかしくも思えますが、確認は不可能ですね。恐らく、今回の人生では再現されないと思われます》


 コアの言葉に、私はなんとも複雑な気分になった。


 【自動発動】。【現実改変】を私が死ぬ直前に発動するようにセットしておいたものが効果を現わしているということだ。


 私が改変した現実となるように、過去から造り替える【現実改変】能力。であるならば、その改変される過去もある程度いじれるのでは? と考え、かなり無茶な設定を【自動発動】に組み込んだのだ。


 ただ、調子に乗って、かなり無茶なことをしたから、うまく成功しているかわからないんだよね。


 多分、そのあたりをコアが調べてくれてると思うんだけど。


 なんか、ブラックナイト衛星、かなり高性能に魔改造したらしいし。……科学じゃなくて魔法方面でやらかしたらしいから、文字通り“魔”改造だな。どんな性能になってんだろ?


 それじゃ、この世界線の歴史はどうなっているのか確認しよう。


《では。報告を――と、行きたいのですが、マスターに確認をしたいことが》


 なにかな?


《いったい、なにをやらかしたんです?》


「む? そんなにもおかしなことになっておるのか?」


《完全に別世界です。まさに“なにがどうしてこうなった?”と云わんばかりの世界です。前世界の歴史を知っている身としては、まったくもって都合の良い世界となっています》


 ……えーっと、やらかした?


《いろいろと不安要素があります。いえ、思い込みであると思うのですが、マスターのこれまでの因果を考えると、とんでもない落とし穴がそこら中にあるのではないかと、運命論的な意味で邪推せざるを得ません》


「……主様、いったいなにをどうしたのじゃ?」


 え、えっと、正直、いろいろと考えたんだよ。要は、大陸とできるだけ関わらず、戦争でも負け組にならないようにってね。そうすれば土下座修学旅行なんてなくなると思ってさ。


 だから、無い頭で散々考えたんだけど、どうやっても改変部分が多過ぎるんだよ。現在を変えるために過去から改変させる能力だから、ある程度は制御できるだろうって考えてアレコレやるともう際限ないんだよ。


 で、とあることを思いついたんだよ。要は、修学旅行の目的そのものを失くせばいいわけだから、大雑把な改変内容と情報をひとりにぶん投げて、代わりに改変してもらうことにした。


《は?》


「む? どういうことぞ? 主様」


 いや、面倒臭いからさ、珠ちゃんの本体の性格を改変して、日本の守り神になってもらっちゃった。だから改変が成功しているなら、九尾の狐が日本の神様として実在してるはず。


《はぁっ!?》


「ちょっ!? アレは儂が云うのもアレじゃと思うが、どうにもならんぞ!?」


 いや、でも、日本、私にとって都合よくなってんだよね?


《……はい。問題ないと思われます》


 まぁ、狐だし。狐といったら稲荷神さまの御使いだし。九尾ならもう神様レベルなんだから妖怪でも問題ないかなぁと。


「主様、アレをどう処理したのじゃ?」


 いや、処理って。まぁ、玉藻の前が悪女みたいな有様になったのって、なんのかんので悪意があったってことだよね。それに加えて、彼女を利用しようとしたアホ共も大勢いたと思うのよ。


「まぁ、そうじゃが……」


 周囲の連中に関しては善人……とまでいかないまでも、普通に良い人扱いでの話になってたじゃん。多分、あれって勝者が歴史をつくる云々だと思ったのよ。でも不特定じゃどうにもならないから、玉藻の前のほうを普通に良い人レベルに悪意を軽減して、ついでに強かな性格に改変したのよ。いわゆるダークヒーローもどきかな? でもって隠し味成分でちょこっとポンコツ属性を沿えた。あ、それと、立場も貴族階級であれこれしないようにしたよ。


 その上で、私の知ってる歴史に関しての知識をいくらか予知っぽく植え付けて、ついでに海外に進出するならオーストラリアだ! 遠いから蒸気機関も作っちまえ! そもそも栄養失調とか病気とかでみんな大変なんだから農業改革だ! とか基礎的なことをぶち込んだ。


《それが原因ですかぁっ!!》


 え、なに?


