7 伴兆太郎の先制攻撃
するとこれを好機とばかり、伴兆太郎は紳士クンの方に向き直り、
まっすぐに紳士クンの目を見つめて言った。
「ところで明日、予定空いてるか?
学園駅前の商店街に、カフェ一体型の古書店が新しくオープンしたらしいんだ。
お前、そういうの好きだろ?一緒に行ってみねぇか?」
「えっ!」
伴兆太郎からの思わぬ申し出に、紳士クンは驚きの声を上げた。
(こ、これって、デートのお誘い⁉
で、でも、明日は令太君を家に誘ってるし。
だけど、カフェ一体型の古書店っていうのは、
ちょっと興味があるかも・・・・・・)
紳士クンの中で、相反する想いが交錯し、
文字通り視線がめだかのようにあちこち泳ぎ回った。
そんな中紳士クンの傍らに居た静香が、メモ帳を取り出して伴兆太郎にこう尋ねる。
「ちなみに、そのカフェの名前は何と言いますか?」
「ああ、確か『古書喫茶・ふるもと』って言う名前の店だったよ」
「なるほど」
伴兆太郎の言葉を聞き、それを素早くメモ帳に書き込む静香。
(静香さん、絶対その店に行く気だ!)
静香の思惑を鋭く見抜いた紳士クン。
その紳士クンに、伴兆太郎はズズイッと詰め寄って問いかける。
「な、興味あるだろ?」
それに対して紳士クンは、詰め寄る伴兆太郎から身をのけ反らせながらこう返す。
「きょ、興味は、ある、けど、明日はちょっと、約束があって・・・・・・」
「そうだ!」
紳士クンの『約束』の所で息を吹き返した令太が、
そう叫んで再び伴兆太郎の前に立ちはだかった。




