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21 これを恋と呼んでいいのか
そう、令太がこの学園に通う動機は、令の脅迫もあるが、
それ以上に、否、今はそれが全てと言っても過言ではないほどに、
紳士クンの存在が大きくなっていた。
が、この感情が友情なのか、恋愛なのか、それともまた別の物なのか、
今の令太には判断する事ができなかった。
ただ、紳士クンの事を思うだけで、胸が締め付けられ、顔が赤くほてり、
何とも言えない苦しい気持ちになるのだ。
いや、それはもう恋愛感情とちゃうんかいと関西弁でツッコミたくなるのだが、
令太は番長でホモである伴兆太郎とは違い、ホモではない。
ところが、紳士クンは男の娘、否々、男の子なのである。
健全な男子である令太(?)が、
同性の紳士クンに恋愛感情等抱くはずがないではないか!
と、いう所で、令太は己の感情と葛藤し、
この気持ちにうまく落とし前をつける事ができないでいた。
なので今、この胸に溢れる言葉を紳士クンに伝えてしまえば、
それはそのまま愛の告白になってしまうのではないか?
そういった考えから、令太は次の言葉を言えずに口をつぐんでしまった。
その想いが、強過ぎるあまりに。




