17 紳士クンが注目したのはそこではない(多分)
そんな静香はいつも栗色のセミロングの髪を後ろでお団子にしているのだが、
今日はそれをフワッと肩の辺りに下ろしていて、
いつもより大人びた雰囲気をかもし出しており、紳士クンはにわかにどぎまぎした。
するとその反応を少し違った形で解釈した静香は両手で自分の胸元を隠すようにし、
消え入るような声をしぼり出した。
「やっぱり乙子さんは、私のような貧相な胸より、
凄木会長や尚さんのような、豊かなお胸が好みなんですか?」
静香は先日紳士クンが、尚の胸が気になって、
バスケットの試合に全然集中できなかった事を今も気にしているのだ。
しかし静香は決して貧相な胸などでなく、令や尚ほどグラマーでないにしろ、
何処に出しても恥ずかしくない、豊かな果実を持ち合わせている!
・・・・・・だがそれは今は置いといて、
静香に大きな誤解をされていると悟った紳士クンは、
両手をブンブン横に振り、慌てて弁解を試みた。
「ち、違いますよ!静香さんは貧相な胸なんかじゃありません!
ってそうじゃなくて!
いつもと違う髪型をしているから、何か印象が違うなぁと思って」
そう言われた静香は、胸を隠していた両手で、
今度は肩にかかった髪を隠すようにしてこう続ける。
「い、いつもお団子頭ばかりだったので、
たまには違う髪型にしてみようかなと思ったんですけど、
やっぱり、似合わないですよね?」
「とんでもない!いつものお団子ヘアーも素敵だけど、
髪を下ろすと何だか大人っぽい雰囲気で、凄く似合ってますよ!」
「そう、ですか?」
「はい!」
静香の問いかけに紳士クンが力強く頷くと、静香は
「なら、よかったです・・・・・・」
と言い、髪を隠していた両手を膝の上に下ろした。




