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紳士クンの、割と不本意な日々Ⅴ  作者: 椎家 友妻
第三話 紳士クンと令太の苦闘
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24 よりにもよってあの男に

 「そ、そういうつもりじゃ、なかったんだ・・・・・・」

 「あはは、もちろんわかってるよ。

令奈さんが同性の僕に、そんな事するはずないもんね」

 紳士クンは軽い冗談のつもりでそう言ったが、

その言葉は令太にズシンと重くのしかかった。

 (そんな事するはずない、か。そりゃあ、そうだよな・・・・・・)

 しかしその事を紳士クンに気取(けど)られる訳にはいかないので、

令太は精一杯茶化した調子でこう返す。

 「そりゃそうだ。だけど、この場に他に人が居なくてよかったな。

こんな所を誰かに見られたらどうなっていたか」

 と、その時だった。

紳士クンの顔が瞬時に青ざめ、

まるで熊に遭遇した農家のおじさんのように凍りついた。

そしてその視線は令太ではなく、令太の背後に向けられており、

紳士クンの表情から察するに、令太の背後に何者かが立っていて、

今の様子をバッチリ見られたと判断するのが適当なように思われた。

なので令太も表情をこわばらせ、何も言わずにゆっくりと後ろに振り向く。


 すると、居た。

生徒が、一人。


 その人物は黒のブレザーを身にまとったエシオニア学園の男子生徒で、

制服の上からでも分かるほどに全身が鍛え抜かれた筋肉に覆われており、

太い眉毛、イカツく釣り上がった目つき、

ジェルでオールバックにかき上げられたヘアスタイルから察するに、

その男子生徒が、紳士クンのような優しくて大人しい、

文学少年でない事は間違いなさそうだった。

ちなみに令太はこの男子生徒の名を知る(よし)もなかったが、

紳士クンの方はこの男子生徒の事を、割とよく知っていた。

そして紳士クンは青ざめたままの顔色で、彼にこう声をかけた。

 「ば、(ばん)、君。いつから、そこに?」

 そう、彼の名前は伴兆太郎(ばんちょうたろう)

番長でホモで、

しかも紳士クンに一途に想いを寄せている、

あの伴兆太郎である。

 とりあえず、第四話へつづく。



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