 コアのあまりの様子に私は狼狽えた。


《失礼しました。いえ、あまりにも私の知る歴史とかけ離れていましたので》


 そ、そんなに変わった?


《はい。もはや別世界と云ってもいいかと》


 ……いまのところ日本は世界と良好な関係なんだよね?


《完全に技術大国となっていますね。アジアにおいて競合国がないので、完全に一強となっています。それ以外は我々が知る日本と変わりありません。変な横槍がないので問題なく成長しています。技術力に関しては、他国の追随を許さず、我々が知る世界より数十年進んでいるようです》


 ……うわぁ。


《マスターが懸念されている大陸関連ですが、朝鮮半島は英国が植民地化。現在も英国領となっております。我々の知る史実では、すでに香港は返還されているわけですが、返還先の中国が消滅しているので、現状も英国領です》


 は?


《また、私たちが知る満州国として日本が支配していた地域ですが、そちらは米国領となっています。半島、満州、共に日本が利権を売り払った結果です。玉藻の前はマスターの改変の影響を受けて、大陸を蛇蝎の如く嫌っているようです》


 え?


《中国であった地域ですが、アメリカ、ロシア、モンゴルによって支配されています。ちなみに、核は満州とロシアに落とされ、それにより2次大戦は終結しました。

 ついでに豪州ですが、ほとんど日本の属国まがいとなっています。親日度が異常です。日本併合を願っている有様です。距離があるので面倒見切れんと、玉藻の前は突っぱねているようですが。まぁ、ヨーロッパ諸国の侵略を、渡豪した日本人が現地住民と共に返り討ちにしていた結果、この有様なのですが》


 ちょっ!?


 や、やべぇ、やりすぎた? っていうか、よくそこまで改変できたな。……いや、そうでもないのかな? いや、多分絶対、波及効果(バタフライエフェクト)まで制御できてないだろ、これ。玉藻の前、頑張りすぎだろう。


 ……ちょっとステータスを見てみよう。


 ステータスを出して確認してみる。


 あ、あれ? 能力表記が軒並みグレイアウトしてる。


 あちゃあ、これあれだ。完全なMP切れだ。多分【鑑識眼】もモノによっては発動しないぞこれ。自分のステだからかろうじて見えてるだけじゃないか?


「……主様、この灰色の表記のモノはどういうことじゃ?」


 あれ、珠ちゃん、これ見えるの?


《珠緒様はマスターの眷属となっておりますから、その影響ではないかと思われます。そしてマスター、その表記の状態はどういうことでしょう?》


 ダンジョンコアにも問われる。うん。やっぱり異常だよね。ちょっと確認してみようか。


 試しに【異空門】を開いてみる。座標は部屋の右端と左端だ。……うん。うんともすんともいわない。


 完全にMP切れだねぇ。


「あ、主様、さすがにこれはマズいのではないのか? 【ふりだしにもどる】が使えないのは――」


 あ、確かにそうだ。やべぇ。


《ストレージに溜め込んでいるエネルギーをマスターに注入します。ひとまず【ふりだしもどる】だけは使用可能にしましょう。恐らく異世界召喚イベントは行われるでしょうから、そこで不足分のエネルギーを回収すればよいかと》


 ダンジョンコアが私にエネルギーを回してくれたのか、ほどなくしてステータス表記の【ふりだしもどる】がハイライトされた。


 他も軒並みハイライトされたが【現実改変】はグレイアウトのままだ。


 うん。まぁ、それは分かっていたよ。……ははは、今回の人生最初の10年はハードモードやもしれん。







 ……どうやって“いじめ”を回避しようか?



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― 新着の感想 ―
[一言]  なんかマンガ化された、狐娘化して事実上逆行転生して日本が史実より何十年も先の技術力をもってお狐様のおみ足ペロペロお狐様最高! を地で行く、ほのぼの歴史モノに近い設定になっとりますね。  …
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