5 図書委員流の、騒ぐ生徒の黙らせ方
するとそれを聞いた伴兆太郎は、目を大きく見開きながら口を挟む。
「お、俺の一撃を片手の本一冊で受け止めるとは、あんた一体何者だ⁉」
実は伴兆太郎は以前一度静香と遭遇しているのだが(※第一巻第三話参照)、
その時はいきなり耳元で拡声器で大声を出され、
そのショックで失神した為に静香の顔を見ていなかった。
一方の静香は伴兆太郎の事を覚えていたが、その事は言わずにこう言葉を返した。
「私は通りすがりの図書委員。
図書委員たる者、これくらい本を操る事等造作もないのです」
「そ、そうなのか」
根が素直で人に騙されやすい伴兆太郎は静香の言葉にあっさり納得したが、
根が割とひねくれていて用心深い令太は、不服そうに眉を歪めて言い返す。
「んな訳ねぇだろ!
とにかくこれは俺とこのガラの悪いヤンキー野郎の問題なんだ!
部外者は引っ込んで、ぶふぅっ⁉」
そんな令太の口に静香は今度は
『サブカルチャー文学論』
という相当に分厚い本を押し当てて塞ぎ、静かな口調で言った。
「部外者ではありません。私は図書委員。
図書委員は、図書館内を静かに保つのも仕事なのです。
なので何人であれ、例えどんな事情があろうとも、図書館ではお静かに願います」
「そのセリフ、どっかで聞いた事があるな・・・・・・」




